最初に断っておくと…
筆者は「孤独を愛する」派であり、
ソロ活動を推奨する側にいます。
「おひとりさま」活動が好きで、
次のような記事も掲載中です。
しかし…
最近の孤独にまつわるニュースには、少々おびえを抱いてしまう。
たとえば、孤独死。
一般社団法人日本少額短期保険協会の孤独死対策委員会が2022年に発表した 「第7回現状レポート 2022年11月」によれば…
孤独死の平均死亡年齢は、
男性62.1歳、女性61.2歳とのこと。
参照:https://www.shougakutanki.jp/general/info/kodokushi/news/kodokusiReport_7th.pdf
平均寿命と比較すると、20歳以上も若い。
アラフィフからすれば、目前の年齢です。
「孤独死」を含め…
近年「孤独は不幸を招く」と声高に言われるようになりました。
はたして「孤独=不幸」は本当なのでしょうか?
そこで本記事では、
…の3点を解説。
アラフィフのみな様、孤独を恐るるなかれ。
いざ楽しまん、が本記事のテーマです。
将来の備えといえば、資産運用に注目が集まるばかり。しかし…
『孤独』についても、ぜひご一考を…
簡単に内容を知りたい方は Instagramへどうぞ…
https://www.instagram.com/mitsuya_biz
「孤独=不幸」は刷り込みである
孤独死が社会問題化し、厚生労働省もモデル事業「安心生活創造事業」を実施しました(2009~2011年)。
参照:https://www.mhlw.go.jp/bunya/seikatsuhogo/anshin-seikatu/qa.html
問題は、「孤独死」という言葉が、人々に与えるイメージです。
孤独死を招いたのは「社会的孤立」であって、孤独によるものではありません。
孤独死とは、あくまで「一人で死ぬこと」であり、その人が孤独であったかどうかは、別の話です。
なぜなら、孤独とは当人が感じている主観的な気持ちだからです。
これを混同して「孤独死」なる言葉が流通しているため、この場合「孤独=死」のイメージが人々に刷り込まれてしまう。
「孤独=不幸」がくり返し刷り込まれると、どうなるか…
人々は孤独におびえ、ささいな負の感情をも「孤独」に結びつけてしまいます。
誰かとの間で生じた、ささいな「すれちがい」でさえ無意識に「孤独」ととらえてしまう。
孤独の意味範囲が拡大すれば、人々は慢性的な「不幸感」にさいなまれていきます。
そのせいか、現代は「孤独は悪」という雰囲気が強くなりました。
実際には、孤立を解消したい人は少数派です。
2つのグラフをご覧ください。
❶ 非孤立者:孤立の現状を変えたいか?
- 非孤立者:普段から助け合ったり、世間話をしたりする相手が「少しはいる~多くいる」人
❷ 潜在的孤立者:孤立の現状を変えたいか?
- 潜在的孤立者:普段から助け合ったり、世間話をしたりする相手が「ほとんどいない」人
非孤立者・潜在的孤立者ともに、孤立の現状を変えたい人は、あくまで少数派です。
ほかのデータも紹介…
❸ 一人でいることは好きか?に対する回答
上記のデータによると、8割以上が「一人が好き」と回答しています。
筆者もその一人。
一方で、孤独という言葉には、「孤独死」に象徴されるようにネガティブなイメージがつきまといます。
孤独感に陥らないためにはどうすればよいか…
シンプルに「孤独感」に至る前の選択を見直すだけです。
孤独に結びつけず、選択ミスだったと認識する。
たとえば、ある集まりに参加したが、話の輪に入れず孤独感に陥った、という場合。
- それは単に「参加する」ことを選んだ結果であり、次は再検討しよう。
- ここは居心地のよい場所ではなかった、別の選択をしよう。
…でよいのです。
このような経験から学びを深め、
選択的に「ひとり」になる。たとえば…
- 責任感だの義務感だの、押しつけてくる人とは距離をとる。
- 「つまらない」と思ったら、ことわる。
- 意に反してまで、周囲に合わせない。
- 積極的に一人の時間をつくり、好きなことに向き合う。
このような「選択的な孤独」へとシフトすれば、孤独感は近づいてきません。
では、親しい人との別れはどうか…
アラフィフともなると、親族や友人、恩人との別れが増えます。
こちらは「非選択的な孤独」のケース。
突然の場合も多い
当然、大きな悲しみとともに孤独感に襲われます。
まず大切なのは、時間をかけて悲しみを癒すこと。
孤独感を脱する転換点は、悲しみがひと段落したときです。
その段階で、「さびしい」ばかりを口にせず…
故人が与えてくれた恩恵に「ありがとう」をつぶやけるかどうか。
「さびしい」は、つながりが切れたことを認める言葉。
それに対して「ありがとう」は、伝えるために使う言葉です。
つぶやけば、そこに人がいなくても「つながり」をもたらしてくれる。
言葉には、私たちの感情を動かす力があります。
断絶をあらわす言葉をつぶやけば「関係が切れる思い」がし、つながりをもたらす言葉を口にすれば「関係が今も続いているような心境」になる。
「孤独感に至る前の選択を見直す」のは行動だけではなく、ふだん口にしている言葉にも注意を向けてください。
ネガティブな言葉が習慣づいているときは、要注意。
前向きになれるように、「言葉の習慣」を修正していきましょう。
松岡修造氏の『[修造日めくり] まいにち、つながろう 心と心はノーディスタンス』は、なぜ売れるのか…
多くの人が、言葉の力を再認識したからです。
「言葉の習慣」を改善する。
これも孤独感に陥らないコツ。
大切なのは固定観念と依存を捨てる覚悟
一人でいるときに「くつろげる」人と「孤独感に襲われる」人とは、何が違うのか?
孤独の穴に足をとられる人には、次の3つの特徴があります…
- 他者とつながっていることが人の基本的なあり方だ、という認識
- 社会とは所属や肩書でつながっている、という思いこみ
- 他者を孤独から逃れるために必要だ、と見ている潜在意識
❶は固定観念にしばられた状態
たとえば家族…
現代は「家族と暮らせない老後はみじめだ」という固定観念を捨てるべき時代。
家族にこだわる人は、いざ一人になったときに「こうなったのは、○○のせいだ」と家族の誰かに責任を押しつけてしまう。
結果、孤立して孤独感は深まるばかり、と墓穴を掘ります。
「お~い お茶」と言える時代は終焉。
残るは「伊藤園」の商品名のみです…
- 家族であっても、ひとりひとり別の人生を歩んでいることを理解し、尊重する。
- 自分は自分で、安心できる居場所をつくり、くつろぐ。
- 今の私は、すべて私が選んだ結果と諦観する。
…こういった覚悟を、ゆるりゆるりと固めていくことが大切。
❷❸に共通するのが「依存」
ここでの「依存」とは…
孤独の「穴埋め」に、ヒト・モノ・コトを求め、それに頼ること。
依存は自分でも気づきにくい。
なくしたときに、代わりのものが期待外れで不満を感じる…
といった場合は「依存」していた証拠です。
ヒトであれば、不満ではなく孤独となる。
たとえば、友人を何らかの理由で失ったとき、
孤独感から逃れるために、ほかの誰かを求める。
しかし、その人は私の期待を満たしてくれない。
かえって、孤独が身に染みる結果となった…
孤独から逃れようとして、かえって孤独になるという悪循環のケースです。
こうなった原因は、孤独の穴を埋めるために、無意識に他者に依存していた自分です。
ここでも言えることは…
ゆるりゆるりと覚悟を固めていくことの大切さ。
その覚悟とは、他者に期待も依存もしない「一人が基準」の考え方。
本当の意味での自立です。
21世紀を生きるアラフィフの発達課題と言ってもいい。
もし、何らかの状況で 「お一人でさみしいですね」と言われたら…
いえいえ、
ようやく自立できました。
…と返しましょう。
孤独とのつき合い方
前述のとおり、孤独は当人が感じている主観的な気持ちです。
その人が、そのとき、その状態を「孤独=さびしい」と意味づけるかどうかによる。
したがって…
友人がたくさんいる人が幸せで、そうでない人は孤独とは限らない。
一人でいることを何とも思わない人は、その状態を孤独と思いません。
「孤独と思わない」でいられるアイデアは次の2点…
- 折にふれて回想する習慣をもつ
- 進行感がもてる活動を行う
❶ 折にふれて回想する習慣をもつ
回想といっても、「昔はよかった」と老けこんだ思いに浸ることが目的ではありません。
回想をポイントにあげたのは…
過去をふり返ることと未来のプランニングは、脳内のネットワーク上、密接な関係があるからです。
根拠となる論文は…
Details
- Addis, D. R., Moscovitch, M., & McAndrews, M. P. (2007). The cognitive neuroscience of episodic memory: Remembering the past and imagining the future. Nature Reviews Neuroscience, 8(9), 653-664.
- Schacter, D. L., Addis, D. R., & Buckner, R. L. (2007). Remembering the past to imagine the future: The prospective brain. Nature Reviews Neuroscience, 8(9), 657-661.
- Szpunar, K. K., & Schacter, D. L. (2012). The future of episodic memory research: Remembering the past to imagine the future. Perspectives on Psychological Science, 7(4), 374-387.
- Addis, D. R., Moscovitch, M., & McAndrews, M. P. (2007). The cognitive neuroscience of episodic memory: Remembering the past and imagining the future. Nature Reviews Neuroscience, 8(9), 653-664.
- Schacter, D. L., Addis, D. R., & Buckner, R. L. (2007). Remembering the past to imagine the future: The prospective brain. Nature Reviews Neuroscience, 8(9), 657-661.
- Szpunar, K. K., & Schacter, D. L. (2012). The future of episodic memory research: Remembering the past to imagine the future. Perspectives on Psychological Science, 7(4), 374-387.
明らかになったのは…
過去をふり返る行為は、未来に向かって生きる力を発動する、ということ。
回想は、自分一人でポジティブな気分になれる行為。しかも無料です。
いわば「幸せの自家発電」
その場で、誰でも手軽にできるというのが最大のメリットです。
スマホやPCに、懐かしい、お気に入りの写真を入れておいて、すぐに見られるようにしておく、それだけで、ポジティブな気分や幸福感が得られる。
離れていても、その人がいなくなっても「つながっている」感覚も得られます。
「回想習慣」の関連記事を紹介しておきます。
詳しくは以下の記事を、ご参照ください。
さて、ポジティブな気分になり、何か動き出したくなった…
後悔しないアクションは、進行感がもてる活動。
次の項で解説します。
❷ 進行感がもてる活動を行う
進行感とは、「前に進んでいるという実感」です。
昨日よりも今日のほうが「賢くなった」「できるようになった」という実感。
このような進行感がもてる、あなたらしいアクションを起こすことをおススメします。
- ちまたで流行の「キラキラ趣味」でなくてよい。
- ゴール:目標にしばられない活動でよい。
- ときに後退することもよし、とする。
現代は、誰でも簡単にブログやSNSで自分の考えを世界に発信することができます。
一人飯、一人旅、一人出歩き、一人飲み、一人ジム、ソロキャンプ…であっても、配信し共感を得ればフォロワー数で進行感を得られます。
たとえば…
ソロキャンプの心地よさを配信しているヒロシさんの動画には、多くの「イイね」が寄せられています。
今は、進行感を手に入れるツールに事欠きません。
スマホひとつで足跡(記録)を残せるからです。
気をつけるべきは、閉じこもることと孤独を混同しないこと。
ときにはアウトプットの場も必要です。
たとえば、以下のようなコミュニティに参加することも一案。
趣味人俱楽部:https://smcb.jp/
目的とすべきことは、感情の老化防止。
そのためには、孤独の場を離れて「進行感」を共有する場も必要です。
体力の衰えはあっても、心の老いにつかまらないこと。
最終的には、これが孤独感に陥らない一番のコツです。
「本当の人生は未来にある」という思い込みはゴミ箱へ
孤独を心から楽しむには、「開き直り」も必要。
「本当の人生は未来にある」という思い込みは、ゴミ箱に捨て…
今を生きることの喜びをふいにしては意味がない。
今できることに専念して喜びを享受したほうがいい
…と開き直る。
本当の人生は、常に「今」「ここに」にあります。
未来期待の人生観をごみ箱に捨てれば、「孤独感」もポイできます。
アラフィフのみな様…
孤独を恐るるなかれ、いざ楽しまん。
孤独をテーマにした、おススメの本は…
『自分の中に孤独を抱け』岡本太郎(著)
勇気と力が湧いてきます!
忙しいあなたも、耳は意外とヒマしてます。
時間がない人におススメなのは audiobook!
ビジネスパーソンの主流は、耳読書。
読書効率がグンと上がります…