新入社員のみな様におかれましては、学生の時分はオンライン授業が多く、いきなり社会に出て敬語のつかい方に不安を抱いている方も多いと思います。
また、管理職のみな様におかれましても。営業先での新入社員の言葉遣いを心配される方もいらっしゃると思います。
そこで今回は…
ビジネスの様々なシーンで使われる敬語について…
知識を整理して、提案いたします。
こんな方に役に立ちます。
- 敬語に不安をお持ちの方
- 新入社員の言葉遣いが気になる方
- 面接の予定がある方
ポイント1 「させていただく」は状況に応じて使う
言葉というのは、正しくなくとも世間一般に流通し始めると、追認されるという不思議な一面があります。
つまり、誤用を世間が認めれば、誤用ではなくなるというあいまいさがあるということです。
ですから、言葉の「常識」と言われても、怪しい…と疑ってかかるほうがよろしい…
その最たるものが、「…させていただく」という謙譲語の流通(氾濫)。
筆者は、若い方には状況に応じて使えばよい、と教えています。
具体的に使う場面を例示します。
状況:合意のもと、翌日電話で注文内容を確認することになった。
それでは明日、14時前後にお電話いたします。
状況:無理をお願いしてお昼に電話する約束をとりつけた。
それでは明日、12時にお電話させていただきます。
「させていただく」をつかう場面は…
- 先方に負担を強いるような依頼をするとき
- 催促するとき
- お詫びを申し上げるとき
- お断りするとき …などの状況です。
先方に負担をかけるなあ…、気の毒な思いをさせるなあ…と、あなたが判断すれば「させていただく」を使えばよいわけで、必ず使わなければならないビジネス敬語ではありません。
作家の司馬遼太郎氏が「街道をゆく㉔『近江散策』」の中で述べてますが、「させていただく」のベースは敬語ではなく宗教観にあるという見方に賛成です。
立ち読みすると様々な気づきがありますので、紹介しておきます…
若い方が「させていただく」という表現に違和感・抵抗感を抱くのは、鋭敏な感性が働いているのだと思います。
過剰なへりくだりは、相手に自身の「自信のなさ」を印象づけます。
へりくだり、自分の能力を過小評価する表現を、英語では、“Out of Power language”と言います。将来、周囲に影響を与え、人を動かすリーダーを目指すのであれば、ポジティブではっきりした表現で意見を述べる習慣を身につけるべきです。
率直に自信をもって、はっきりものを言う人は…
リーダーに選ばれます。
若い社員に「させていただく」という謙譲表現を常識のように強要する上司にも、筆者は違和感を感じています。
ポイント2 尊敬語と謙譲語の混同に注意して、使い慣れる
❶ 敬語の復習
では、敬語の復習…
つかい方をよく誤る点は、以下の3点です。
- 尊敬語と謙譲語を混同してつかう。
- 身内(自社の上司)の行為を尊敬語で表現してしまう。
- 尊称・謙称・敬称の使い方があいまい。 ※ この後ふれます
尊称・謙称・敬称は次のとおりです。(固有名詞を対象に用いる)
主としてメール等の文章で使われます。
各社テンプレートがあると思いますので、それに沿って適切に使用すれば問題ありません。
知識のみ頭に入れておきましょう。
❷ 尊敬語と謙譲語の混同に気をつけ、使い慣れましょう
「誰に対して」を意識して、尊敬語・謙譲語を区別して使っていきましょう。
参考のために、よく使われる尊敬語と謙譲語の対照表を、以下に載せておきます。
「ご持参いただく」「お待ちします」は、尊敬語と謙譲語を混同しているので誤用です。よく耳にしますので、ご注意を!
❸ 敬語 Q&A
※右端の「v」をクリックしてください…
控えた方がよいと思います。筆者も詳しく調べてみたことがあるのですが、賛否両論あります。西日本と東日本、つまり方言の影響もあるとのことです。したがって、全国に出張する機会が多い方は、「いらっしゃる」で統一した方が適切です。
「自分」がどうすればよいか尋ねるときは「いかがいたしましょうか?」で、取引先・上司・目上の人にどうされるか尋ねるときは「いかがなさいますか?」と使い分けます。自分か相手かで使い分けてください。
「了解しました」です。取引先や上司に対して使っている方がいますが、冷や汗ものです。了解のあとにつく言葉に敬意を込めることで、表現的・敬語的には問題ないとも言われていますが、抵抗感をもつ方が多くいらっしゃいます。「かしこまりました」「承知しました」という表現をおつかいください。
その他、「こんな場面では?」という質問をよく受けますので、1例載せておきます。
勤務先の会社で会合を開きます。
会を始めるときに挨拶をする社長を紹介するのですが、その際に敬語は使っていいのですか?
その会合にどんな方が出席されるか、司会者がどんな立場で司会をするかによって敬語の使い方が変わります。
社員だけが出席する社内の会合なら…
- 社長からご挨拶があります。
- 田中社長からお話をうかがいます。
などのように、社長への尊敬表現や社長に対する謙譲表現を使う方がよいでしょう。
社外の人たちを招いて開く会合であれば…
- 社長の田中がご挨拶を申し上げます。
- 当社社長がご挨拶いたします。
などのように、来客へのへりくだりを表す謙譲表現を用いる方がよいでしょう。
会社の受付などでは、謙譲表現と尊敬表現を混同しないように使い分けます。
例えば、来客に対して…
部長の田中は7階の応接室でお待ちしております。
そちらのエレベーターでお上がりになって、すぐ右手の部屋においでください
というように使い分けていきます。
敬語が重視されるのは、人間関係にかかわる知識だからです
敬語のつかい方は、ビジネスの場でしばしば話題になります。
これは、敬語が人間関係に深くかかわる知識だからです。
敬語の難しさは、主に3つあります。
- 敬語の中に「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」のような、働きの違う種類があること
- 敬語にかかわる状況や人間関係を「どう把握し、どういう敬語で表現するか」という思考が必要であること
- 個人差の問題があること(感じ方や好みの問題が存在する)
経験を重ねることにより、適切につかい分けができるようになります。
注意すべきは…
誤ったつかい方を、修正せずにつかい続けないこと、です。
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