令和2年国勢調査により、単独世帯の割合が38.1%にまで拡大していることが明らかになりました。
一般世帯数を世帯の家族類型別にみると,「単独世帯」(世帯人員が1人の世帯)は2115 万1千世帯(一般世帯の 38.1%),「夫婦と子供から成る世帯」は 1394 万9千世帯(25.1%),「夫婦のみの世帯」は 1115 万9千世帯(20.1%),「ひとり親と子供から成る世帯」は 500 万3千世帯(9.0%)などとなっている。2015 年と比べると,「単独世帯」は 14.8%増となっており,一般世帯に占める割合は 34.6%から 38.1%に上昇している。
令和2年国勢調査 https://www.stat.go.jp/data/kokusei/2020/kekka/pdf/outline_01.pdf
ソロ社会化が急速に進行中。
いわば、「おひとりさま」時代の到来です。
いっぽう、アラフィフ世代の既婚者は、自分が将来「ひとり」になるのを想定していない人が多い。
自分のほうが先に逝くだろう…
と何となく思っている。
結婚したらもう「ひとり」になることはない、と信じ切っているのかもしれません。
実は、これが老後に孤立して悲惨な末路をたどる最大の要因なのです。
結婚して夫や嫁、子どもがいるにしても、死ぬまで同居できるとは限りません。
大切なのは…
だれもが「ひとり」にもどる可能性があるという前提に立つこと
事実、未婚化・非婚化に加え、配偶者との離別や死別によるソロ化も増加しています。
ソロ化する社会のなかで必要なのは…
「おひとりさま」生活を
楽しく充実させる力です!
そこで今回は、人生後半に備え、「おひとりさま」を自分らしく生きるヒントを2つ紹介します。
具体的には、次の2点です。
- 引き算思考にシフトする
- おひとりさま力を高める
引き算思考にシフトする
人生後半、自分でコントロールできる時間が増え、好きなことに没頭できるチャンスが訪れます。そうなると…
残された時間を心から楽しめるポイントに集中したい、という思いが当然高まってくる。
そこで試していただきたいのが…
引き算思考
具体的には、これまで手にしたものを削除することによって、価値あることに没頭できる環境をつくり出すコツです。
これが「おひとりさま」を楽しむ基盤になります。
ヒト・モノ・コト・ものの見方や考え方に分けて紹介します。
ヒト
- エネルギーを消耗するような人間関係から離れる。
- 家族への依存を薄める。
- 他者に期待するのをやめる。
人生後半、人間関係もまず「引き算」から始めましょう。
大切なことは、エネルギーを消耗させる関係から距離をとり、価値ある出会いやつながりをもつことです。
スマホの連絡先リストを表示し、ひとつひとつの関係性を顧みる。
そうすれば、人間関係の濃淡、好悪が明らかになります。
エネルギーを消耗させる関係を断てば、その分スペースが生まれる。
そこに価値ある出会いを加えることができます。
家族との関係も同様です。
互いにエネルギーを消耗させる関係については、見直しが必要。
依存の関係をどう解消していくかがポイントです。
健康&生活管理、副業によるお小遣い稼ぎなど、「おひとりさま力」を高めていくことをおススメします。
上記の副業に関する記事を紹介しておきます。
家族を含め、他人に期待するのも控えましょう。
期待は依存に変質しやすい。
結果、自分の成長や幸せをも他人に依存するようになります 。
モノやデータ
- 渡せるものはゆずり、不必要なものは処分する。
- 不要なデータやメールを削除する。
- 新しいものを手に入れるよりも、あるものを大切に使う。
片づけをすることによって、人生の締めくくり方が見えてきます。
たとえば、懐かしいアルバムや思い出のグッズの整理。
心が整理されるとともに、人生後半に向かう覚悟が生まれます。
片づけに気持ちが向かない方は、スマホやパソコンの電子メールやデータの整理から始めましょう。
まず手をつけるべきは、デジタル遺品の問題を回避するための備えです。具体的には、
- 自動引き落としや解約ができない
- 相続財産の把握ができない
- データが消えてしまう
…などの問題に対する備えのことです。
問題を防ぐためには、デジタル終活と呼ばれる対策が大切。デジタル終活とは、
- デジタル遺品の整理や管理
- パスワードやアカウント情報の共有や記録
- 家族への指示
…などの行為です。
とくに、クラウド上にあるデータやSNSのアカウントなどは、ログインIDやパスワードがないと消すことができません。
どんなサイトを利用し、どんなログインIDやパスワードを使っていたかをリスト化しておく必要があります。
できれば、紙で残しておくほうが安心。
このように、早めにデジタルデータを整理することで、安心感をもって人生後半を迎えることができます。
コト
- 役割を手放す。
- 約束を控える。
- 計画を立てすぎない。
- 自分に高いハードルを課さない。
適度な負荷はメンタルにポジティブに作用します。
問題は、ストレスが過度にかかっているケース。
目的意識をもって取り組んでいることと、嫌々やっていることとでは、ストレスの質が違います。
役割・約束・計画・自ら課すハードルの4点から、負荷の重い順に「引き算」していきましょう。
手順は…
- 目的や自分のモチベーションを再確認し、何がストレスになっているかを特定する。
- 物理的・時間的に効率化できる方法を積極的に取り入れる。
- 負荷が重く、かつ効率化できない要因を手放す。
このような手順で、人生後半の時間を「本当にしたいこと、大切なこと」にふり分けていくことが賢いやり方。
ものの見方・考え方
- 人と比べるのをやめる。
- 良い人になろうとしない。
- 未来にとらわれない。
- 「もし…だったら」を考えない。
人には「自動思考」といわれる認知のクセがあります。
具体的には、ある出来事があったときに、瞬間的に浮かぶ考えやイメージのこと。
問題になるのは、物事をゆがんでとらえてしまう「ゆがみ思考」に陥っている状態です。
たとえば、つい人と比べて、すぐに「同じようにできっこない、無理だ」「自分にはクリアする能力がない」と思い込むクセ。
人生後半、「楽しむ」ことを邪魔するのが、このような自動思考です。
ゆがみ思考は、ストレスや不安を引き起こし、さまざまな精神的な問題につながる可能性もあります。
自動思考を改善する方法としては、
- 自動思考に気づく
- 自動思考を受け入れる
- 自動思考を置き換える
…という3ステップが有効といわれています。
参照:BetterUp“Automatic negative thoughts: how to identify and fix them”
https://www.betterup.com/blog/automatic-thoughts
先ほど挙げた、つい人と比べて、すぐに「同じようにできっこない、無理だ」「自分にはクリアする能力がない」と思い込むクセは…
- 「また人と比べてあきらめている」という思考に気づく。
- 「なるほど、今の知識や能力では実現不可能な面がある」と受け入れる。
- 「本当に無理なのか?」と自問し、「初めて挑戦する時のポイントを、経験者にアドバイスを求めよう」「自分のこれまでの経験で、活かせることはないか考えよう」など、考えを置き換える。
このような手順で、自動思考に対処することができます。
そのほかの「自動思考の置き換え方」を紹介。
- 良い人であろうと背伸びしない、正しい人であればいい。
- 未来にとらわれず、今この瞬間に生きよう。
- 「もし…」はどこにも存在しない、今、自分にできることは何だろうと考える。
これまでの人生で「足してきた」モノやコト、人間関係、見方・考え方には、人生後半に不要なものが含まれています。
これらをそぎ落として、身軽になることから始めましょう。
最も大切なのは、「引き算」によって、貴重な資源である時間の浪費を防ぐことです。
おひとりさま力を高める
「おひとりさま」が流行語大賞にノミネートされたのは、2005年のこと。
元々は、ジャーナリストの岩下久美子氏の著書『おひとりさま』で提唱された、精神的に自立した大人の女性のことを指しました。
しかし、社会構造の変化から、現在は男女、既婚、未婚を問わず、ひとりの時間を楽しみたい人のソロ活動全般を指すようになりました。
社会的ニーズの高まりから「ソロ活市場」も活況を呈しています。
ソロ活市場は、食事やレジャー、スポーツなど様々な分野に広がっており、2025年頃には100兆円を超える規模になると予測されています。
参照:日経COMEMO「ソロ市場が間もなく100兆円市場へと成長する理由」
https://comemo.nikkei.com/n/n8a6e6e694b6a
たとえば旅行。
オンライン旅行メディア「トラベルズー」が、2021年2月に実施した「ひとり旅」に関する意識調査でから、メンバーの8割弱が「ひとり旅」の経験を持ち、7割超が今後の「ひとり旅」に意欲的であることがわかりました。
参照:トラベルズー「2021年2月実施:「ひとり旅」旅行実態調査」
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000039.000045034.html
だれにも気兼ねすることなく、スケージュールも気にせず、気ままに動ける…
そんな「ひとり旅」の魅力に、既婚者も関心を高めています。
このようなニーズから、次のような特集やプランが組まれるようになりました。
筆者も「ひとり旅」の推奨者。
本ブログにも、ひとり旅の記事があります。
必要に応じてご参照ください。
筆者がひとり旅を楽しむようになったきっかけが、次の動画。
まりさんの動画を見ると、明日にでも旅に出たくなります。
「ソロで生きる」「ソロで楽しむ」といっても、さまざまなスタイルがあります。
たとえば、
- 時に仲間と遊ぶことを楽しみつつ、時にひとりで遊ぶことを選択するスタイル。
- 「孤独のグルメ」の井之頭五郎のように会話は最小限にし、目の前の活動に集中するスタイル。
- ソロ活動が中心だが、行った先で出会いを楽しむ「寅さん」のようなスタイル。
…などです。
自分に合ったスタイルで楽しめばよいのですが…
問題は「ひとりは恥ずかしい」という人目を気にする羞恥心の克服です。
おひとりさまデビューポイントは、行きやすいところから始めて、徐々にレベルアップしていくこと。
レベルごとに例を挙げて紹介します。
レベル1:初心者向け
レベル1は、初心者向けの内容です。
おひとりさま初心者は、「おひとりさま歓迎」をアピールするお店から始めるとよいでしょう。
かつてグループで行くイメージだったお店も例外ではありません。
たとえば「焼肉ライク」の誕生。
「人目を気にせず1人でも焼肉を食べたい!」という消費者のニーズを、1人1台の専用ロースターを提供することで実現しています。
席が仕切りで区切られ、ひとりの空間も確保。
常連同士の雑談の場であったサウナも、コロナ禍の影響によって黙浴が推奨され、ひとりでも落ち着いては入れるようになりました。
昨今のサウナブームに乗って、ソロサウナも増えています。
レベル1で推奨する空間は…
- 映画
- ラーメン
- 無人ジム
- 回転寿司
- カラオケ
- ファーストフード
- 焼き肉店
- サウナ
レベル2:孤独を楽しむ人向け
レベル2は、孤独を楽しむ人向けの内容です。
自分と向き合い、自分の世界に浸りたいという方は、会話をしなくても楽しめる空間を求めましょう。
たとえばソロキャンプ。
2020年の流行語大賞のトップテン入りした「ソロキャンプ」は、すでに定番中の定番になりました。
本ブログでも、ヒロシちゃんねるを以前紹介しました。
時間を気にせず、ゆらゆら揺れる炎を眺めていると、毎日の仕事や生活で起こるギスギスした気持ちが溶けていきます。
気持ちのリセットを求める方には、最適な空間です。
鉄道旅も同じ効果が望めます。
車窓からの景色を楽しむ、駅弁を買って車内グルメを楽しむ、お気に入りの本を読むのもいい。
青春18きっぷなどの割引券を利用すれば、コスパも高い。
日常のストレスから解放され、心をリフレッシュさせることができます。
他者と会話せずとも「ソロ活」を楽しめるのがレベル2の特徴です。
レベル2で推奨する空間は…
- ソロキャンプ
- 鉄道旅
- 日帰り温泉ドライブ
- ひとり歓迎の温泉旅館
- 健康ランド
- 立ち飲み屋
- ショットバー
- 体力に自信のある方は、ボルダリング
レベル3:寅さんワールド
レベル3は、物怖じしないメンタリティが必要なレベル。
ご当地グルメを求めて全国をひとり旅、ひとりカフェ巡り、ひとり音楽フェスなどで、コミュニケーションが必要なもの。
人好きで、見知らぬ人ともおしゃべりや、行く先々でのハプニングをも楽しめる「寅さん」ワールドです。
向き不向きもありますが、「つながる力」を養うことで、あなたも「寅さん」レベルに到達できます。
たとえば、
- 最初はその道に詳しい人と同伴し、徐々にひとり行動を増やす。
- 趣味のイベントに参加し、同趣味同士で意見を交わす。
- 旅に出たら、その土地の特産や名所を人に聞きながら巡る。
…などの行動で「つながる力」を徐々に伸ばすことができます。
おひとりさま力の本質は、精神的自立です。
理想を空想で終わらせたくない方は、ぜひレベル3に挑戦を!
レベル3で推奨する行動は…
- ひとり全国グルメ旅
- ひとり温泉巡り
- ひとりカフェ巡り
- ひとり世界遺産巡り
- ひとり音楽フェス
- ひとりディズニー
- ひとりハワイ
上記の関連で「孤独との上手なつき合い方」を記事にしています。
必要に応じて、ご参照ください。
筆者の一押しは日帰りの旅…
関連書籍を紹介しておきます。