前記事「問題を見極める」のプロセスを踏んで…
解決策の創出。
そして、「どれほど素晴らしい解決策を提示するだろうか…」という周囲の期待&そのプレッシャーと予想されます。当然…
高いストレス負荷がかかる。
問われるのは、解決策の「質」。
「質」とは、解決策の「目的・目標への貢献度」を指します。
その貢献度を高める要素は、以下の2つです。
- 判断軸の確かさ:目的・目標との整合性など
- アイデアの豊富さ:多様な「切り口」で導き出されるオプション
❷豊富なアイデアを❶確かな判断軸でふるいにかける…
そうして導き出されたものが、周囲から支持される解決策となります。
これらのことを縦軸と横軸に整理すると、より具体的になります。
オプション・マトリックスと呼ばれるフレームワークです。
図で示すと…
上図の縦軸と横軸=判断軸の形成とアイデアの抽出の当否が「目的・目標への貢献度」を左右します。整理すると、次のような関係…
解決策の「質」=「目的・目標への貢献度」 ← 縦・横軸の要素や候補を導き出す力
本記事は、「解決策の創出力を高める」ことを目標に、 ❶判断軸の形成 ❷アイデアの抽出について解説していきます。
判断軸の形成:解決策をふるいにかけるのが「判断軸」
自社が保有する資源は有限であり、成果創出に許される時間にはリミットがあります。
自社の置かれた状況を踏まえて、あなたは候補となる解決策:アイデアの中から「どれを採用するか/採用しないか」を選択しなければなりません。
判断軸は、先ほど示した「オプション・マトリックス」の縦軸にあたります。
平たく言えば、複数のアイデアをふるいにかけるフィルターの役割を果たす要素。
判断軸は、以下の要素が考えられます。
- 自社の「経営理念・パーパスとの整合性」
- チームの「目的・目標との整合性」
- 数値目標となる「利益・財務的視点」
- 現場視点での「実現可能性」
- 求められる「スピード」
ただし、部署・ポジションなどによって判断軸の要素は違います。
例えば製造部門では、「納期」「品質」「製品安全の確保」「コスト」などが挙げられれます。
重要なのは、要素の重みづけです。
重みづけとは…
自社の経営理念や方針、目的や目標と比べ合わせて、優先順位をつけること
製造部門で言えば「製品安全の確保」「品質」「納期」「コスト」の順になるなど、この点についても部署によって優先順位は異なります。
また、上位組織が優先順位を具体的に示している場合は、それに沿って要素を順位づけます。
アイデアの抽出:多様な「切り口」でオプションを広げる
アイデアの選択肢を広げる意味は次の2点です。
- 採用した解決策が破綻したときのオプションになる。
- アイデアの組み合わせによって突破口を見出せる。
潜在的に有望なアイデアを見落とさないためには、できる/できないを脇に置いて、ゼロベースで発想を広げていくことが大切です。
判断軸という「ふるい」があるので、様々な切り口から「とりあえず」書き出すこと。
以下より「発想の切り口」を紹介します…
■ 発想の起点【オズボーンのチェックリスト】
- 応用:ほかの技術を応用できないか?
- 転用:ほかの使い道はできないか?
- 結合:組み合わせてはどうか?
- 変更:デザインを変更してはどうか?
- 置換:入れ替えてはどうか?
- 拡大:拡大・増量してどうか?
- 代用:ほかのもので代用できないか?
- 逆転:割合などを逆にしてはどうか?
■ 業務改善の切り口【ECRS(イクルス)】
- Elimination → 排除(なくす)
- Combine → 結合(一緒にする)
- Rearrange・Replace → 交換・入れ替え
- Simplify → 簡素化
■ 開発の方向性を発想するとき
- 実用性:使いやすい・便利
- 希少性:他では手に入らない
- 関係性:絶対的な信頼がある
- 汎用性:多用途型・万能
- 専用性:ある用途に特化
■ 人材資源の獲得・充実から発想するとき
- グローバル人材の獲得・充実
- プロフェッショナル人材の獲得・充実
- バックオフィス人材の充実
■ 消費活動から発想するとき
- モノ消費 ← 商品・サービスで価値提供
- コト消費 ← 体験価値を提供
- トキ消費 ← 限定的な価値を提供
- イミ消費 ← 社会的・文化的価値を提供
- エモ消費 ← 精神的な価値を提供
■ ニッチ&ズラシ戦略から発想するとき
- 時 → 次を予測して、先行投資
- 人 → 商品改良などでターゲット変更
- 場所 → 新規販路の開拓
- 物 → 商品・サービスの差別化
- 技術 → ほかの事業領域への応用
アイデアには、「形勢逆転の力」があります。
赤字を黒字化へ、じり貧を右肩上がりへ、廃止を継続へと導く力です。
近年、話題となっているのは ニッチ戦略 や ズラシ戦略 。
成功事例の多くは、この2つを組み合わせています。
■ ニッチ戦略について
ニッチ戦略は、強力なライバルとの競争をさけつつ、収益を生み出す戦略。
アイデアとしては、ライバルが存在しない「すきま」を見つけて、先行者利益を得るという発想になります。
例えば、自然派化粧品で支持を得ている「株式会社ラッシュジャパン」
新鮮なフルーツや野菜を原材料に、「つくりたて」「ハンドメイド」という独自のポジションで事業展開しています。
通販においても、「作りたてを発送」というポリシーから、『振込後払い』を堅持。
「こだわり」というニーズを見極めたビジネスアイデアと言えます。
発想のポイントは、潜在ニーズの発見と開拓。
■ ズラシ戦略について
ズラシ戦略は、自社の「強み」を他の場所に転用するという戦略。
富士フイルムが技術力を活かして、化粧品へと事業領域をずらした例が有名です。
自社の強みを活かすので、仮説・検証の反復により成果を見極めながら、新規事業を展開できます。
つまり、スモールスタートが可能。
メリットは、リスク回避ができる点。
発想のポイントは、自社の強みを見極めることと「ずらす」場所の2点です。
「既存:スキル・アセット(資源)」と「新規」の2軸でアイデアを創出していきます。
ズラシ戦略にかかわる関連書籍を紹介しておきます…
過去の延長線上に「成功」は存在しない
VUCA時代、過去の成功を引き継いで成果を維持する、ということが難しくなりました。
「改善を積み上げることで発展を期す」という考え方は、事業を破綻に導く悪手にさえなりかねません。見とおしのきかない時代を生き抜くには、
過去の延長線上で未来を予見するのではなく…
ありたい未来を最初に描く
その未来像から「今」に立ち戻り、未来の実現に必要な解決策(アイデア)を創出する、というバックキャスティング型のシナリオ作成がカギになります。
「未来」を発想する切り口を4点紹介します。
- 実現するかもしれない具体的な未来像を想定
- 「壁」となっている問題が解消した未来を想定
- 一見無関係な事業領域への展開を想定
- 現状のビジネスモデルが崩壊した未来を想定
- 水面下でくすぶる社会問題が顕在化した未来を想定
❹❺は、「不確実性」のネガティブな側面になります。
重要なのは、❹を「新たなビジネスモデルを展開する機会」❺を「新たなライフスタイルを提案する機会」ととらえるなど、未来に起こる変化を肯定的に受け入れることです。
先に経験した「新型コロナウイルス感染症拡大による経済活動の制限」を例にとると…
新しい感染症による脅威を今後もあり得ると受け入れたうえで現在の事業を見直し、社会に向けて新たなライフスタイルを提案する、という発想になります。
ありたい未来を創っていくという意思が、解決策創出の原動力。
可能性を信じて、迷ったら「未来」を選びましょう。
稲盛和夫氏は、次のように語りました。
楽観的に構想し、悲観的に計画し、楽観的に実行する
新しいことを成し遂げるには、まず「こうありたい」という夢と希望をもって、超楽観的に目標を設定することが何よりも大切です。
「稲森和夫 OFFICIAL SITE」より https://www.kyocera.co.jp/inamori/philosophy/words36.html
天は私たちに無限の可能性を与えているということを信じ、「必ずできる」と自らに言い聞かせ、自らを奮い立たせるのです。しかし、計画の段階では、「何としてもやり遂げなければならない」という強い意志をもって悲観的に構想を見つめなおし、起こりうるすべての問題を想定して対応策を慎重に考え尽くさなければなりません。
おすすめの関連書籍を紹介します。
忙しいあなたも、耳は意外とヒマしてます。
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