トップセールスと聞くと…
話が上手い人?
他にも、
- 押しが強い
- プレゼンが得意
…など、様々なイメージが思い浮かぶと思います。
しかし…
実際に成果を上げ続ける営業パーソンには、共通する「3つの習慣」があります。
今回は、日本の大手自動車ブランドで毎年100台以上を販売し続けた元営業マンの話をもとに、「売れ続ける人」が日々どんな行動をしていたのかをひもときます。
筆者がキャリアコーチとして活動する中で出会った方で、企業研修の講師として登壇していただいたこともあります。
これまでの交流を通じて得た実践的な気づきを、みなさんの仕事にも役立てていただければ幸いです。
1. 営業トークより「相手の話を聴く力」

営業といえば「話術」が武器だと思われがちですが、成果を上げる営業パーソンが重視しているのは、実は「聴く力」。
相手の言葉に耳を傾け、小さな関心ごとに寄り添うことで、信頼が生まれます。
話すより聴く…
この姿勢が、顧客の心を開く第一歩になります。
商談の第一歩は「話す」ではなく「聴く」

営業=話術というイメージをもつ方も多いかもしれませんが…
彼が大切にしていたのは「聴く」姿勢でした。
商談の際…
8割はお客様の話を聴いていました
その背景にあるのは…
顧客が本音を話してくれるのは「自分のことを理解しようとしてくれる相手だけ」という考え方があります。
商品を売る前に、その人の立場や困りごと、価値観を深く理解する。
トップセールス曰く…
「聴く」がなければ、顧客に寄り添ったサービスは提供できません。
何を聴くか?顧客の「小さな関心ごと」に寄り添う

誰もがつい使ってしまう営業トーク…
最近…
お仕事の方はいかがですか?
一見、自然な会話の入り口に思えますが…
相手は、どう答えていいか迷うことも多い。
さらには、相手に…
話題を要求しているような印象を与えかねない。
そこで彼が心がけていたのは、自然に相手の懐に入るアプローチ。
たとえば、前回の会話で出てきた「趣味」や「ご家族の話」、「ちょっとした悩み」などに注目し、記憶しておく。
そして、次の商談でこう切り出します。
前回お話されていた○○
その後どうなりましたか?
ポイントは、顧客の「小さな関心ごと」に寄り添うこと。
トップセールス曰く…
顧客の「小さな関心ごと」に寄り添えば、相手は「自分に関心をもってくれている」と感じ、心を開きやすい。そうすれば、あなたはフラットに相談できる「パートナー候補」へと昇格するでしょう。
もっと営業のコミュニケーションの知識がほしい…
そういう方は、以下の記事が参考になります。
ご活用ください。
2. 商品ではなく「誰に届けるか」を考える


営業でつまずいたとき、商品や価格のせいにしてしまいがち。
しかしトップセールスは、「誰に届けるか」に視点を変えていました。
必要としている人に届ける…
その意識が、感謝される営業へと導きます。
顧客の暮らしや価値観に合わせた提案が、選ばれる理由になるのです。
「売る」から「届ける」へ:営業を変える発想の転換


営業成績がふるわないとき、
つい口にしたくなるのが、この一言。
売れないのはこの商品のせいだ…
でも、彼の視点は違いました。
商品のせいにしない。
私はこの車を…
必要としている人に、届けられているだろうか?
そして、こう考えます。
どんな人なら
喜んでくれるだろう?
その他にも、この車は…
どんなシチュエーションで
活躍できるだろう?
こうして発想が変わると…
「売る」ことではなく、「届ける」ことが目的になる。
すると自然に…
「ありがとう」が返ってくる
営業になるんです
彼が大切にしていたのは、そんな前向きな視点の切り替えでした。
トップセールス曰く…
不満を口にするより、「喜んでくれる人」を探す。その人に届けることが、私の仕事だと思えば、気持ちも行動も前向きに変わります。
セグメント思考:顧客を絞り込み、提案を変える


ここで重要になるのが、セグメント思考。
セグメント思考とは…
顧客全体をひとくくりにせず、属性やニーズごとに細分化し、それぞれに合ったアプローチを考える思考法
たとえば、ファミリーカーを提案する場合でも、
- 小さなお子さんがいる家庭
- ペットと一緒にドライブしたい人
- 実家と頻繁に行き来するご家族
…など、生活スタイルによって提案を変えます。
ポイントは…
「この商品をどう説明するか」ではなく、
この人にとって
どんな価値があるかを伝えること
たとえば、
- この車は荷室が広く、キャンプ用品も楽に積めますよ
- チャイルドシートに乗せやすい高さなので、腰への負担が少ないと好評です
このように、相手の暮らしに寄り添った言葉を使うことで、提案の説得力が変わります。
さらに彼が大切にしていたのは、「誰に売れるか」ではなく「誰に喜ばれるか」で考える姿勢。
トップセールス曰く…
「この商品が合わない人」に合わせようと悩むより、心から喜んでくれる相手を探すほうが、営業はうまくいきます。
3. 顧客のパートナーになる


営業は「売る側・買う側」の対立ではなく、課題解決のパートナーになることが重要。
相手の立場に寄り添い、一緒に未来を考える姿勢こそが信頼を生みます。
さらに、丁寧なアフターフォローや万が一の対応まで含めた「寄り添い力」が、選ばれる営業へとつながります。
「一緒に考える」という営業スタンス


商談というと、
「売る側 vs 買う側」でしょ
…そんな「対立構造」を思い浮かべる方も多い。
でも彼は、商談を「同じ課題に向き合うパートナーシップ」として捉えていました。
つまり、大切にしたのは…
「売る」「値引く」といった「駆け引き」ではなく、
- この課題、どうすればより良く解決できるだろう?
- この車を通じて、相手の暮らしや仕事にどう貢献できるだろう?
…といった、一緒に考える姿勢です。
このスタンスは、営業=プロデューサーという考え方に近い。
言われた通りに商品を売るのではなく、
誰に届けるべきか?
どんな提案なら響くか?
を自分の頭で考える
そして、相手の立場や環境に寄り添いながら、
「この車でどんな未来が描けるか」を一緒に描く…
そんな営業こそ、信頼を集め、選ばれ続けます。
もちろん、自社の商品を買ってほしいという気持ちはあります。
しかし、時には商談を無理に進めずに、
今回は条件が合わないので
見送ろう
…と判断することも。
その冷静な判断が、かえって顧客との長期的な信頼関係を築く、と語ります。
トップセールス曰く…
営業は「売り込み」じゃない。一緒に考えてくれる人になる。すると、人は心を開き、交渉のテーブルに着いてくれます。
顧客のロイヤリティは「売った後」に決まる


優れた営業パーソンほど、
売ってからが本当のスタート
…という意識をもちます。
彼もまた、こうした「アフターフォロー」を徹底しました。
- 納車後すぐのフォロー電話
- 点検・整備のタイミングでの案内
- 年賀状や誕生日カードなど、節目のあいさつ
こうした「売った後」の接点こそ、信頼を深めるチャンスになる。
結果的に…
またお願いしたい
知り合いにも紹介したくなる
…という声につながります。
こうした関係づくりの力は、今の時代、ますます価値が高まっています。
とくに近年は、SNSや口コミサイトでの評判が「営業の信用」に直結する時代。
丁寧なフォローが、思わぬところで感動を呼び、
最高の広告になる!
…というケースも少なくありません。
企業にとっても「リピーターの存在」は重要。
なぜなら…
- 一度の購入で終わらず、長く関係が続く(=LTVが高まる)
- 既存顧客の維持コストは、新規開拓の5分の1(=1:5の法則)
- ロイヤル顧客は、次の顧客を「連れてきてくれる」
だからこそ、「購入はゴールではなく、信頼関係のスタート」という発想が、営業には欠かせないのです。
トップセールス曰く…
感動も不満も「売った後」に生まれる。納車後も気にかけてくれる、その心遣いが、次の信頼と紹介につながります。
クレーム対応こそ、信頼を生むチャンス


クルマは高額な買い物。
だからこそ、納車後に不具合やトラブルが起きたときの対応が、営業にとって信頼構築の「本番」になります。
たとえば、こんなケース。
ガソリンが減らないんですけど…
具体的には…
ガソリンメーターの表示に一時的な不具合があったケースです。
彼の行動は…
- お客様の不安を受け止め、状況をヒアリング
- サービス部門と整備や点検の段取り
- お客様に見通しを説明
ここで大切なのは、
あちこちに連絡しなくても
この人に言えば大丈夫
…と思ってもらえる営業になること。
「お電話をサービス部門に回します」など、「タライ回し」の状況をつくったら、信頼はすぐに崩壊します。
点検の手配から修理、代車の案内、店舗のスケジュール確認まで、なるべくワンストップで対応できるよう動く。
この姿勢が、安心感と信頼につながります。
事前の連絡も重要です。たとえば…
店休日や営業時間外は…
○○〇にご連絡いただければ
対応できるようにしています
不具合そのものをゼロにはできなくても、「いざ」というときは、頼れる人がいる…。
そう感じてもらえるかどうかが、信頼構築の分かれ道です。
トップセールス曰く…
お客様が迷わず相談できるように動く。それが、顧客の心に「この人に任せたい」という気持ちを生みます。
選ばれるのは「商品」ではなく「あなた」


家や車のような大きな買い物になるほど、性能や価格だけでは決めきれなくなります。
そこで大切なのが、自分の話を丁寧に聴き、未来を一緒に考えてくれるかどうか。
提案力だけでなく、寄り添う姿勢や信頼関係が、「この人に任せたい」という決め手になります。
まずは「相談したい」をつくる


たとえば、人生に一度の買い物…
あなたが家を建てるとき、どんな設計士に任せたいですか?
住宅の知識が豊富な人かな…
それとも…
あなたやご家族の未来の暮らしを丁寧にくみ取り、理想を形にしてくれる人でしょうか?
設備や間取りの説明だけでは、便利さは理解できても、それが自分の人生にどんな影響を与えるのか分からない。
やはり、「私の理想」を理解し、それを形にしてくれる設計士に選ぶと思います。
カーライフの提案も、まったく同じです。
車の性能や装備を説明するだけなら、誰にでもできます。
でも、トップセールスは違う。
- 丁寧なヒアリング
- 相手の生活を思い浮かべた提案
- 納車後のフォローや、困ったときの頼れる
その一つひとつが、お客様の中に…
この人は
私たちの未来を真剣に考えてくれる
…という実感に変わります。
その実感が積み重なったとき、お客様の心に…
「この人なら相談できる」という気持ちが生まれます。
誰かの「伴走者」になる


営業の仕事は、ただ商品を売るだけのものではありません。
相手の人生を、より豊かにするパートナーになる。
そう考えたとき、営業という仕事は、ただ「売る」だけではない、大きな価値を届ける仕事に変わります。
トップセールス曰はく…
車を売っている
という感覚はないんです
その方の人生が、この車と一緒にもっと楽しく、もっと豊かになる。
その未来を一緒につくるお手伝いをしているだけ。
お客様から…
あなたに任せて、本当によかった
…と言ってもらえる。
この一言が、私のモチベーションだった。
最終的に選ばれるのは、機能や価格ではなく…
お客様の暮らしに寄り添い、人生をより豊かにする「伴走者」としての姿勢です。
この記事で紹介した習慣が、あなたの営業活動を「売る」だけの仕事から、「誰かの人生を支える」仕事へと変えるきっかけになれば幸いです。
今日からの一歩が、誰かの「あなたに任せたい」を生むかもしれません。