仕事を任せられないプレイングマネジャーへ~「自分でやった方が早い病」の処方箋
30代・40代のプレイングマネジャーは、
マネジメントと現場作業の板挟みにあいやすい。
- 日中は会議と部下対応で終わる
- 自分の仕事は、いつも定時後から
- 気づけば、帰るのは今日も遅い時間
こんな状況が、あなたの身にも起こっていませんか?
自分でやった方が早いんだよな…
そう思いながら、
今日もまた仕事を抱え込んでしまう。
でも本当は、
もっと任せてラクになりたい…
そんな矛盾した気持ちもあるかもしれません。
そこで本記事では、次の4点を解説。
- なぜか任せられない、その正体とは?
- 仕事の「手放し」は「戦略」である
- 「抱え込み」から抜け出す、手放しのヒント
- まとめ:「任せる」ことで人生を取り戻す
この記事をとおして…
仕事を抱え込みがちなあなたにも、「任せる」という選択肢が見えてきます。

なぜ任せられない?「自分でやった方が早い病」の正体

タスクを終えると、私たちは自然と達成感を覚えます。
経験豊富な自分が直接仕事にかかわることで…
すぐ終わる → 気持ちいい
こんな図式が、あなたの中に埋め込まれてはいませんか?
いっぽう、部下に任せるとなると…
待つ → 不安が続く
…という図式に変わる。
さらに、
- 完璧じゃないと気が済まない
- 自分がいないと回らない
こうした心理が働くと…
「任せる」ことにブレーキがかかります。
そこでまず、必要なのが…
マインドセットの切り替え
「任せる」とは…
部下の成長を信じて「仕事を返す」行為。
経験すべき仕事を部下から奪ってはいけません。
仕事の「手放し」は「戦略」である

「仕事を手放す」と聞くと…
どこか後ろめたさを感じてしまう人は少なくありません。
とくに、管理職になりたての時期…
任せる=ラクをすること
手放す=責任を放棄すること
そんなイメージをもつ方も多い。
将来的な疲弊につながるのが、この「思い込み」です。
まずは、ネガティブな思い込みを捨てて、「戦略」という視点から自分の仕事を見つめ直してみましょう。
手放さない人ほど、実は「成果」が頭打ちになる

あなたが今、抱え込んでいる仕事…
- 雑務、微調整
- 単純作業、確認
このような「部下に任せられる」タスクはありませんか?
「任せられる」仕事を抱え込むと、本来マネジャーがやるべき仕事…
- 方針を決める
- 未来を描く
- 人を育てる
これら3つに、脳も時間も使えなくなる。
つまり、手放せない状態が続くほど…
本来発揮できるはずのマネジメント力が薄れ、キャリアも「足踏み」してしまうのです。
「足し算」から「掛け算」へ:成果を最大化する仕組み

任せる → 責任の放棄?
この「思い込み」が、
あなたとチームの成長を止める「ボトルネック」になります。
たとえば、プロジェクトの企画書作成。
これをタスクを分けて、3人の部下に少しずつ任せてみます。
- ゴール像の共有
- 優先条件の確認
- 3人の部下とともに、各プランの見合わせ
- 整理統合してプランを確定
経験豊富なあなたが、100点のプランをつくるよりも…
部下の60点×3+あなたの「調整」
の合計のほうが当然高い
チーム全体のアウトプットも
確実に大きくなります。
部下のつくる案が60~70点であったとしても、キラリと光るアイデアを評価しながら進めることで…
- ミーティングによる人材育成
- 部下の経験値の向上
…といったメリットも手にできる。
この積み重ねが…
あなたの残業の軽減にもつながっていきます。
整理すると、以下の表になります。
| 視 点 | 抱え込んでいる状態(足し算の限界) | 手放した状態(掛け算の成果) |
| 時間の使い道 | 今の数字・作業に追われる(消費) | 未来の計画・育成に使う(投資) |
| 部下の状態 | 指示待ち・作業員(停止) | 自律的に動く・協力者(駆動) |
| チームの成果 | あなたの体力=チームの限界値 | 個々の強みが重なり、限界を超える |
自分の作業時間を
部下の育成時間へと「投資」し直す。
この転換ができたチームだけが、残業を減らしながら最高の結果を出せます。
自分がいなくなっても
回るチームをつくる
それこそが
リーダーが目指すべき、究極のゴールです。
「抱え込み」から抜け出す、手放しのヒント

仕事を任せるためのアクションプランを3つのポイントにまとめました。
タスクを整理し、完璧主義を手放し、部下が安心して挑戦できる環境をつくること。
ここからは、それぞれのポイントを解説していきます。
① まずは、タスクの棚卸しから
最初の一歩は、タスクの棚卸しです。
白か黒か(やるか、やらないか)ではなく、次の4つの領域に分けて考えてみましょう。

- 自分でやる → 最終判断・責任・トラブル対応
- 任せて育てる → 点検や指導が必要だが、部下の経験になる仕事
- 任せる → マニュアル化できる定例業務・作業
- やめる → 慣習で続いているだけの仕事
とくに重要なのが…
❷ の「任せて育てる」領域
多くのマネジャーは、ここを「手間がかかるから自分でやる」に分類しがち。
しかし…
ここが将来の「あなたの時間」をつくる投資エリア。
いっぽうで、意外と手放せないのが❸の領域です。
本来はマニュアル化して渡せるはずなのに…
頼む手間より
自分でやった方が早い
そんな思い込みから、以下のようなタスクを抱え込んでいませんか?
- 日程調整・議事録作成
- データ入力・資料の体裁修正
- CCチェック、送信前の確認
- 懇親会の店予約
- マニュアル化できるルーチンワーク
これらを整理できたら、
その「余白」を使って、以下の3点に注力します。
- 見通しや方針を定める
- 部下の成長を促進する
- 最終責任を取る
② 任せ方のコツは「60点主義」

それなりの給与をもらっているんだから…
結果を出すのは当然だろ💢
そんな考えのもとで、タスクを任せると、
部下は委縮し、自分は修正で忙しくなり、さらに任せられない状況へ…
とくに…
部下に100点を求める人に多い
このような悪循環にはまらないために、
まずは …
60点でOKから始めましょう
そして、
フィードバックしながら、次は80点を目指せるようにする。
もちろん…
部下はひとりひとり、職能や経験値も違います。
部下のなかには、成長を促すために、
あえて90点以上を求めることもあるでしょう。
大切なのは…
60点平均で「良し」
という余裕です
これが
「任せる」を継続させる最大のコツとなります。
③ 任せるときの4ステップ
心の準備ができたら
実際に部下に渡してみましょう。
手順は以下の4ステップです。

- 書き出し:自分の仕事をすべて書き出し「見える化」する
- 仕分け:コア業務と、任せられる仕事に分ける
- 伝達:やり方ではなく「ゴール」と「期限」を伝える
- 受け取り:60点でも、まずは「ありがとう」と受け取る
これだけで
あなたのストレスはかなり軽減できます。
あなたの仕事は、現場監督として細かく指示することではなく…
いつでも相談できる
「安全基地」になること
部下は、
あなたがいかに安全を守ってくれているかを見ています。
そこで築かれた信頼関係は、今度はあなたを守ってくれるでしょう。
さらには、昨今問題となっている…
部下の「静かな退職」を防ぐ、防波堤にもなります。
「任せる」ことで人生を取り戻す

仕事を任せられるようになると、少しずつ「マネジャーの視点」が変わります。
- すべてを背負わなくていい
- チームで進んでいい
- 自分は未来を見る役割でいい
- 家族との時間が増える
- 必要に応じて有給が取れる
こうした余裕は…
どれだけ人を頼れるかで決まります
まずは今日、
デスクの書類の中からひとつだけでいい。
部下に任せてみませんか?





































