「親ガチャ」から「上司ガチャ」というワードが派生したそうです。
非管理職であれば、上司ネタは酒のつまみとなり、大いに盛り上がるところですが、自身のステージが上がると、このワードは深刻味を帯びてきます。
例えば…
という呟きが職場で聞こえてきたら、(上司のあなたは)EQ値を高めるのが得策です。
EQについて…
さて、2020年、企業にパワハラ防止を義務付ける「改正労働施策総合推進法(パワハラ防止法)」が施行されました。どのような言動がハラスメントにあたるのか、という知識の獲得も必要ですが、大切なことはパワハラを起こすリスクを減らす、ということです。
そこで、この記事をはじめにEQ理論を取りあげることにしました。
今回は、その前提となる…
「仕事観」を記事にします。
※ 筆者主催の研修会では、主として新任の中間管理職を対象に行う内容です。
本記事が、管理職を目指している方や、本年度管理職の任についた方のお役に立てば幸いです。
今回は、筆者が行っている研修の項立てに沿って、3回シリーズでお届けします。
- 大切にしたい2つの仕事観
- 感情の気づきとコントロール
- EQリーダーシップのスタイル
今回は「❶大切にしたい2つの仕事観」です。
本記事は以下の点でお役に立ちます。
- リーダーシップの育成
- 組織力の向上
- 人材育成
大切にしたい2つの仕事観
❶ 「誰の幸せのためか」という問い、から生まれる仕事観
新任管理職に対しては、これまでの価値観からの転換を求めます。
(業績向上を目指すのは前提として)社員は管理職・中間管理職に昇進する以前、基本的には「個人の幸せ」を追求してきました。
しかし、昇進以降は、
部下の幸せ、チームの構成員の幸せを背負うことを仕事観に加えて業務にあたります
具体的には「誰の幸せのためか」という問いをもち、「誰とは部下またはチームの構成員一人一人のことだ」という認識をもつことです。
新任の管理職においては、前任者に劣らぬ業績を上げたい、と気持ちがはやる傾向にあります。そのため、部下のミスに厳しくなり、人格を否定するような叱責をするなどの問題が起こりやすくなります。
このような上司の下で働く部下は、上司に怒られないように仕事することが目的となり、チームのパフォーマンスが低下します。
新任の管理職が目指してほしいことは…
「チームが上司を向いて仕事をする」ではなく、「チームがビジョンに向かって仕事をする」という組織づくりです。
社内研修では、さらに…
部下の幸せ、チームの構成員の幸せをも保障できたことを、あなたが幸せと感じるステージが管理職
と訴えています。
このことが心理的安心感を社員にもたらし、チームのパフォーマンスは向上します。
昨今EQに加え、「DQ(良識指数)」が注目されていますが、本記事の仕事観はこれと同じ内容ととらえて結構です。
この価値観を有する上司の下で働く部下は、上司に対して以下のような評価をもちます。
- いざという時に部下を守ってくれます。自ら責任を負う覚悟をもっています。
- 部下の働きを常に公正に評価してくれます。安心して仕事に集中できます。
逆に、この価値観を有していない管理職の下で働く部下からは、以下のような不満が噴出します。
- 業績が上がらない時は、部下に問題あると責任転嫁して上に報告してます。
- すぐ感情的になります。怒られないようにびくびくしながら仕事してます。
管理職が以前と変わらず個人の幸せ(個人の業績)だけを追求する姿勢は、部下に対する言動にあらわれます。このことが…
パワハラを起こすリスクとなり、結局は会社に損失を与えます。
❷ 職場は「よき経験」を共有する場、という仕事観
業績を伸ばしている部署には、共通の特徴があります。
ミスが少なく処理が速い、そして他の部署に比べて残業が少ない、という特徴です。
その部署には、
職場は「よき経験」を共有する場という仕事観が定着しており、ミスがあっても「よき経験」に転換する働きかけが社員間にあります。
リーダーは社員間の共有を促進する役割を担っています。
リーダーが経験知を活かしたスキルを社員に指導したら、「折を見てあの新入りにも教えといて」と言葉を添えます。
また、ミスがあったときは、これを指導の機会ととらえ、行動のし方・処理の仕方を指導します。
「ミスをくり返さないことが大切」という認識を組織内に定着させれば、部下はミスをくり返さないためにどんな行動をとるべきか、という点に考えが集中するようになります。
併せて、
リーダーは社員が「単独」でミスを解決しようとするような「孤立」が生まれないように、チーム内の開放性に目を配ります
つまり、社員がミスを抱え込まないように注意を払います。
このような職場風土やリーダーシップが「ミスが少なく処理が速い、そして他の部署に比べて残業が少ない」というチームの成果に結びついています。
このようなチームに所属する部下は、上司に対して以下のような評価をします。
- 指示・指導が的確で、自分の経験値がどんどん上がっていく感じがします。
- 知識やスキルを惜しみなく与えてくれます。自分もそんな上司になりたい。
では、実際に調査結果をとおして、部下から見た上司について見ていきましょう。
データでみる上司の評価
❶ 「尊敬する上司」「上司に期待すること」に関する調査結果
2019年にエン・ジャパン株式会社が実施した「1万人が回答!『上司と部下』意識調査」の結果を紹介します。
1万人が回答!「上司と部下」意識調査 ―『エン転職』ユーザーアンケート― https://corp.en-japan.com/newsrelease/2019/17710.html
Q 「尊敬する上司に出会ったことがある」と回答された方に伺います。その上司のどんな点を尊敬していますか?(複数回答可)
第1位は「いざというときに部下を守る」(55%)でした。このような上司の下で仕事ができれば、部下は「安心」の保障を得ます。「誰の幸せのためか」の問いをもち、部下の幸せに着目する上司は、部下から信頼されることがわかります。
Q 上司に期待していることは何ですか?(複数回答可)
上司に期待していることでは、「自分の意見や考えに耳を傾けてくれる」(61%)が最多でした。部下の参画意識を高めると、「職場はよき経験を共有する場」という風土が醸成されます。
理想の上司のモデルとして、現在「共感型」がクローズアップされています。
以下の記事が参考になりますので、ご紹介しておきます…
❷ 「嫌いな上司」に関する調査結果
「嫌いな上司」についても調査結果を見ていきましょう。
株式会社ビズヒッツ(本社:三重県鈴鹿市、代表取締役:伊藤 陽介)は、働く男女500人を対象に「嫌いな上司に関する意識調査」を実施し、そのデータをランキング化しました。https://bizhits.co.jp/media/archives/8499
10代~60代の働く男女500人にアンケート調査を行った結果、
- 職場に嫌いな上司がいる人は7割
- 上司が理由で会社を辞めたいと思ったことがある人は6割以上
- 嫌いな上司の特徴1位は「相手によって態度を変える」
「上司が理由で会社を辞めたいと思ったことがある」と答えた人が6割以上という驚きの事実がわかります。上司との関係性が人材の損失に及ぶ、ということです。今回提案した2つの仕事観の重要性を証明するデータです。
部下が求めえるよき上司とは、よき仕事観をもっている
今回は、EQの前提となる2つの仕事観について記事にしました。
管理職(リーダー)はまず価値転換が必要です。目線を「個人の幸せ」から「構成員一人一人の幸せ」に向けるということです。言い換えれば、
他者の幸せにも責任をもつという覚悟
- 部下の手柄を自分のことのように喜び率直に評価する、そして成長や昇進を支援する
- 職務遂行上の困り感を軽減する配慮をするとともに、社員間のサポート体制を構築する
このような目配り気配りを継続するためには、自分は「誰の幸せのため」に職場に存在するのか、と問い続けることが必要です。
最終的には、このことが…
人材の枯渇する昨今、大きな業績になります。
次に重要なのは、職場は「よき経験」を共有する場という風土を醸成することです。
これまでは、社員間に競争意識を醸成することが有効と考えられてきました。
確かに競争意識は社員のモチベーションを高めるうえで有効です。しかし、長期的・俯瞰的には問題があります。
競争に敗れた社員のその後、評価に対する不信感や職場内の不協和など、多くのリスクがあります。
それに対して、職場は「よき経験」を共有する場という風土が醸成されれば…
社員のキャリア発達が促進され、会社全体のパフォーマンスが向上します。
これらのことは、本記事で紹介したデータが証明しています。
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