
このような野望をお持ちの方は、ぜひ、本記事をお読みください…
今回は…
共感型リーダーが実践する「話し方」を解説
「共感型リーダー」とは…
対話を重視し、合意形成したうえで指示を出すような「つながり」重視のリーダー
結果、社員個々の力が引き出され、イノベーションを起こす土壌がつくられる。
以前は、トップダウンで部下を従わせるリーダーがもてはやされる時代がありました。
しかし、ダイバーシティが進むなか、そうした強圧的な手法は通用しなくなった。
多様な人材を生かすには、組織に「つながり」や「安心」をもたらすような共感型の手法が効果を発揮します。
実際、巨大企業を率いるリーダーには共感型が多い。
Apple最高経営責任者ティム・クック、マイクロソフトCEO兼会長サティア・ナデラ、グーグルのサンダー・ピチャイといったリーダーがそうです。
今や共感型は世界のトレンドとなり、日本にも波及しつつある。
本記事では共感型の手法として、コミュニケーションスキルを3点紹介します。

リーダーに限らず…
良好な人間関係を築くためのコミュニケーションスキルとして活用できます。
「上司にしたい人№1」も夢ではない…
共感型の話し方:ペース&リード
共感型の話し方のひとつに、ペース&リードがあります。

ペース&リードとは・・
ペースやレベルを合わせながら、少しずつリードするコミュニケーションの進め方
「伝える」を「伝わる」に変換するプロセスであり、共感を醸成するスキルです。
ペースやレベルを合わせることで、会話のキャッチボールができる状態をつくる。
次に、メッセージというボールをお互いにキャッチできる状態へと高めていく。
…というイメージでコミュニケーションの場に臨みます。
❶ 観察し、ペースやレベルを合わせる

共感を阻害する要因は「予測とのズレ」です。
「こう反応するだろう」という予測と、返ってきた反応のズレが大きいほど共感は遠ざかっていきます。
そこで大切になるのが、ペースやレベルの差を小さくすること。
必要になるのが観察です。
観点は…
- 耳から: 声の高低や大小 リズムやスピード
- 目から: 表情 姿勢 うなずきや相づちのタイミング
- 内容から: 語彙や知識レベル キーワード 関心事
これら3点に注目して相手に合わせていきます。
たとえば、テンポ…
相手がポツリポツリ話すなら、そのテンポに合わせる。
ムリに合間を埋めようとしないで、相手の言葉を自分のなかで噛みしめる。
…という合わせ方をします。
心地よい会話のテンポは人それぞれ。
自分視点を手放し、会話が相手と同じテンポで進行するように努めます。
語彙レベルも人によって違います。
相手にとって未知の専門用語やカタカナ語、身内の言葉は、相手に困惑や戸惑いを与えるだけです。
語彙レベルを探り、合わせながら会話を進めこともポイントのひとつ。
注意点は、観察に気をとられて「聞く」ことをおろそかにしないこと。
記事『売り上げを伸ばすヒアリング』の「営業ヒアリングを阻害する3つの要因」が参考になります。ご参照ください。
❷ 合わせるからリードへ


自分が伝えたいことと相手の話が重なるところが、「リード」への起点になります。
「重なるところ」は、感想と質問によって掘り起こしていく。
たとえば…
○○さんの熱意が伝わってきました。
エネルギーの源は何ですか?
○○さんの意外な一面を見たように思います。
そうなった経緯を教えてください。
「重なるところ」を見つけたら、自分が共感できる点を示す。
たとえば…
○○さんに同じく、
私も悩んだ時期があります。
5年前の…
○○さんのおっしゃるとおり、
期待する部下が成果を出したときは
自分のことようにうれしいですね。
前回のプロジェクトの時に…
…というように共通体験を自己開示したり、類似体験を投げかけたりします。
共通点の提供が『安心』や『つながり』をもたらし、共感への架け橋になります。
相違点は、『新たな視点』や『気づき』をもたらしてくれた感謝へとつなぎます。
あなたのメッセージを「大切なこととして受けとめている」という反応を示す。
相手の反応:深いうなずきや声のトーンの変化、「なるほど」などの反応があれば、本題へとリードしていきます。
初対面で時間を要する、または共感が生まれにくい状況であれば、「今回はここまで」と区切りをつけます。
区切りのつけ方:エンディングは、
お話をうかがって…
- 多くの発見があり、楽しい時間でした。
- とても刺激を受けました。
- 新たな見方を知りました。
- 有意義な気づきを多くいただきました
- 心が軽くなった思いがします。
- 次にお会いできる日が楽しみです。
…など、ポジティブな印象を与えるエンディングで締めくくります。
部下の場合は、これらをフランクな表現に変えます。
共感型の話し方:提案・質問型の伝達スキル


提案・質問型の伝達スキルとは…
命令を提案・質問に直したり、ネガティブな言葉をリフレーミングしたりして話すこと
とくに意識して使うのは、「叱る/命ずる」とき。
職場のコミュニケーションで一番気をつかう場面です。
仕事上、リーダーが改善を求めたり命じたりすることは当然あります。
リーダーが苦慮するのは、相手が委縮するような伝え方にならないかという点。
有効なのは、否定・命令を提案・質問に直す方法です。
改善を求める場面では…
× 入力ミスでは済まされないよ。
取引の要所での誤データは
致命的だよ。 💢
○ 入力ミスは必ずある…
と見方を変えて点検方法を
見直してみよう。
どんなチェックが確実で
効率的だろう?
…という問いかけに変えて考えさせ、改善行動を促します。
改善を定着させるには、前述の例でいえば事後に…
変えてみてどうだった?
…という問いかけでふり返りをさせることが有効です。
命令を「提案」「問いかけ」に言い換えることで「寄り添い感」が生まれます。
同時に「あなた」が悪いから失敗したのではなく、失敗につながったのは「あなたの行動のあり方」だと、ヒトではなくコトに矢印を向けられる。
人格否定にならない、つまりパワハラにならないコミュニケーションスキルになります。
そのほかネガティブな言葉を使わないことも大切。
たとえば…
不安に思わなくていい
…と声かけは、「不安」という言葉が頭に刻まれて余計に不安になります。
むしろ…
バックアップするので安心して
…と表現したほうが効果的です。
伝え方に悩んでいる方は、命令を「提案」「問いかけ」に直して表現する、ネガティブな言葉はポジティブな言葉へと変換することを意識しましょう。
実践を重ねれば、あなたにも共感型リーダーへの扉が開かれます。
共感型の話し方:背中を押すコミュニケーション


背中を押すコミュニケーションとは…
- 未来視点で意思を問う
- 事実を描写してありのままを「認める」 …の2点
実践をとおして「部下に期待に応えたいという意思や自律的な行動をもたらす」というメリットがあります。
❶ 未来視点で意思を問う


人の欠点やミスが目につき、ダメ出しばかりになるのは、過去や現在に焦点を当てて話していることが原因。
非難とは、過去の行動を批判することです。
過去をふり返って原因究明をしているつもりでも、相手は非難と受けとめやすい。
たとえば…
なぜプレゼンの資料にミスがあったんだ?
十分点検したのか?
これを、「会議資料のミスを防ぐにはどうしたらいいか?」「明日の会議資料は正確に作れるよね?」など問いかけや未来の意思を問う形に言い換えます。
とくに注意を要するのは、「現在」を問いただす行為。
相手の内面に踏みこみやすく、パワハラの危険性が高い。
たとえば…
💢どうして
クレームが君に集中するんだ?
この言葉のあとに続けて、人格を否定するような言葉を使いがち。
ここでも…
クレームの内容や発生状況に
共通点はないか考えよう。
明日から一歩ずつ信頼を高めていこう。何から始める?
…と、次のアクションが明確になるよう提案したり問いかけたりします。
❷ 事実を描写してありのままを「認める」


多忙なマネジャーともなれば、部下との対話機会は思うようにつくれません。
プレイングマネジャーであれば、いっそう時間が限られる。
そこで、試してほしいのが、事実を描写して伝える方法。
たとえば・・・
幹部の多くが、
君のプレゼンを聞きながら
深くうなずいていたよ。
ほかにも…
○○課長さんが、
君のプレゼンで
プロジェクトの見とおしが立った…
と言っていたよ。
事実を伝えているだけですが、ポジティブなメッセージになる。
シンプルに「今月の目標、達成できたね」だけでもいい。
日ごろからアンテナを張り、部下が前向きになれるような事実を収集し、折を見て伝える…
すると「見てくれている」「気にかけてくれている」「認めてくれている」というメッセージとなって部下の心を動かします。
結果、さらに期待に応えたいという意思や自律的な行動を促すことができる。
マネジャーとしても、褒めることよりもハードルが低く、効果的。
「褒める」に固執せず、「認める」からはじめてはいかがでしょう。
さて…
共感型リーダー目指すうえで、足を引っ張るのがコミュニケーションの悪習や口癖。
これらの克服法も記事にしています。
ご参照ください。
話し方を極めたい方におススメの書籍は…
1000人を超えるビジネスパーソンのコーチ:岡本純子さん著作