「定年=引退」はもう昔の話。
とはいえ…
「70歳、80歳まで働き続けるの?」と不安を感じたことはありませんか?
実は…
「週3日・月10万円」で
ゆるく働いても大丈夫!
そのワケをデータとともにご紹介します。
この記事では、働くシニアの実態や、支出が減る仕組み、「月10万円」で安心できる理由を解説。
あなたらしい「ゆるい働き方」を見つけましょう。

いま広がる「働くシニア」のリアル

「定年後=隠居」という時代は終焉…
最近では、60代はもちろん、70代になっても元気に働く人が増えています。
以下は「令和6年版 高齢社会白書」のデータです。

https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2024/html/zenbun/s1_2_1.html
他のデータでは…
(就業率を)年齢階級別にみると、65~69歳は10年連続で上昇し、2021年に初めて50%を超えて50.3%となり、70歳以上は5年連続で上昇し2021年に18.1%となっています。
「統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-」
https://www.stat.go.jp/data/topics/topi1322.html
定年は“終わり”ではなく、「第2ステージの始まり」と捉える人が増加。
とくに…
女性の就業率はこの20年で大きく伸びています。
(2000年以降)60代前半の女性の就業率は37.8%から63.8%まで急上昇した。また、60代後半の女性の就業率は2012年から2023年までの間に27.8%から43.1%まで上昇している。
「6 女性、高齢者が急速に労働市場に流入している}
https://www.works-i.com/research/project/work-style/change/detail006.html
こうした背景には「お金のためだけじゃない」という気持ちの変化も…
- 社会とつながっていたい
- 健康なうちは動いていたい
そんな前向きな想いが、多くの人を次のステージへと後押ししています。
定年後は支出もスリム:意外と無理なく暮らせる理由

定年を迎えると、どうしても気になるのが「お金」のこと。
大企業に勤めていた方も…
再雇用や年金生活に入ると、年収が数百万円単位でガクンと下がることがあります。
この先
暮らしていけるのかな…
そんな不安を感じることも多いはず。
でも…
支出も収入と同じように自然と減っていきます。
具体的には…
- 住宅ローンの終了
返済が終われば、ローン支払いの負担がゼロに - 教育費が不要に
子どもの独立で学費・仕送りがなくなります - 税金や保険料の軽減
収入が下がれば、所得税や健康保険料も減る - 生活スタイルの変化
通勤・外食・被服費などの支出が減る
以下は、2人以上の世帯における1ヶ月あたりの平均消費支出です。

出典:総務省 家計調査 年報(家計収支編) 令和5年版
https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/pdf/fies_gaikyo2023.pdf
年 代 | 消費支出(1ヶ月) |
50〜59歳 | 348,025 円 |
60〜69歳 | 306,476 円 |
70歳以上 | 249,177 円 |
65歳以上で見ると、月平均支出は 261,235円。
確かに…
家族構成や健康状態によって出費は変わります。
とはいえ…
生活費は年齢とともに下がるのも事実。
定年前と同じような高収入がなくても、
支出が減る分…
「ちょうどいい暮らし」は
十分可能です
要するに、生活費にあわせた収入があればいいわけです。
大切なのは、収入に見合った「暮らしのサイズ」を見つけ、その中で無理なく心地よい日々を送ることです。
老後に必要な補填額は「月10万」でちょうどいい

年金生活…
赤字はどれくらい?
家計調査報告の平均値で言えば…

さらに医療費や冠婚葬祭などの臨時支出が加わると、どうなるでしょうか?
臨時支出の目安は、下図のとおり…

貯蓄額にもよりますが…
臨時支出を踏まえると「月10万円」が目安となります。
「月10万円」というラインは、決して大きすぎる金額ではありません。
たとえば、週3日・1日5時間働けば、月60時間。
時給1,000円であれば、月6万円の収入になります。
これにパートナーの収入があれば…
十分にバランスのとれた
生活が可能
「週3・月10万」という働き方は、身体への負担を抑えながら、家計の安心感を高められる現実的な選択肢。
現役時代のようにフルタイムで働かなくても、必要な収入を無理なく得られます。
また、前章のとおり…
老後は支出そのものが減る傾向にある。
住宅ローンの完済、教育費の終了、通勤・外食・被服費の減少など、自然と出費はスリムになります。
つまり、「月10万円」の副収入があれば、年金生活に適度なゆとりが生まれ、「ちょうどいい」老後の暮らしが無理なく実現できるというわけです。
高齢期の仕事は「ゆるく」「自由に」

ゆとりのある生活には「月10万円の副収入」が必要…
では、その収入をどう得るか
…が次のテーマになります。
定年後の働き方は、現役時代のようにフルタイムでなくてかまいません。
たとえば、次のようなスタイルです。
- 短時間アルバイト
週3〜4日、軽作業・接客など、シフト自由 - これまでの経験を活かす
コンサル、講師業など - 地域活動やNPO、ボランティア的な仕事
- 趣味を収入に変える
家庭菜園の野菜販売、DIY作品のネット販売
実際、下図のように、65歳を境に時間や働き方に柔軟性のある仕事を選ぶ人が増えています。

要するに、大多数が無理のない形態でセカンドライフを築いているのです。
これは、高齢者の就業状況にもあらわれています。
総務省「高齢者の就業状況」によると、60歳を境に非正規雇用の割合も、男女ともに急増。

男性の非正規雇用の割合は55~59歳の11.2%から
60~64歳で 44.4%
65~69歳で 67.6%に上昇
女性は同期間で58.5%から73.3%、84.8%となり、男性より高い水準で推移しています。
非正規雇用についた理由は以下のとおり…

働く理由についても…
「定年後に働いている理由」(複数回答可)については、「生活費を得るため」が一番多く54.6%が回答しましたが、「社会とのつながりを保つため」(43.0%)と「身体的健康を維持するため」(42.1%)」が拮抗して続く結果となりました。必ずしも「お金のため」だけの就労ではない様子が伺えます。
「定年退職後に働いている65~74歳の男女対象調査」https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001740.000005089.html
つまり、高齢期の仕事は…
やりがいと無理のなさを
両立するのがポイント
家計を支えながら、暮らしの質も高めるような働き方を選ぶことで、老後の生活は快適になります。
年金は「繰り下げ」が圧倒的にお得

公的年金は、65歳から受給できます。
ですが、受給開始を遅らせる「繰り下げ制度」を使えば、生涯の年金額を大幅に増やせます。
たとえば、70歳まで繰り下げた場合…
年金は42%増額!
月20万円だった人は…
約28.4万円を受け取れます
以下は、繰り下げによる年金額の変化の目安です。
受給開始年齢 | 増額率(65歳比) | 月20万円の年金が… |
66歳 | +8.4% | 約21.7万円 |
68歳 | +25.2% | 約25.0万円 |
70歳 | +42.0% | 約28.4万円 |
このように、2年、5年と遅らせるごとに受け取れる金額は着実に増えていきます。
たとえば…
月20万円が28万円以上になれば、年間で96万円以上、10年で約1,000万円もの差になります。
一度増えた金額は
一生涯続く!
これが、繰り下げ制度の最大のメリット。
ただし、65歳から70歳までの5年間、まったく収入がない状態で過ごすのは現実的ではありません。
だからこそ、
70歳以降を見据えたキャリアプラン
が重要
老後資金というと、つい「定年後からの支出」に目が向きがちです。
しかし…
今後は「何歳から、どのくらい年金を受け取るか」から逆算して、長期的な収入計画を考える視点が求められます。
いっぽうで、
お得なのは分かるけれど
自分にできるのか不安
…と感じる人も多い。
実際のところ…
金融広報中央委員会の調査では、繰り下げ受給を実際に選んでいる人は全体のわずか2%程度にすぎません。

その背景には、
- 70歳までもつ貯蓄があるか不安
- 万が一、短命だったら損では?
…といった心理的なハードルがあるようです。
そこでおススメするのは…
定年後を見越して
早めに副業に挑戦すること
「確実に収入につながるスキル」を身につけることが、有効なキャリア戦略となります。
副収入を得るための第一歩として、スキルを学び直す「リスキリング」も有効。
以下の記事が参考になります👇
副業の始め方については👇
こうした副収入の手段をもつことで、「70歳までの生活資金がもつかどうか」という不安を和らげることができます。
繰り下げ受給という選択肢も現実的に検討しやすくなる。
たとえば5年間繰り下げた場合…
損益分岐点はおよそ81歳
つまり…
平均寿命(男性約81歳、女性約87歳)を超えて生きる可能性が高い現代において、繰り下げ制度は「長生きリスクへの保険」と言える存在です。
とくに…
長生きするほど生活資金が不足しやすい単身世帯では、最初から年金額を底上げしておくことに大きな意味があります。
たとえば…
65歳から月20万円の年金を30年間受け取った場合と、70歳から月28万円を25年間受け取った場合とで、総額は以下のように異なります。
開始年齢 | 月額年金 | 受給年数 | 総額(概算) |
65歳 | 20万円 | 30年 | 約7,200万円 |
70歳 | 28万円 | 25年 | 約8,400万円 |
以上のように、「長く生きれば繰り下げのほうが有利」という構造は明らか…
収入の空白期間をゆるく働いて乗り切ることで、無理なく繰り下げ制度のメリットを活かすことができます。
老後の安心は、
年金を「早くもらう」より…
「育てて増やす」発想
から生まれます
「70歳まで働く」は 意外と快適かも


かつては「70歳まで働くのは無理」という見方が一般的でした。
しかし…
近年の調査データはその印象を覆しつつあります。


実は、50代以降…
仕事に対する満足度が
年齢とともに高まっています
全国10万人規模の「はたらく定点調査」(パーソルホールディングス、2023年3月実施)によると、
「仕事全体の満足度」について、「満足」と答えた割合が最も少なかった年代は40代で44.4%という結果だった。一方で、「満足」と答えた割合が最も高かったのは10代で68.0%、次に高かったのは60代で58.9%だった。若年層が高く、ミドル層になるにつれて低下し、シニア層になって回復する傾向が見られた。
このように、仕事に対する満足度は50代以降で着実に上昇しており、「高齢期の労働 ⇒ ネガティブ」という通念とは異なる実態が見えてきます。
こうした変化の背景には、働き方が柔軟になっていることが挙げられます。
前述のとおり…
60代以降は、週に数日・短時間だけ働く、あるいは自分のスキルや趣味を活かした副収入を得るといった「ゆるやかな労働スタイル」が主流になっています。
加えて…
人との接点や生活リズムがあることは
高齢期における生活の質にも直結
このように、「70歳まで働く」という選択は、もはや特別なものではなくなりつつある。
無理のない形で働き続けることが、心地よいセカンドライフを築くカギになっているのです。
50代から始める「ゆるキャリア設計」


かつては、キャリアといえば「60歳で定年」が当たり前とされてきました。
しかし今では、働き方もライフステージも多様化し、キャリアのゴールは年齢ではなく、「どう生きたいか」で決める時代になっています。
おススメしたいのは、50代のうちに…
「ゆるやかなキャリア」の再設計
を始めること
ポイントは、年齢に応じて働き方の重心を少しずつシフトしていくという考え方です。
以下のような「3段階のキャリア戦略」が、その参考になります。
時期 | キャリアの考え方 |
20〜50歳 | スキルの獲得とキャリアの積み上げ、副業による収入源の分散 |
50〜65歳 | パフォーマンスは6〜8割に抑え、後進育成や興味のある分野へ徐々にシフト |
65歳以降 | 月10万円程度の副収入を得つつ、生活の質を優先する働き方へ |
このように、50代は「キャリアの終わり」ではなく、第二ステージへの助走期間と捉えることができます。
実際のところ…
下図のとおり、60代・70代の就業率は上昇傾向。(令和2年版『高齢社会白書』)


就業している高齢者の「仕事をする理由」は多様化しています。


最も多いのは「収入がほしいから」です。
いっぽうで、「仕事そのものが面白いから」「自分の知識・能力を生かせるから」「健康の維持や老化防止のため」といった経済的理由以外の動機も2〜3割程度存在。
年齢が上がるにつれてその割合が高まる傾向が見られます。
こうした結果から、高齢期の労働は単なる生活費の補填にとどまらず、生きがいや生活リズムの維持、社会とのつながりを保つための手段としての側面も強まっていることがわかります。
また、企業側でもシニア人材の経験を活かす制度や、短時間勤務・兼業など柔軟な働き方を導入する動きが広がっています。
こうした社会的な変化を味方につければ、50代からでも自分らしい働き方やキャリアの形を築くことができます。
「50代からのキャリア設計ってどう進めるの?」と気になる方は、以下の記事もぜひご覧ください。
大切なのは「何歳まで働くか」ではなく…
「どう働き続けるか」を考えること
その一歩を踏み出すのに、遅すぎるということはありません。
ゆるく働いて、ゆたかに暮らす


最後に伝えたいのは…
老後の働き方には
あなたが思うより自由がある
…ということ。
- 年金だけでは不安?
→ 月10万円の副収入でOK - 定年後に何する?
→ 週3日だけ、ゆるく働けばいい - 年金はいつもらう?
→ 繰り下げれば42%増える
無理せず、自分のペースで働ける環境をつくる。
これが、定年後の「ゆたかな人生」をつくるカギです。
老後の働き方には
あなたが思うより自由がある
「70歳まで働く」は苦行じゃない。むしろ…
人生を楽しむための
余白かもしれません
それでも…
新しい働き方を続けられるか不安
…という方は、👇の記事でモチベーションの保ち方をチェックしてみてください。