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リスキングとは?:自社も導入!→ それで、マネジャーは何をすればいいの?

アイキャッチ画像:リスキングとは:マネジャーの役割
リスキングについて悩むマネジャー

企業がいよいよ本格的にデジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組み始めるなか、それにともなう必須の人材投資として、リスキリングの必要性が高まっています

各職場では求められるスキルの大幅な変化に適応するために、すでにリスキングのプログラムを展開しているところもあると思います。
このような中、マネジャーはどのような役割を果たすべきか

今回はリスキングの概略とともに、そのマネジメントの要点を記事にしました

リスキングとは?(概略)

リスキングとは:OJTとの違い

リスキングとはスキルの再習得・再構築のこと。

詳しくは…

今後新たに発生する業務に必要なスキルを獲得すること

広くは、新しい職業に就くために必要なスキルを獲得することも含みます。

OJTが、数年ごとの配置転換と実践を通じて、時間をかけて人材を育成するのに対して、リスキングは…

今はまだない事業・業務・職務に必要なスキルを獲得する

という違いがあります。

近年リスキングの必要性が高まっているのは、企業のDXの加速にともない…

エンジニアのみならず、既存の事業やこれから手掛ける事業に、いかにデジタルを組み込むかを企画し、付加価値向上のシナリオを描ける人材が必要となったからです

さらには、このような人材を大量かつ急速に育成する必要に迫られているからです。

リスキング導入におけるマネジャーの役割とは

リスキング導入におけるマネジャーの役割

社員に対してリスキングのプログラムを提供するにあたっては、以下の4つのステップが考えられます。

  1. Vision 経営及び人材戦略 → DXの方向提示 必要な人材像など
  2. Plan 学習内容・方法・プログラム構築 → スキルギャップ把握など
  3. Support 学習管理・支援 → モチベーション維持の工夫など
  4. Practice 実践の場を提供 → ジョブ・アサイメントなど

マネジャーの基本的な役割は、「経営戦略」「人材戦略」を理解し、「学習管理・支援」を行い、「実践の場を提供」することについてマネジメントすること。

以下に詳細を解説します…

役割1:リスキングを経営戦略上の必要性から理解する[DXを例に解説]

まず、マネジャーは、経営陣がデジタルで自社をどう変えたいのか、その経営戦略全体を理解する必要があります。

経営戦略の全体像を知らずして、リスキングの必要性を部下に語ることはできないからです。

事業変革にともなって新たな職務が発生することから、組織が改変されたりレポートラインが変更されたりすることも考えられます。

このような変革を含め…

マネジャーはリスキングの導入を経営戦略上の必要性からとらえ、自分なりに自社に対して「展望」を描くことが重要

DXを例にとると、「デジタルを用いてどんな新価値を創造し、その新価値によって自社にどんな展望が開けるか」をシンプルに表現できるようにしておくこと。

このように理解を深めながら、自身のベクトルと自社のベクトルを合わせていきましょう

役割2:人材戦略の一端を担う[DXを例に解説]

経営戦略が決まれば、人材戦略も決まります。

人事部は人材のスキルギャップを把握し、将来のビジネス戦略を見据えてどんなスキルが必要かを割り出します。
そして、どの人材グループからリスキリングを始めるかなど、具体的なリスキリング計画を立てていきます。

DXについては、学習コンテンツを企業で内製化するのは困難であり、外部の専門家やベンダーの力を借りてパッケージの形で社員に提供するという流れが一般的です。

また、リスキングは新しく必要なスキルと各社員が現在もっているスキルのギャップを可視化することから始めるので、タレントマジメントのツールにこれらを組み込んで進めるケースが多く見られます

このツールをとおして、マネジャーは各社員のスキルギャップの把握し、外部の提供者と連携して学習プログラムを適切に割り当てる任務を請け負う可能性が考えられます。

つまり、マネジャーは…

人材戦略の一端を担うことを視野に入れておきます

役割3:学習プログラムに沿って学びをサポートする[DXを例に解説]

リスキングにおけるマネジャーの役割

マネジャーは、社員が学習プログラムに沿って学びを効果的に継続できるように、さまざまな形でサポートすることが求められます。

サポートのためのツールとしては、学習管理システム(LMS)が組み込まれているタレントマネジメントシステムを使います。

マネジャーは、ツールをとおして、学習の進捗、費やされている時間、理解度や習熟度などを観測し、一人ひとりが離脱することなく学習を進められるようにサポートをします

具体的なサポートの内容を3点紹介します。

❶ 日常業務の調整

社員は基本的に任務や業務を抱えているので、新しいスキルを修得するための学習時間の確保は容易ではありません

各社員が抱えている任務や業務の内容や量、精神的な負担等を把握し、時間調整や業務の再分担などをして社員の学習時間を確保することがマネジャーの役割です。

❷ 心理的ハードルを下げる学習環境を用意

人事部と連携し、日常業務で活用するビジネスツールからすぐに学習コンテンツに移行できるよう同じ画面上に入り口を作るなどの環境を整えるのも一つの方法。

すきま時間の利用など、時間調整しながら学べる環境を社員に提供すれば、リスキングに対する心理的ハードルを下げることができます。

❸ モチベーションの維持 

モチベ―ションの維持については、社内認定制度を設ける、獲得したスキルを可視化する、スキル獲得後の職務と仕事がどう変わるかを具体的に示すなど、人事部との協働的な取り組みが重要になります。特に…

スキル獲得後の職務と仕事がどう変わるか具体的に示すことが大切

学習した後にどのような変化が自身の職務に起こり、何の役に立つのかがわかっていると社員の意欲は高まり、学習効率も上がります。

そのためには、前項で述べたように「マネジャーは自社の経営戦略の全体像を理解することが必要」であり、人事部との共通理解や交渉がマネジャーの腕の見せ所になるわけです。

リスキングを自社の発展に結びつけるには、学びとその後の職務が連動するような設計が必要。(ただし、その設計は人材戦略の領域であり、主として人事部の仕事)

いずれにせよ、リスキングに向かう社員に、学びの先にある未来を示すことがモチベ―ション維持の重要なファクターになります。

実践の場をマネジメント:他の部署との連携・成果観察[DXを例に解説]

リスキングにおけるマネジャーの役割

リスキリングは、自社の事業変革の先を見据えて、今後必要となるスキルを社員に獲得してもらうことを目的とします。
したがって…

リスキリングの最後は、学習によって獲得したスキルを、実際に職場で実践してもらうというプロセスが必要

そのプロセス構築は、人事部の範ちゅうですが、マネジャーにできることが2つあります。

❶ 社内副業制度の促進

社内副業制度(自分の事業部・部署・チームなどに在籍したまま、別部署の業務に携わる)のある会社については、マネジャーが、社員本人の納得の上、積極的に社内副業を適用するとよいと思います。

通常の社内副業は、人材を必要とする部署が公募するか、スカウトしたりされたりして成立します。
リスキリング後の実践として社内副業を考える際は、スキル習得の仕上げとして技能を発揮できる部署やプロジェクトで副業してもらう、という方法で活用を促進するとよいでしょう。

社内インターンシップ制度のある会社は、DX部署と連携して適切な期間、座学で身につけたスキルを実務で発揮できる業務に就かせる方法も考えられます。

いずれにしろ、マネジャーは、社員にできる限り早く実践の場(「お試し」期間も含め)を提供できるように他の部署と交渉・調整するなど、潤滑油の役割を果たします。

❷ 成果観察

マネジャーは、学習プログラムが自社の進める人材戦略に適合した内容であったか、それが実際の職務で通用するレベルであったかどうか、経営陣・人事部にフィードバックする役割を果たします。

スキルが身についたかの確認は、学習コンテンツを修了したかどうかだけで語ることができず、実践の場でどのように使えたのかを確認する必要があるからです。

例えば、プログラミングを用いてECサイトのユーザビリティを向上させた、データ解析によって「売れている理由」や「売れる商品の特徴」を明らかにした、というようなリアルなパフォーマンスの発揮を評価していく必要があります。

このような評価を実施するためは、獲得したスキルを活かして生み出される「具体的な成果」を先に決めて、実務を割り当てることが重要

例えば、「自社のECサイト上でABテストを実施して、WEBサイト上の動線を15%以上改善すること」といった内容です。これに「何日で」といったパフォーマンス力を観点に付加してもよいでしょう。

このように、どのような実務を社員に担当させ、どの程度パフォーマンスを発揮したかなど、上層部に的確にその評価をフィードバックする任務をマネジャーは請け負うことになります。

リスキングは、企業の生き残りをかけた活動

リスキング導入におけるマネジャーの心構え

マネジャーは、まず自身がリスキリングの重要性を感じ取り、自社内でなんとかこれを展開しようと、自ら変化することに努めましょう

ブロックチェーンに5G、FemTechやTransTechといった新領域との融合など、今後もテクノロジーの進化が止むことはありません。
そしてそのスピードはさらに高速化すると予想されます。

どの企業も、またどの個人も、こうしたテクノロジーの進化と無縁のままでいることは不可能。

リスキングは、企業の生き残りをかけた活動です。
変化し続けることで、自社の存続を確かなものにするしか道はない、ということです。

参考になる関連書籍を紹介しておきます…

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