上 司

これお願いできる? 急ぎなんだけど

部 下

課長、この件どうすればいいですか?

上司からの無茶振りと、
部下からの終わらない相談… 

心の声

また、自分の仕事は後回し…

「今は無理です」と言いたくても、相手の気分を害するのが怖くて飲み込んでしまう。 

そんな「優しい中間管理職」のあなた、
気がつけば、職場の「都合のいい便利屋」になっているかもしれません。

この記事では、角を立てずに自分の時間を守る、

アドバイザー

代替案(Yes, but)
の出し方を解説します

自分もチームも守れる「調整術」を知ることで、日常業務のタスクを無理なく整理できるようになります。

【関連記事】
もし、すでに業務過多で心身ともに限界を感じている場合は、まずはこちらの記事で心の守り方を確認してください。

「いい人」をやめることは「チームを守る」こと

アイキャッチ画像:「チーム守護:役割転換とプロ意識」について、最高峰の連携、柔軟な対応力、プロの矜持という3つの要点をまとめた画像

まず、ここで一つ誤解を解いておきましょう。
「いい人(都合のいい人)」を卒業=「冷たい人」になる、ことではありません。

自分のリソース(時間・体力)を適切に管理し、チーム全体のパフォーマンスを上げるプロの「調整役」になることです。

頼まれた仕事をすべて受けることで生じる「3つの副作用」

アイキャッチ画像:「全受けの代償:3つの副作用」として、停滞のリスク、質の低下、依存の発生という業務上のデメリットを解説した画像

頼まれた仕事はすべて「YES」で引き受ける。
この悪影響は、あなた個人にとどまりません。

実は…
組織全体にも次のような悪循環を生み出すのです。

  1. チーム全体の停滞を招く
    残業が常態化し、あなた自身の疲弊がチームの停滞を招いてしまう。
  2. 仕事全体のクオリティが低下する
    一つひとつの仕事にかける時間が減り、依頼主の期待に十分応えられない恐れがある。
  3. 部下が自律せず依存傾向になる
    上司に頼る癖が定着すると、部下の間に依存体質が生まれる。

プロとして「リソースの境界線」を引く

アイキャッチ画像:「プロの境界線:リソース管理と信頼」をテーマに、限界の把握から誠実な拒絶、信頼構築までのプロセスを図解した画像

真に信頼されるリーダーとは、「なんでもやる人」ではありません。

「自分とチームがベストパフォーマンスを出せる限界値(リソース)」を正確に把握している人です。

無理をして引き受けて納期に遅れたり、品質を落としたりすることは、長期的には依頼主や組織に対して「不誠実」な行為

戦略的に断ることは、自分とチームの仕事の質を守るための、

アドバイザー

誠実で責任あるアクションなのです

【関連記事】
「自分がやった方が早い」と思って仕事を抱え込んでしまう方は、こちらの処方箋も併せてご覧ください。

100か0かで考えない。「Yes, but」の交渉術

アイキャッチ画像:「白黒つけない交渉術:『Yes, but』の力」について、硬直した思考と柔軟な折衷案提示の対比を説明した画像

断るのが苦手な人は、選択肢を「Yes(すべて受ける)」か「No(拒絶する)」の2択で考えがちです。

この思考法だと、断ることに強い罪悪感を覚えてしまいます。

そこで有効なのが、その中間にある「Yes, but(条件付きYes)」、つまり代替案(オファー)の提示です。

「断る」のではなく「条件」をすり合わせる

アイキャッチ画像:「条件すり合わせの3ステップ」として、協力の意思、条件の提案、着地点模索という合意形成のプロセスを示した画像

「Yes, but」の基本は、相手の「助けてほしい」「解決したい」というゴール自体は否定しないこと。

そのうえで、プロセスや納期についてこちらから逆提案します。

「できません(No)」と突っぱねるのではなく、

アドバイザー

協力する意思を示しながら
条件を提示するのがポイントです

その件、お手伝いしたいのですが、現状のタスク状況ですと本日中の完遂は難しいです。ただ、明日の朝イチ着手でよろしければ、私が責任を持って対応可能ですが、いかがでしょうか?

このように、

  • Yes:やりたい気持ちはある
  • but:条件を調整してほしい

…と伝えることで、対立を避けつつ着地点を探れます。

「感情」ではなく「物理的な限界」を伝える

アイキャッチ画像:「限界伝達の3要素:物理的制約」に基づき、事実の提示、物理的制約、客観的視点の重要性を整理した画像

代替案を出す際のポイントは、断る理由を感情やモチベーションにするのではなく、

アドバイザー

物理的なリソース不足にすることです

「今、気分が乗らないので」と言われれば相手も不快になりますが、

中間管理職

すでに予定が埋まっていまして
物理的に時間が確保できません

このように伝えられると、相手も事実として受け入れざるを得ません。

協力する意思は示しつつ、物理的な制約を理由に条件を調整する。

このスタンスを貫くことで、角を立てずに交渉のテーブルに着くことができます。

【実践編】シチュエーション別・代替案のパターン

アイキャッチ画像:「代替案の技法:状況別実践パターン」として、リソース不足、スケジュール競合、スコープ変更への対応策をまとめた画像

では、明日から職場でそのまま使える具体的なフレーズをご紹介します。

いずれも、日常業務でよく起きる「ちょっと困った依頼」を、角を立てずに調整するための言い回しです。

パターン1:上司の依頼は「納期か優先順位」を確認する

アイキャッチ画像:「パターン1:上司の依頼は『納期か優先順位』を確認する」という、最適な実行計画を立てるための手順を示した画像

上司は往々にして、部下の現在のタスク量を正確には把握していません。

「急ぎで」と言う場合でも、実は「不安だから早く手放したい」だけのケースも少なくありません。

◎ 代替案

承知しました。ただ、現在Aプロジェクトの対応中でして、本日中にその件を割り込ませるとクオリティが保証できません。明日の15時までお待ちいただけるなら、私が対応できますがいかがでしょうか?もしくは、Aプロジェクトの納期を後ろにずらして、こちらを最優先にしますか?

効 果

単に「忙しいから無理」と断るのではなく、「いつならできるか(納期変更)」や「どれを捨てるか(優先順位の入れ替え)」という条件を提示し、判断を上司に委ねます。これにより、上司の顔を立てつつ、無茶なスケジュールを回避できます。

パターン2:部下の丸投げ相談には「部分対応」で返す

アイキャッチ画像:「パターン2:部下の丸投げ相談には『部分対応』で返す」という、自走を促し役割分担を明確にするステップを解説した画像

部下からの「どうすればいいですか?」という丸投げ相談の対応策。

優しさから「いいよ、私がやっておく」とタスクごと引き取ってしまうのを防ぐことができます。

◎ 代替案

相談に乗りますね。ただ、私がゼロから全て修正すると時間がかかってしまいます。まずは骨子と方向性だけ〇〇さんが作ってくれませんか? 私はその後の『最終チェックと承認』だけ担当します。それなら今日中に見れますよ。

※ 効 果

「協力はするが、実行責任は部下にある」という線引きを明確にします。「100%引き取る」か「突き放す」かではなく、「一部だけ手伝う」という部分対応のオファーを出すことで、部下の成長を促しながら自分の時間を守ることができます。

【関連記事】
部下がなかなか自走してくれないとお悩みなら、指示出しではなく「伴走」のアプローチがヒントになります。

パターン3:他部署の依頼には「次回のルール」をセットで返す

アイキャッチ画像:「パターン3:他部署の依頼には『次回のルール』をセットで返す」という、対等でWin-Winな関係を築くための交渉術をまとめた画像

他部署から「ついでにこれもお願い」と雑用を頼まれやすい人は、安売りしすぎています。

貸し借りのバランスを保つために、次回のルールを提案しましょう。

◎ 代替案

わかりました、今回は特例としてこちらで対応しますね。その代わり、次回からはこの依頼フォーマットに入力してから送っていただけますか? その方が手戻りがなくなり、お互いにスムーズに着手できると思いますので…

※ 効 果

ただ作業を引き受けるだけでなく、「業務改善の提案(条件)」をセットにします。「頼むと少し手間がかかる(ちゃんとしたルールがある)」と相手に認識させることで、安易な「丸投げ」を抑制し、対等なビジネスパートナーとしての関係を築けます。

断ることは、信頼を損なうことではない

アイキャッチ画像:「断る=信頼維持:プロの自覚と予測可能性」をテーマに、一貫性と透明性が信頼構築に繋がる仕組みを示した画像

条件をつけたり断ったりすると、使いにくい部下だと思われるのでは?

そう不安になる方もいるかもしれません。
しかし、ビジネスの現場ではその逆であることがほとんどです。

「Yes, but」を言える人が信頼される理由

アイキャッチ画像:「『Yes, but』が信頼される理由」として、リスク管理と誠実な対話による高い完遂力のメリットを説明した画像
  • キャパオーバーな請負人
    何でも「ハイハイ」と安請け合いして、結局パンクして納期に遅れる人
  • 「可否」と「代案」をセットで話せる人
    「今の自分にはこれができますが、これはできません」と現状を明示し、代替案を出せる人

上司や周囲が安心して仕事を任せられるのは、間違いなく後者です。

なぜなら…

アドバイザー

後者は「予測可能」だからです

自分のキャパシティを把握し、できないことは事前に交渉してくれる人は、プロジェクトのリスク管理において非常に重要。

「Yes, but」を使いこなすことは、ビジネスパーソンとしての信頼度(プロ意識)を高める行為に他なりません。

上司・部下にパスを出す勇気を持つ

アイキャッチ画像:「上司・部下にパスを出す勇気を持つ」として、責任の分散、判断の依頼、心理的解放の3ステップを整理した画像

上司と部下の板挟みで苦しいのは、あなたが「解決しなきゃいけない」というボールを、全て自分で持ち続けているからです。

代替案(Yes, but)を出す行為は、ボールを相手に2種類(条件と代案)のパスを出す行為と同じ。

  • パス1(条件)
    この条件が飲めるならやります
  • パス2(代案)
    飲めないなら、別の方法を一緒に考えましょう

決定権の一部を相手に戻すことで、あなたが一人で抱え込んでいた精神的な重圧(責任)は劇的に軽くなります。

板挟みから脱出する鍵は、この「パス回し」にあるのです。

まずは「小さな微調整」から始めよう

アイキャッチ画像:「まずは『小さな微調整』から始めよう」として、習慣の改善から信頼獲得、調整役への道のりを示した画像

いきなり、大きなプロジェクトを断る必要はありません。

まずは、

中間管理職

今日中は難しいですが
明日なら対応できます

このような…
小さな納期の微調整(1日ずらし)からで十分です。

その一言が言えるようになるだけで、
あなたの業務時間は守られ、本来注力すべき仕事に時間や集中力を使えるようになります。

まずは1日1回。
「Yes」の代わりに、「Yes, but…」を使ってみてください。

その小さな一歩は、
「便利屋」を卒業し、プロの「調整役」になる道へと続いています。

【関連記事】
調整力を高めてさらにスマートに仕事をこなしたい方は、こちらの段取り術も参考にしてください。

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