上司と部下の板挟みを抜け出す仕事の調整術|「Yes, but」で業務時間を守る
これお願いできる? 急ぎなんだけど
課長、この件どうすればいいですか?
上司からの無茶振りと、
部下からの終わらない相談…
また、自分の仕事は後回し…
「今は無理です」と言いたくても、相手の気分を害するのが怖くて飲み込んでしまう。
そんな「優しい中間管理職」のあなた、
気がつけば、職場の「都合のいい便利屋」になっているかもしれません。
この記事では、角を立てずに自分の時間を守る、
代替案(Yes, but)
の出し方を解説します
自分もチームも守れる「調整術」を知ることで、日常業務のタスクを無理なく整理できるようになります。
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もし、すでに業務過多で心身ともに限界を感じている場合は、まずはこちらの記事で心の守り方を確認してください。
「いい人」をやめることは「チームを守る」こと


まず、ここで一つ誤解を解いておきましょう。
「いい人(都合のいい人)」を卒業=「冷たい人」になる、ことではありません。
自分のリソース(時間・体力)を適切に管理し、チーム全体のパフォーマンスを上げるプロの「調整役」になることです。
頼まれた仕事をすべて受けることで生じる「3つの副作用」


頼まれた仕事はすべて「YES」で引き受ける。
この悪影響は、あなた個人にとどまりません。
実は…
組織全体にも次のような悪循環を生み出すのです。
- チーム全体の停滞を招く
残業が常態化し、あなた自身の疲弊がチームの停滞を招いてしまう。 - 仕事全体のクオリティが低下する
一つひとつの仕事にかける時間が減り、依頼主の期待に十分応えられない恐れがある。 - 部下が自律せず依存傾向になる
上司に頼る癖が定着すると、部下の間に依存体質が生まれる。
プロとして「リソースの境界線」を引く


真に信頼されるリーダーとは、「なんでもやる人」ではありません。
「自分とチームがベストパフォーマンスを出せる限界値(リソース)」を正確に把握している人です。
無理をして引き受けて納期に遅れたり、品質を落としたりすることは、長期的には依頼主や組織に対して「不誠実」な行為。
戦略的に断ることは、自分とチームの仕事の質を守るための、
誠実で責任あるアクションなのです
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「自分がやった方が早い」と思って仕事を抱え込んでしまう方は、こちらの処方箋も併せてご覧ください。
100か0かで考えない。「Yes, but」の交渉術


断るのが苦手な人は、選択肢を「Yes(すべて受ける)」か「No(拒絶する)」の2択で考えがちです。
この思考法だと、断ることに強い罪悪感を覚えてしまいます。
そこで有効なのが、その中間にある「Yes, but(条件付きYes)」、つまり代替案(オファー)の提示です。
「断る」のではなく「条件」をすり合わせる


「Yes, but」の基本は、相手の「助けてほしい」「解決したい」というゴール自体は否定しないこと。
そのうえで、プロセスや納期についてこちらから逆提案します。
「できません(No)」と突っぱねるのではなく、
協力する意思を示しながら
条件を提示するのがポイントです
その件、お手伝いしたいのですが、現状のタスク状況ですと本日中の完遂は難しいです。ただ、明日の朝イチ着手でよろしければ、私が責任を持って対応可能ですが、いかがでしょうか?
このように、
- Yes:やりたい気持ちはある
- but:条件を調整してほしい
…と伝えることで、対立を避けつつ着地点を探れます。
「感情」ではなく「物理的な限界」を伝える


代替案を出す際のポイントは、断る理由を感情やモチベーションにするのではなく、
物理的なリソース不足にすることです
「今、気分が乗らないので」と言われれば相手も不快になりますが、
すでに予定が埋まっていまして
物理的に時間が確保できません
このように伝えられると、相手も事実として受け入れざるを得ません。
協力する意思は示しつつ、物理的な制約を理由に条件を調整する。
このスタンスを貫くことで、角を立てずに交渉のテーブルに着くことができます。
【実践編】シチュエーション別・代替案のパターン


では、明日から職場でそのまま使える具体的なフレーズをご紹介します。
いずれも、日常業務でよく起きる「ちょっと困った依頼」を、角を立てずに調整するための言い回しです。
パターン1:上司の依頼は「納期か優先順位」を確認する


上司は往々にして、部下の現在のタスク量を正確には把握していません。
「急ぎで」と言う場合でも、実は「不安だから早く手放したい」だけのケースも少なくありません。
◎ 代替案
承知しました。ただ、現在Aプロジェクトの対応中でして、本日中にその件を割り込ませるとクオリティが保証できません。明日の15時までお待ちいただけるなら、私が対応できますがいかがでしょうか?もしくは、Aプロジェクトの納期を後ろにずらして、こちらを最優先にしますか?
※ 効 果
単に「忙しいから無理」と断るのではなく、「いつならできるか(納期変更)」や「どれを捨てるか(優先順位の入れ替え)」という条件を提示し、判断を上司に委ねます。これにより、上司の顔を立てつつ、無茶なスケジュールを回避できます。
パターン2:部下の丸投げ相談には「部分対応」で返す


部下からの「どうすればいいですか?」という丸投げ相談の対応策。
優しさから「いいよ、私がやっておく」とタスクごと引き取ってしまうのを防ぐことができます。
◎ 代替案
相談に乗りますね。ただ、私がゼロから全て修正すると時間がかかってしまいます。まずは骨子と方向性だけ〇〇さんが作ってくれませんか? 私はその後の『最終チェックと承認』だけ担当します。それなら今日中に見れますよ。
※ 効 果
「協力はするが、実行責任は部下にある」という線引きを明確にします。「100%引き取る」か「突き放す」かではなく、「一部だけ手伝う」という部分対応のオファーを出すことで、部下の成長を促しながら自分の時間を守ることができます。
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部下がなかなか自走してくれないとお悩みなら、指示出しではなく「伴走」のアプローチがヒントになります。
パターン3:他部署の依頼には「次回のルール」をセットで返す


他部署から「ついでにこれもお願い」と雑用を頼まれやすい人は、安売りしすぎています。
貸し借りのバランスを保つために、次回のルールを提案しましょう。
◎ 代替案
わかりました、今回は特例としてこちらで対応しますね。その代わり、次回からはこの依頼フォーマットに入力してから送っていただけますか? その方が手戻りがなくなり、お互いにスムーズに着手できると思いますので…
※ 効 果
ただ作業を引き受けるだけでなく、「業務改善の提案(条件)」をセットにします。「頼むと少し手間がかかる(ちゃんとしたルールがある)」と相手に認識させることで、安易な「丸投げ」を抑制し、対等なビジネスパートナーとしての関係を築けます。
断ることは、信頼を損なうことではない


条件をつけたり断ったりすると、使いにくい部下だと思われるのでは?
そう不安になる方もいるかもしれません。
しかし、ビジネスの現場ではその逆であることがほとんどです。
「Yes, but」を言える人が信頼される理由


- キャパオーバーな請負人
何でも「ハイハイ」と安請け合いして、結局パンクして納期に遅れる人 - 「可否」と「代案」をセットで話せる人
「今の自分にはこれができますが、これはできません」と現状を明示し、代替案を出せる人
上司や周囲が安心して仕事を任せられるのは、間違いなく後者です。
なぜなら…
後者は「予測可能」だからです
自分のキャパシティを把握し、できないことは事前に交渉してくれる人は、プロジェクトのリスク管理において非常に重要。
「Yes, but」を使いこなすことは、ビジネスパーソンとしての信頼度(プロ意識)を高める行為に他なりません。
上司・部下にパスを出す勇気を持つ


上司と部下の板挟みで苦しいのは、あなたが「解決しなきゃいけない」というボールを、全て自分で持ち続けているからです。
代替案(Yes, but)を出す行為は、ボールを相手に2種類(条件と代案)のパスを出す行為と同じ。
- パス1(条件)
この条件が飲めるならやります - パス2(代案)
飲めないなら、別の方法を一緒に考えましょう
決定権の一部を相手に戻すことで、あなたが一人で抱え込んでいた精神的な重圧(責任)は劇的に軽くなります。
板挟みから脱出する鍵は、この「パス回し」にあるのです。
まずは「小さな微調整」から始めよう


いきなり、大きなプロジェクトを断る必要はありません。
まずは、
今日中は難しいですが
明日なら対応できます
このような…
小さな納期の微調整(1日ずらし)からで十分です。
その一言が言えるようになるだけで、
あなたの業務時間は守られ、本来注力すべき仕事に時間や集中力を使えるようになります。
まずは1日1回。
「Yes」の代わりに、「Yes, but…」を使ってみてください。
その小さな一歩は、
「便利屋」を卒業し、プロの「調整役」になる道へと続いています。
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