
仕事のストレスの多くは、人間関係におけるコミュニケーションが原因と言われています。
ストレスを発生させるコミュニケーションを…
ストレス・コミュニケーションといいます。
あの人は苦手だ…と感じるのも、その人とのコミュニケーションが理由の一つ。
コミュニケーション→人間関係の深まり…というイメージを多くの方がもっています。
実際はどうでしょう…
コミュニケーション→人間関係の疲弊…というイメージに対しても、多くの方が賛同されると思います。
では、ストレスの発生源になっているコミュニケーション:ストレス・コミュニケーションにどう立ち向かえばよいか…
今回は有効な対処法を紹介します。
こんな方にお役に立ちます。
- 職場でのコミュニケーションが負担になっている方
- コミュニケーションが原因で、特定の社員を避けている方
- コミュニケーションが原因で、特定の社員に対して我慢をしている方
- ストレス・コミュニケーションの対処法を知りたい方
対処法 : 3 STEP

コミュニケーションによって社内で良好な人間関係を築きたい…そう思いながら私たちは、毎日を過ごしています。
コミュニケーションの重要性を理解し、努力もしている。
しかし、意に反してストレス・コミュニケーションに陥り…
当惑、混乱、不安、怒り、心痛、恐怖といった感情に心を支配される場面も毎日のように起こっている。
逃げるか、我慢するか、対峙するか…
ストレス・コミュニケーションに陥った際、私たちはいつもその選択を迫られます。
ストレス・コミュニケーションの対処法は、相手のタイプや自分との相性、状況など様々な要素が絡み合い、その方法は一様ではありません。
しかし…
『コミュニケーションの教科書』第9章 ストレス・コミュニケーションの対処法
ハーバード大学:Holly Weeks
『ハーバード流 こころのマネジメント』
ハーバード大学医療大学院:Susan David
『スタンフォード式 人生を変える人間関係の授業』
スタンフォード大学ビジネススクール:David L. Bradford他
これらのなかで提唱されている対処法を活用すれば、糸口が見えてきます。
具体的には、次の3STEPに整理されます。
- 苦手なタイプを自覚する
- 会話の際に自分の感情に気づき、観察する
- テニスコートの理論を踏まえて会話を進める
❶は事前準備、❷❸はコミュニケーションの中での留意点となります。
次から詳細を解説します。
STEP1 苦手なタイプを自覚する

あなたがコミュニケーションを図る際、苦手とする相手はどんなタイプでしょうか?
例えば、言葉の端々にトゲを感じる人、自分のペースで会話を進める人、気に入らないことがあると攻撃的になる人、など特定のタイプを思い浮かべませんか。
過去にも同じようなタイプが苦手だったならば、そこにあなたの弱点があります。
そして、その弱点を克服しなければ、将来においても同じタイプの人にくり返しストレスを感じて苦しむ…と想像してください。
そう考えると、弱点を克服するための策をもつに越したことはない。
まずは、自分はどんなタイプの人を苦手としているのか明らかにしましょう。ただし…
特定の人を苦手としていることを反省する必要はありません。
次に、苦手とする相手のどんな言葉や態度に自分は反応して不快な感情が起こるのか、その詳細を明らかにします。
自分の感情の動きを思い出し…
ストレス反応の引き金となった言葉や態度等を思い出してください。
STEP1のポイントを整理すると…
- どんなタイプの人を苦手としているのか自覚する。
- 相手のどんな言葉や態度が不快な感情を呼び起こすのか追及する。
このことを踏まえて、次の「自分の感情に気づき、観察する」へ進みます。
STEP2 自分の感情に気づき、観察する

会話をするのが苦手な相手、そして、不快な感情を呼び起こす言葉や態度を明らかにできたら、すでに対処の準備が整っています。
あらかじめ、STEP1でストレスを感じる場面に検討をつけていますから、いつもより余裕が生まれます。
ストレス・コミュニケーションに陥っている時は、心が膠着状態になっています。
感情のはけ口がどこにもなく、考える余裕がないという状態です。
この心の膠着状態を解消するためには…
自分は今、心の中が不安でいっぱいになっている…というように、感情に気づき、観察することが有効。
会話のなかでは、自分の感情の動きに目を向けて…
その時の感情に一番近い名前をつけます。
例えば、だんだん「怒りを含んだイライラ」が沸き起こっている…などです。
名づけることで、感情との間に距離ができます。
『ハーバード流 心のマネジメント』の著者は「感情と距離をとり観察する」と表現しています。
(感情から)離れて観察することによって、つかの間の精神的経験に自分が支配されるのを防ぐことになるのだ。
『ハーバード流 心のマネジメント』第1章 EA:感情の俊敏性はなぜ必要か より
あなたの感情であっても、あなたは感情を選ぶことはできません。
感情と格闘せずに、その感情に反応しないようにすることが大切。
この感情との付き合い方は、ストレスへの対処の一つとして今後も役に立ちますので、日ごろから練習することをおすすめします。
「特定の相手を回避したい、というのは自身の志向・傾向だ」とあきらめずに、「『練習』によって対処は可能だ」と見方を変えてトライしてみましょう。
以下のEQを取り扱った記事の中では、「自己認識力を高める方法 ①俯瞰して自分を眺める」がこれにあたります。
重要なことは、感情を抑え込まない、ごまかさない、ただ距離をとるだけ…ということです。
感情を抑え込もうとすると、反作用が起こって感情に支配されます。
ごまかそうとすると追いかけてきます。
自分の中に、○○という感情が湧き起こっているなぁ、と観察することで…
感情との間に距離ができます。
STEP2のポイントを整理すると…
- 会話の中で自分の感情の動きに目を向け、名前をつける。
- 感情を抑え込むのではなく、距離を置く。
感情への対処ができたら、会話の進め方について考える余裕が生まれます。
STEP3 テニスコートの理論を踏まえて会話を進める


あなたは感情に支配されることもなく相手と向き合っています…
ストレス・コミュニケーションに対処する余裕が生まれました。
そこで、次は…
「行動に特化したフィードバック」(テニスコートの理論)を使って対処する。
職場の場合、会話をきっかけに関係が修復できなくなった…といった状況は避けなければなりません。
対立を回避するためには…
テニスコートの理論を踏まえて会話を進めます。


- 自分が熟知している領域
- 自分からも相手からも見える領域
- 相手しか見えない領域
- 「❸相手」の領域に踏み込まず、「❶自分」か 「❷両方から見える領域」で会話を進める。
- 相手が「❶自分」の領域に踏み込んできたら拒絶する。
この2点を堅持します。
詳細は、以下の『対立を生まない人間関係のスキル』の記事を参照ください。
伝えることがあり、その内容がはっきりしている場合は、事前にどんな言葉を使って伝えるか、準備しておきます。
STEP3のポイントを整理すると…
- 「行動に特化したフィードバック」を使って会話を進める。
- 伝える内容がはっきりしている場合は、事前に言葉を準備しておく。
ストレスコミュニケーションの対処法 Q&A
本記事の要点を整理すると…


ストレス・コミュニケーションの対処法は、相手のタイプや自分との相性、状況など様々な要素が絡み合い、一様ではありません。
そのため、解説が抽象的となりました。
具体的な場面をあげて、最後にQ&Aで解説します…
※右端の「v」をクリックしてください…
要件を先に話すことが大切です。最初に要件を明確に伝えたほうが、相手も対応しやすく、会話が長引きません。感情的になる人に対しては、相手に取り入るような雑談から入るのは禁物です。
会話を進めていくうちに感情的になるタイプ、または感情が表情にあらわれるタイプを苦手と感じるのは自然です。
機嫌をうかがうような雑談から入りたくなる気持ちもわかりますが、核心となる要件を最初に話してください。
そのほうが、相手も対応を考えやすく、会話を進めるうちに冷静さをとりもどす可能性が高まります。
その他の留意点は…
- (ケースによっては)自分にも責任の一端はあることを最初に認める。
- 伝える内容があらかじめはっきりしている場合は、どのような言葉で表現するか準備しておく。
- 会話の中に自分の解釈・想像を含めない。※ STEP3を参照
- (自分に対しては)相手を言い負かすことが目的ではないことを終始心にとめて対応する。
※右端の「v」をクリックしてください…
このタイプは自分のことを認めてほしいだけですから、あなたは、かく乱されないように会話の本筋にもどすことに努めてください。
揚げ足をとるタイプに悩む方も多いと思います。
このタイプは、自己存在感を示したいので基本的にオーディエンスを必要とします。
あなたが提案中に、何か揚げ足をとる言動を受けた場合、例えば…
間違いがあり、失礼しました。
では本題にもどります。
など、いったん誤りを認めて切り上げる、という対応が有効です。
巻き込まれない、そして深入りしないようにしてください。
決して、対決してはいけません。
新入社員の皆さんにおかれましては、さらに、これまで出会わなかった「苦手なタイプ」があなたの前に現れるかもしれません。
職場でのコミュニケーションで悩んだときは抱え込まずに、ぜひ周囲にも相談してください。
人生の主人公は、皆さん自身です。
大切なことは、常に主人公として生きること。
ご活躍をお祈りします。
「不安」の対処法も記事にしています。
参考にしてください。
内向型の人は、コミュニケーション自体に「精神的な負担」を感じやすい…
そんな方には、ジル・チャン著の「『静かな人』の戦略書」が参考になります。
\ 成功をしているビジネスパーソンの多くは内向型である /
記事中で紹介した関連書籍を載せておきます…
将来必要な生活資金を見とおして…
キャリアアップとともに副業にも関心がある、という新入社員の方のために、
以下の記事を書きました。必要に応じてご活用ください…