「実力がない」は脳の錯覚?インポスター症候群を克服する3つの習慣
入社して数年、
任される仕事も増え、評価される場面も増えてきた。
でも…
なぜか自分に自信が持てない
- 成果は出ているのに、私はまだまだ…
- まぐれでうまくいっただけかも…
そんな「根拠のない不安」が、あなたの中にありませんか?
こうした状態を心理学では…
「インポスター症候群」と呼んでいます。
真面目な若手ほど陥りやすく…
褒められても自分を認められず、仕事が怖くなることもあります。
「症候群」とまではないけど…
何かと、勇気が出なくて
足踏みしてしまう
そんな方に向けて…
インポスター症候群の正体と、今日からできる克服方法を解説。
現状を打破するきっかけが、きっと見つかります。

評価されているのに「自信がない」…そのモヤモヤの正体は?

インポスター症候群とは、1978年、心理学者 Clance & Imes が初めて報告した概念。
成果を出しているのに…
自分の能力を
信じられない状態を指します
あなたに、次のような感覚はありませんか?
- 成功を「まぐれ」と思ってしまう
- 失敗したら「本当の自分がバレる」と焦る
- 周囲の期待に応えなきゃ、と常に緊張している
- 成果より「できていない部分」に目が行きやすい
これらは、インポスター症候群の人が抱きやすい感覚(Clance, 1985)です。
とくに日本は、
「謙虚さ」が美徳とされ…
自分なんて、まだまだですよ
そう振る舞うことが「よし」とされるため、
自分がインポスター症候群だと気づきにくい。
しかし…
「謙虚さ」が行き過ぎて、「自己卑下」になっていないでしょうか?
両者の違いは以下のとおり。
- 謙虚:実力を認識した上で、控えめな姿勢
- 自己卑下:実力があるのに「能力がない」と思い込む
後者が、インポスター症候群。
キャリア初期の20代〜30代にとくに多いことも研究でわかっています(Sakulku & Alexander, 2011)。
周りは評価してくれるけど…
どうしても信じられない
なぜ、これほどまでに「周囲の評価」と「自分の自信」がズレてしまうのか?
その原因は、あなたの性格ではなく「脳のクセ」にあります。
次から、あなたを不安にさせる「思考の正体」をチェックしていきましょう。
「自信がない」は脳の錯覚? 不安をつくる「自動思考」の仕組み

インポスター症候群の背景には、心理学でいう
- 認知のゆがみ(Cognitive Distortions)
- 自動思考(Automatic Thoughts)
この2つがあります。
端的に言うと…
脳が瞬間的に
ネガティブ側に解釈してしまうクセ
代表的な「クセ」を3点、ご紹介します。
① 成功の要因を「自分の外」に求める
- 運が良かっただけ
- 相手が優しかっただけ
- 周りが助けてくれただけ
② 失敗のみ「自分の実力」として扱う
- やっぱり自分はダメだ
- 次もミスするかもしれない
③ 周囲と比較しては、落ち込む
- あの人はあんなに活躍しているのに…
- 同期は管理職。それに比べて自分は…
- みんな楽々と完璧にこなしている…
これらは…
事実を誤って評価している状態
「事実」と「解釈」の間にズレが生じているのです。
だから…
気づいて修正すれば改善できます。
自分には…
インポスター症候群の傾向があるかも
そう気づけたなら、半分は解決したようなもの。
次から、その思考のクセを「正しい自己評価」に書き換える3つの習慣を紹介します。
どれか一つ試すだけで…
自信が育ち始めます。
インポスター症候群を抜け出し、自己肯定感を育てる3つの習慣

ここからは、心理学的エビデンスを元に、脳の「自動思考」を正し、
自信を回復する
3つの習慣 をご紹介します
どれも今日からできるシンプルな方法です。
習慣1:成果を「事実ベース」で書き出す

インポスター症候群の克服で…
とくに有効なのが、メタ認知(自分を客観視する力)を高めること
認知行動療法でも最も効果がある方法とされています。
簡単にできる方法は…
1日5分の「事実メモ」
頭の中だけで考えると、どうしても「感情」が混ざってしまうもの。
だからこそ、書き出して「視覚化」します。
具体的には…
- 今日やったこと(事実)
- どんな行動をしたか(事実)
- どう解釈したか(感情)
たとえば…
- 事実:顧客向け資料を12ページ作成
- 行動:課題を整理し、構成案を調整
- 感情:こんなの、誰でもできる
こうして並べてみると…
事実(成果)を、感情(不安)が勝手に塗りつぶしていたことに気づくはず。
自動思考による「誤解」を見抜く第一歩は…
この「事実」と「感情」の仕分け です。
事実だけを眺めたとき、自然とこう思えるようになります。
あれ、自分
ちゃんと動いてるじゃん…
この「気づき」が、自己肯定感の土台になります。
習慣2:比較する相手を「過去の自分」に変える

比較そのものをなくすのは、現実的には難しい。
そんなあなたに試してほしいのが…
他人 → 過去の自分 へのシフト
具体的なアクションとしては…
成長ジャーナル(記録)が効果的です
- 半年前に比べてできるようになったこと
- 初めての仕事よりスムーズにできること
- ミスしても立て直せるようになった部分
研究でも、
「過去の自分との比較」は自己効力感(Self-efficacy)を高める ことが確認されています(Bandura, 1997)。
もし思い浮かばない時は…
1年前の手帳や、過去の送信メールを見返してみてください。
あ、この時は
初歩的なことで悩んでたんだ
今はもう
無意識でできてる
そんな「かつての悩み」が「今の実力」に変わっていることに気づくはずです。
他者基準から、自分基準へ…
これだけで心はずっと軽くなります。
習慣3:自分の強みを言語化する

インポスター症候群の特徴としてよく言われるのが…
強みを
「当たり前」と思ってしまう問題
「こんなの誰でもできる」とスルーしてしまう傾向です。
だからこそ…
あえて言葉にして再確認(言語化)する必要があります。
具体的には…
自分自身に、次の3つを問いかけてみてください。
埋もれていた「強み」が見えてきます。
- 人から「助かったよ」と感謝された場面は?
- 自分は「苦」ではないのに、周りから驚かれたことは?
- 困った時に、無意識でとる行動パターンは?
強みとは、「目立つ実績」や「特別な才能」だけではありません。
- 丁寧さ
- 誠実さ
- 相手の話を聞く姿勢
- 期限を守る責任感
こうした「静かな強み」こそが、組織で最も信頼されるスキルです。
静かな強みは…
必ず長期的な成果や評価へとつながります。
もしあなたが、控えめな性格で「自己アピールが苦手」だと感じているなら、その個性こそが武器になるかもしれません。
内向型の強みを活かして働くための戦略は、以下の記事でも詳しく解説しています。
「仕事が怖い」が「挑戦したい」に変わるとき


インポスター症候群は、
能力不足ではなく 思考のクセ から生まれるもの。
- 成果を「事実」で捉える
- 過去の自分と比較する
- 強みを言語化する
この3つの習慣で、
脳の「ネガティブ自動思考」が少しずつ書き換わっていきます。
ちゃんとできてる自分がいた
そんな「気づき」が、あなたを変えていきます。
重たい「謙虚さ」は今年に置いて…
来年は
心軽やかに歩んでいきましょう
















































