AI導入の件だが、君に任せた!
…と肩をたたかれても固まる必要はありません。
何とかなります。
ChatGPT4を少しさわったくらいでも大丈夫。
導入のハードルは、近年大きく下がっています。
AIを活用するためのツールやサービスも充実し、高い専門性がなくても、比較的簡単に導入できるようになってきました。
AIを活用するためのサポートも充実。
AIベンダーやコンサルタントによるサポートを受けることで、AIを効果的に活用することができます。
しかし、マネジメントには少々コツがいる。
マインド・リセットも必要。
そこで今回は、AI導入を成功に導く…
マネジメントの5つコツ
&マインドセットについて解説!
次の順で説明を進めます。
➊~➎が、マネジメントのコツ。
➏は、組織のマインド・リセットについて。
❼は、マネジャーのマインドセットを解説。
- 目標起点でユーザー情報を収集する
- 裁量権を明確にしてアサインする
- 多様なアイディアを吸収してAIのリプレイス要件を決める
- ベンダーマネジメントで重視すべき3つの管理
- 変化に強いチームをつくる
- 創造性を生み出すマインドセットをもつ
- AI導入時のマネジメントの最優先課題とは
取捨選択して、ご活用ください。
目標起点でユーザー情報を収集する
現在は、顧客と企業との接点が増加・複雑化しています。
商品を知った段階から購入、アフターサービスというように、部署を超えたトータル的な施策やサービスで他社と勝負しなければなりません。
部分最適ではなく、全体最適で考えなければ成果に結びつかない。
AIの導入も、既存のビジネスモデルやオペレーションを俯瞰し、自社の目標とのギャップを洗い出すことで、「どこに」が見えてきます。
たとえば…
顧客に合わせた「シームレスでスムーズな体験を提供する」という目標のもと、顧客体験に焦点を当てると…
次の6つの体験価値で検討できます。
- RELEVANCE/私向けのものだと思える
- EASE/私にとって意味がある
- OPENNESS/オープンで、正直である
- EMPATHY/私の立場で考えてくれる
- GET CONVINCED/私に納得をもたらす
- EMOTIONAL REWARDS/いい気分にさせてくれる
では…
顧客体験を高めるには、「AIを顧客接点のどこに、どのように導入すれば」新たな価値を提供できるか?
このような課題を設定し、チームで仮説を立てる。
次に、今度は導き出した仮説を起点にユーザー情報を収集していく、という流れになります。
仮説の構築については、以下の記事「問題解決力:仮説構築力とは」の「煩雑」もしくは「複雑」の領域が参考になります。ご参照ください…
裁量権を明確にしてアサインする
マネジャーは、ゴールを設定してAIを導入、その結果を評価して「良し悪し」を判断するまでのワークフローを作成、または点検・承認する仕事を担います。
AIチャットボットの導入を例にとると、公開まで以下のような工程をたどります。
- 導入の目的を決める
- チャットボットベンダーの選定
- シナリオ:Q&Aデータのフォーマットの用意
- チャットボットの構築
- テスト
- 設定場所を決める
- チャットボットの公開
電話がつながらない状態になる「あふれ呼」の抑制をゴールに設定。
どの分野でどのような仕事をAIチャットボットに任せられるのか、指針を決める。
顧客に女性のシニア層が多いので、ボイスチャットの導入を決め、ベンダーに依頼。
その際、FAQや固有辞書のデータ、想定問い合わせ、社内用語集、類義語・言い換え表現が分かる資料などをシナリオ設計に活かすようにする。
公開後に放棄呼率を測定。
このように、克服すべき課題と望むべき効果を明確にして公開までのワークフローを作成します。
次に、タスクを整理して人材を当てはめる。
ここでのポイントは…
部門リーダーの裁量権を拡大することです。
「ユーザーニーズの多様化」「必要とされる意思決定の迅速化」「単純作業の自動化」というビジネス環境においては、部門リーダーの裁量権を拡大させることが大切。
とくに、リリースを急ぐプロジェクトは、スピードが重視されます。
仕事の進め方やアクセス権の変更、予算の決定など裁量範囲を広げることで、部下はスピーディに職務を進めることが可能になります。
結果、組織全体のアジリティが向上する。
ジョブアサインについては、以下の「仕事で部下を育てよう!」の「5観点の支援で、『やりきる』を実現させる」が参考になります。ご参照ください…
多様なアイディアを吸収してAIのリプレイス要件を決める
AI導入によって、どんな業務をリプレイスできるのか。
ここで、AIリテラシーが必要になります。
マネジャーひとりの視点だけではなく、多様なアイディアを検討することで、効果のある施策が生み出されます。
当然AI技術者の視点も必要になる。
以下のとおり、AIの導入は産業を問わず拡大しています。
- 人材不足への対応/単純作業や問い合わせの初期対応
- 生産性向上/ルーティンワークの自動化
- コスト削減/生産プロセスの最適化・需要予測
- 業務精度の向上/データ入力・正確な予測
- 営業支援/顧客情報や営業案件の管理
ビックデータの解析/顧客の購買行動の分析 - 顧客満足度の向上/パーソナライズ化
- 検査漏れ防止/不良品検知
- 管理費用・維持費用削減/在庫数の最適化
- 安全性の向上/自動監視システム
- 不正検知/クレジットカードの不正検知
- 株価予測/銘柄選定
- 配車計画の立案/ルート・配車台数を最適化
- 物件のレコメンド/最適な住まいの提供
- 土地・不動産の価格判断/推定価格を算出
- 画像診断/診断の質の向上
- 介護ロボット/介護スタッフの負担軽減
- 劣化状況の調査/点検の自動化
- 道路の空洞検知/陥没事故の防止
- 野菜の選別/出荷作業の負担軽減
- 害虫発生の探知/農作業の負担軽減や品質の向上
AI導入でサプライチェーン全体の最適化を図る、という戦略も有効。
たとえば、サプライチェーン全体でコスト削減や食材の安全性などを最適化するなどです。
ポイントは…
あらゆるところからアイディアを吸収し、リプレイス要件の最適解を導き出すことです。
よいアイディアは、それが現場からであれ、顧客からであれ、サプライヤーからであれ、どこからでも吸収することができます。
ベンダーマネジメントで重視すべき3つの管理
プロジェクト管理の中でも重要な役割を担うベンダーマネジメント。
ベンダーのパフォーマンスを、適正な価格・最小のリスク・協調的関係をもって引き出すことがマネジャーの仕事。
長期的な関係を築くことから、VMO(Vender Management Office)を設置する企業も増えつつあります。(日本では現在20%程度)
ベンダーマネジメントを効果的に行ううえでは、専門組織であるVMOの編成がおススメです。
VMOの設置により、ベンダー窓口や情報を一元化でき、調達コストを削減できるからです。
ベンダーマネジメントで重視すべき管理は、次の3点…
■ 関係管理
ベンダーとの心理的な関係調整を行う。
マネジャーはプロジェクトを成功させるために、ベンダーとの強固な協力関係を築くことが大切になります。
ベンダーに重要な顧客だと思ってもらえれば、やり取りや交渉を進めやすい。
AI導入後も保守や変更管理などで引き続き協働関係は続きます。
上下関係ではなく、ともにプロジェクトを進めるスタッフとして、フラットな関係を築きましょう。
■ パフォーマンス管理
ワークフローの各段階において、最適なパフォーマンスを発揮できるように管理します。
ベンターとともにプロジェクト全体のパフォーマンスを上げられるようにゴールを共有するとともに、マネジャーは見積金額やサービスレベルを精査する役割を果たします。
パフォーマンス管理を行うためには、まずベンダーからの提案内容を精査し、内容とコストを把握することからスタート。
そこから、業界の相場や他社の見積り、契約条件などをそろえ、総合的に判断してベンダーと交渉します。
コストだけに目を向けると期待するパフォーマンスが得られない場合があり、注意が必要です。
■ 契約管理
ベンダーとの契約内容を最適化してトラブルを防止します。
マネジャーは、プロジェクトに関わる契約前段階の見積りから契約交渉を行い、プロジェクトの効果が最大化するよう管理する役割を果たします。
プロジェクトを進めるうえでコスト管理が重視されますが、契約内容も重要。
契約内容を最適化することで、サービス面のリスクを削減できます。
変化に強いチームをつくる
AI時代、変化を恐れる企業から淘汰されていきます。
マネジャーは「変化に強いチームをつくる」という重責を担う。
たとえば、ユーザーに対する理解。
固定観念を捨てて、ユーザーは…
- 何を求めているか
- 何を知りたいか
- 何をおもしろいと思っているか
- 何で困っているのか
- どんな成功体験を得たいか
といった理解を多面的に検討できるチームが必要です。
変化に強いチームとは…
- 解決すべき問題に気がつく
- 自分やチームにできることを考える
- 新しいアイディアを思いつく
- アイディアをみがく
- アイディアを積極的に提案する
といった行動をとれる集団。
ポイントは、このようなパフォーマンスを発揮できる環境をつくること。
環境づくりのひとつが、次の項の「創造性を生み出すためのマインドセットをもつ」です。
創造性を生み出すためのマインドセットをもつ
どの企業でも当たり前のようにAIの導入が進みます。
やがて淘汰され、プロダクトやサービスの差別化が企業の勝敗を分ける。
ただし、差別化戦略による競争優位性も持続は困難です。淘汰と差別化はくり返し起こる。
重要なのは…
優位性に固執せず、社員の創造性を育む文化を社内に培うこと。
たとえば、AIを活用した新サービスの開発をどう進めるか…
このような課題解決には、社員のクリエイティビティを引き出すマインドセットが組織に必要になる。
具体的には、
- 機能を追求せず、新たな顧客体験を希求!
- 安定を求めず、スピードを重視!
- 理論の構築より先に、顧客が手にする感動を想像!
- 数字の高低で説明せず、ストーリーで!
- 実直さとともに、遊び心を!
…などのマインド・リセットです。
目的はAI導入ではなく、導入によって得られる「果実」。その果実は人間の創造力によって生み出されます。
AI導入時のマネジメントの最優先課題とは
AI導入のプロジェクトに不具合やミスはつきものです。
マネジャーはミスの多さではなく、ミスの報告件数に注意を払うことが大切。
ミスの見過ごしのほうが怖い。
報告がしっかり上がってくればOK、という受けとめ方をする。
ミスの種類や量が組織内で共有されていると、「改良やアップデートが必要だ」など、解決につながるアイディアも上がってきます。
完璧ではないがリリース
あとは、評価・改善サイクルで対応
そうしないと、他社のスピードに追いつけないなど、今までにない考え方の変化が起こっています。
たとえば、Google Bardのリリース。
当初は「急ぎすぎて失敗した」などの批判的な声が社内からもあがりました。
親会社であるAlphabetの株価も約8%下落。
それでもリリースを急ぎました。
しかし、今では改良を重ねて新たなサービスを展開中。
2023年9月時点で、AI「Bard」をGmailやYouTubeに拡大し、一度の会話で複数のアプリにアクセスできるサービスを開始し、親会社の株価も回復しました。
すべては、トップの決断とグーグルのチーム力があってこそ実現できたことです。
今まで以上に、個人だけではなくチームとして対応できる環境をつくることが重要になる。
メンバーのポテンシャルを引き出し、発揮できるように環境を整えていく…
これが、AI導入時のマネジメントの最優先課題です。
仕事でChatGPTを使っている方におススメ
今、座右の書と言われるほど売れてます!
忙しいあなたも、耳は意外とヒマしてます。
時間がない人におススメなのは audiobook!
ビジネスパーソンの主流は、耳読書。
読書効率がグンと上がります…
今後の生活資金に対する不安、健康不安、急な出費への備え…
そんな不安を安心に変える方法を記事にしました。
副業を考えている方は、どうぞご参照ください…
キャリアアップを目指しながら副収入もほしい…という方向けの記事です。