今回より取り上げるテーマは、問題解決力。
以下のとおり3回に分けて解説します。
- 仮説構築力を高める思考ツール(今回)
- 問題を見極める3つのステップ
- 解決策を創出する方法
問題解決に伴うストレスを軽減したい。
カギを握るのは…
解決の道筋が見えるかどうか です。
そこで本記事では、 見通しを立てる思考ツール
カネヴィンフレームワークを紹介!
仮説構築力を高め、問題解決の重圧からあなたを解放してくれるツールです。
問題解決力が高い人には、仮説構築力がある
問題解決のプロセスと言えば以下のイメージを思い浮かべるかが多いと思います。
問題を発見し、原因を探求する。
そして、解決策を立案・決定して目的達成を目指す、というプロセスです。
しかし、不確実性の時代、私たちが直面する問題は、通りいっぺんの型では解決できないものがあります。
例えば、因果関係を特定できない問題、状況の理解さえ考察が及ばない問題などです。
解決できない問題を相手にして時間を浪費するよりも、いったん棚上げしてコントロールできるところから手をつけるほうが得策、という場合もあります。
問題解決力の高い人は、まず直面する問題を一定の枠組みで分類し、解決ルートを類推します。仮説構築力と呼ばれるものです。
類推の枠組みとして活用されているのがカネヴィンフレームワーク。
※ カネヴィンフレームワーク:デイブ・スノーデン(Dave Snowden)の開発による問題解決へのアプローチを考えるフレームワーク
カネヴィンフレームワークは、正解のない多様化した問題と現実解を結ぶ「道しるべ」と理解してください。平たく言えば、仮説構築のツールです。
問題解決力が高い人には、問題の多面的な理解から解決ルートを類推し、仮説を構築する力(仮説構築力)があります。
カネヴィンフレームワークの活用がその一つ。
注意すべきことは、現時点の類推に後々まで固執しないことです。
例えば、煩雑領域だと類推して対応していたら複雑領域だった、複雑領域の一部に煩雑領域を見出した、ということもあります。
コントロールできるか否かなど、問題に対する…
多面的な理解が必要です。
次の項より、カネヴィンフレームワークの4つのドメイン「単純」「煩雑」「複雑」「混乱」それぞれの対応について解説します。
カネヴィンフレームワーク「単純」の対応
直面する問題の因果関係がはっきりしているので、経験値・社内ナレッジ等で対応できます。
業務改善を目的としてグループウェアを導入する、など単純なケースがこれにあたります。
ただし、問題のとらえに誤解や錯覚がある場合は解決に直結しません。
先ほどの業務改善を例で言えば、ITツールを現場に丸投げしたために社内で活用されない、など新たな障壁が登場するケースです。
当初、問題の領域を「単純」と認識したが、行動するうちに「煩雑」だったことに気づいた、ということも多くあります。
過去の経験にすがって問題を楽観視する、洗い出しが甘いなどの…
認知バイアスに注意が必要です。
また、単純な問題だと信じたい、という気持ちの傾斜にも注意を向けましょう。
問題の見極め方は、「問題解決力を高める方法 Part2」で解説しています。
必要に応じて、以下の記事をご参照ください。
自分の対応について経験者に壁打ち相手になってもらう、チームや組織内でコンセンサスを得るなど、「認識を正す行動」がよい結果につながります。
カネヴィンフレームワーク「煩雑」の対応
「煩雑」の領域は、因果関係の特定と解決策の立案について、専門家の分析が必要になります。
例えば、海外に事業展開をするにあたり、新たな業務システムの導入を検討する場合。
いかに経営戦略とIT/情報化戦略を整合させていくのか、という点において専門的な視点をもつシステムコンサルタントに主導してもらうほうが速く的確に解決できます。
また、ITベンダーやクラウドサービスベンダーなど特定製品やサービスに依存せずに、中立的な立場でのソリューション提案ができる、というメリットもあります。
社内の対策会議で迷走をくり返すよりも、専門家を登用するほうが解決に直結するとともに、成果創出につながります。
専門家によって分析の質が担保できれば…
段階的にプロセスを進めることで解決できます。
後々は自社人材で問題解決にあたるというのであれば、リスキリングを並行して行います。
カネヴィンフレームワーク「複雑」の対応
不確実性が高く、予測可能性が低い領域が「複雑」であり、仮説→検証→改善をくり返して正解となるパターンを見つけ出すことを重視します。
因果関係が後になってわかる領域でもあります。
「複雑」の領域は、時間軸を決めてバックキャスト思考で対応します。
※ バックキャスト思考:創りたい未来像から現在に立ち戻り、方法を逆算して考える思考法
その際重要になるのが、目的を見据えて問題を再定義することです。
「目的」を起点として未来像を明らかし、現状とのギャップから問題を再定義する作業が必要。
顕在化している現状そのものを問題ととらえても、具体的な解に結びつかないからです。
比較対象となる「未来像=あるべき状態」と比べてギャップを抽出し、問題設定につなげます。
解決ルートの具体的なイメージは…
目的とは目指すべき到達点であり、目的達成とは成果の創出を指します。
過去の延長線上に未来を描くのではなく…
「望む未来を先に描き、その実現に必要な解決策を創出する」というのが複雑領域の対応です。
解決策の創出については、「問題解決力を高める方法 part3」で、詳細を解説しています。
必要に応じて、以下の記事をご参照ください。
カネヴィンフレームワーク「混乱」の対応
問題の発生当初は、断片的な情報が飛び交い、全貌が見えません。
さらに、時間経過とともに新たな問題が次々に発生します。
これが、混乱領域。
因果関係が明らかになることはなく、この段階で根本的な解決策を打ち出すことは不可能です。
例としては、システム障害、納期遅延や不良の多発、故障やクレームの頻発などです。
一つ一つの事案に対して実効性のある一次対応を打ち…
トラブルの拡大を防ぎます。
状況が安定してきたところで、根本的な解決策を見つけ出す活動に移行します。
カネヴィンフレームワーク活用のカギは「問い」です
4つのドメイン「単純」「煩雑」「複雑」「混乱」に問題を振り分ける際は、目的や目標をもとに、問いを立てながら「問題を見つめ直す」作業が必要です。
そもそも「何のために?」と問いを立てると、次には「目的達成するために何が必要か?」「どのように目標設定すべきか?」など新たな問いが生まれ、問題に対する見方が洗練されるとともに、問題領域も明らかになっていきます。
その他にも…
- 目的達成までに許される時間はどの程度あるか?
- 社内のリソースで対応可能か?
といった必要条件にかかわる問いを起こすことによって、問題を多面的に理解できます。
こうした自問自答のうえで、カネヴィンのフレームワークを「道しるべ」にして仮説を立てます。
目的達成というゴールを忘れた対応は、成果のない結末を迎えます。
常に「何のために?」という問いに立ち返りながら…
問題に対する認識を正していきましょう。
問題に対する正しい認識があってこそ、解決につながる仮説を立案することができます。
本記事を仮説構築力の1つの知識として、お役立てください。
経験値が上がれば、仮説構築力はさらに高まります。
次回は、part2『問題を見極める力』をテーマに取りあげます。
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