前記事から引き続き、問題解決力をテーマに取りあげます。
問題を解決するためには、広く深く問題を発見する作業が必要になります。
問題を見落としたり、問題の表面しか見ずに策を立てたりしても、解決につながらないばかりか、再発をまねく事態に陥るからです。
問題のとらえ方に確信がもてないと、先々まで迷いがつきまとう恐れもある。
そこで本記事では…
問題を見極める力に焦点をあてて解説します。
ビジネスにおける問題とは、目標と現状とのギャップを指す
以下は、問題設定の重要性についてアインシュタインが述べた言葉です。
もし、私が地球を救うために1時間の猶予を与えられたなら、55分を問題の定義に使い、5分を解決策の策定に使うだろう。
https://www.forbes.com/sites/nelldebevoise/2021/01/26/the-third-critical-step-in-problem-solving-that-einstein-missed/?sh=13dd41213807
言わんとすることは、問題設定は問題解決の「上流工程」にあたる、という認識。
ここを見誤ると、その後に続く解決策やその実行すべてが徒労に終わります。
当然成果に結びつきません。
ただし、ビジネスが対象とする問題は、アインシュタインが取りあげる「問題」とは性質を異にします。以下の図にあるように…
ビジネスで取りあつかう問題は、目標と現状とのギャップを指します。
「目標との間に現在どのようなギャップがあるか」という問いをもとに、問題のありかを見出していくことがポイントになります。
次より、具体的な手順を解説していきます…
問題を見極める3つのステップ:現状把握 → 問題発見 → 原因究明
「問題を見極める」手順を3ステップに整理
この図に沿って3ステップで解説します。
❶ 現状把握:目標を起点にして情報を収集する
解決すべき問題を見つけるためには、目標に対する現状について情報収集を進めることが重要です。
やみくもに、または前例を踏襲して行動を起こしても、時間を浪費するばかりか、焦点がぼやけて混乱が起こるからです。
目標とのつながりをもって情報を集めることが、解決すべき問題にたどり着く近道。
イメージとしては…
❷ 問題発見:目標と比較し、ギャップを明確にする
目標を起点にギャップを明らかにすれば、その解消によって目標は達成できます。
したがって、成果創出についても、「目標とのつながりを意識する」ことがポイントになるわけです。
この目標起点の問題発見が、問題解決の中核部分。
イメージとしては…
ここで重要になる作業は2点
- 問題をコントロール可か不可か分類する作業
- 優先すべき問題を見極める作業
この2点について解説を加えます。
1 可能性への挑戦:組織で問題をコントロール可か不可か、十分に検討する
問題をコントロール可か不可で分類するとともに、コントロール不可能な問題も打つ手が全くないのかどうか組織で十分議論します。
経験や知識を結集する中で新たな発想が生まれ、画期的なサービスや技術、製品開発につながる可能性があります。
コントロール不可能な問題ほど挑戦価値は高く、新市場の創出につながる可能性を秘めています。
先の緊急事態宣言期間を例にとると…
「状況」はコントロールできずとも、「変化」には対処できます。
特に、危機的な状況=問題においては、「変化」を注視して、その対処にチーム力を集中させることが重要になります。
2 時間やリソースの有効活用:優先すべき問題を見極める
時間やリソースが限られる中、現状とのギャップから見出した問題すべてを解決するのは困難です。重要なのは…
優先すべき問題を選択し、その解決に注力すること
『時間という資源を増やす行動学』の記事で紹介した「80対20の法則」(パレートの法則:成果の80%は20%の努力に起因する)を念頭に、成果に直結する20%の問題解決に注力すれば、生産性も向上します。
優先すべき問題を発見するポイントは次の2点…
- 目標と現状とのギャップが大きい
- 他の成功事例とのギャップが大きい
ただし、成功事例の「水平展開」はおすすめしません。成功事例には前提条件が存在します。
ベストプラクティスの真似をして追いつくのではなく、ベストプラクティスの中に普遍的なものや一般化できるものはないか、問題の本質に迫る洞察が必要になります。
※ベストプラクティス:ある結果を得るのに最も効率のよい技法、手法、プロセス、活動などのこと。
❸ 原因究明:原因を掘り下げて真因を特定する
解決すべき問題を特定できた後に必要な作業は、問題を発生させている真因を究明することです。
問題解決とは、問題を発生させている因果関係を探り、対処すべき真因をつきとめて、そこに手を打ち解消すること。(因果関係の操作)
端的に言うと、A〔真因〕が原因でBが起こっているという因果関係を解消すれば問題を解決できるわけです。
したがって、原因を掘り下げて「A」という真因を見つける作業が必要になります。
原因を掘り下げて、因果関係の構造を探るポイントは次の2点…
真因を特定するためには、まず抜け漏れがないように広く多面的に検討することが重要。
フレームワークを適用して、様々な切り口から検討することが有効です。
イメージとしては…
原因をとらえる「深さ」については、「なぜ」という問いをもとに、チームで納得するまで深掘りする作業を行います。
イメージとしては…
チームで、「なるほど、これが根本の原因(真因)だろう」と納得できれば、「問題を見極めた」と言えます。
企業文化と問題設定
問題設定のカギを握るもう一つのファクターは「企業文化」です。
例えば、薄利多売と厚利少売。
「その企業ならでは…」の要素が加わることを念頭に置きましょう。
起業当初から「多くの人々に自社の製品を届けたい」という理念が組織に浸透している企業もあるでしょうし、ブランド力が生命線の企業もあるでしょう。
いずれにしろ問題設定の方向性は、組織の価値観(文化)に左右される…
ということで、原因の深掘りの際は、企業文化の「鉱脈」にも ご注意ください。
次回は、part3『解決策の創出力』をテーマに取りあげます。
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