近年「論破」がもてはやされ、
正論を振りかざして相手を追いつめる…
「ロジハラ(ロジカルハラスメント)」なる言葉も生まれました。
いっぽうビジネスでは、ものごとの因果関係を整理し、順序立てて考えるなどの論理的思考力が必要とされます。
なかでも会議や取引の場では…
ロジカルな伝え方が求められる。
理想としては、
- ロジカルだけど冷たい感じはしない
- クレバーで、感じがいい
…という評価を得たい。
そこで、本記事では…
好かれる人が実践する
感じのいい伝え方を解説!
具体的には、次の5点です。
- 脇役で輝く人になる
- ネームコーリングを意識する
- ペース&リードで会話を進める
- 相談事は「ぼんやり表現」を使う
- 実は、事後の声かけで印象が決まる
脇役で輝く人になる
ロジハラとみなされる要因は、自分の承認欲求に無自覚なところにあります。
承認欲求を抑えられず…
- 自分の話ばかりしてしまう
- よかれと思って余計なアドバイスをする
- 人の話を聞かない
…といった行動にあらわれる。
結果、いかに正論であっても…
マウントを取ろうとしていると見なされ、ロジハラと非難を受けてしまいます。
では…
正論を言っても
ロジハラと思われない人は
何が違うのでしょうか?
結論は、正論を言い出すタイミングです。
具体的には、
他人の意見に関係づけて…
正論を述べるようにすること
たとえば、
先ほど
Aさんもおっしゃっていましたが
…と引用できるタイミングをはかり
正論を展開するなどです。
そうすることで…
「いっしょに考えている」感を全員の前で示すことができます。
結果、マウント感が打ち消され…
孤立することもありません。
さらには…
会議のなかで話の起点を整理して論を展開できる人は、文脈を正しく読み取る力のある「クレバーな人」という印象を与えます。
ポイントは、主役をゆずり…
脇役で存在感を発揮すること
主役をゆずられた人も、シンプルにうれしいと感じるはずです。
ネームコーリングを意識する
名前を呼ばれると…
相手への好感度に変化が起きます。
これは『ネームコーリング効果』とよばれる心理状態で、自分を知ってくれていると感じ、相手を好ましく思う傾向を指します。
相手に関心を寄せてほしいとき、信頼関係を築くときなどに、効果を発揮します。
なぜか「好かれる人」は会話のなかで、
このネームコーリングを意識してます。
たとえば…
あなたの考えを聞かせてください
と言わず、
○○さんの考えを聞かせてください
…とお願いするなどです。
名前を差し込める会話はいくらでもあります。
- 〇〇さんの戦略を、詳しく教えてください
- たしかに、○○さんのおっしゃるとおりですね
- 〇〇さんが、先ほど指摘された点に関連して…
- 〇〇さんの提案に基づいて、私たちは…
- 〇〇さんのアイデアを発展させる形で…
- 〇〇さんの意見を踏まえて、私たちは…
このように名前を差し込むことによって、相手との心理的な距離が近づきます。
ネームコーリングは、参加者を尊重し、会話を生産的にするための簡単な方法です。
ただし、過度に行うと逆効果になることもあるため、適切なバランスが大切。
全員の名前を公平に呼ぶことで、だれもが等しく参加していると感じられるようにすることも大切です。
特定の人に偏ると追従と受けとられ…
逆効果になります。
ペース&リードで会話を進める
ペース&リードとは、
ペースや語彙レベルを合わせながら…
少しずつリードするコミュニケーションのこと
「安心」や「つながり」をもたし、心地よく会話のキャッチボールができるコツです。
ポイントは…
- ペースや語彙レベルの差を小さくする
- 共通点や相違点を起点にリードする
…の2点です。
詳細は、以下の記事で解説しています。
必要に応じて、ご活用ください
とくに留意すべき点は、ペースを合わせること。
ロジカルな人は、「こうすれば解決できる」と、素早く正解に到達することができます。
話すテンポも早くなり…
ゆっくり話す人にイライラしがちです。
心地よい会話のテンポは人それぞれ。
大切なのは、自分視点を手放し、会話を相手と同じテンポで進行することです。
たとえば、
■ 相手がポツリポツリ話すなら、それに合わせる
■ ムリに合間を埋めず、相手の言葉を噛みしめる
…という合わせ方をします。
話を聴くときの姿勢のひとつとして、沈黙が効果を発揮するときもあります。
沈黙は、話し手と聞き手の両方に考える時間を与えます。
これにより、より深いレベルでの理解や、より熟考された回答が可能になります。
相談事は「ぼんやり表現」を使う
悩み事の相談など、デリケートな問題に答える場合は、「ぼんやり表現」を使うほうが好まれる場合があります。
断言を避け、柔軟性をもたせることで、正論を言っても嫌味な印象を与えません。
たとえば…
- 多分、報道の影響と思われます。
- もしかすると、別の方法があるかもしれません。
- 可能性としては、そのアプローチもあり得ます。
- ある程度、その考えに納得できます。
- 恐らく、それはうまくいくでしょう。
- 一般的には、そのような結果が期待されます。
- あくまで、私の個人的な意見ですが…
- さしあたって、その案を考えてみましょう。
…などを頭につけて、ぼんやり感を出したり、
話しの終わりに、
- …かもしれませんね。
- …でしょうか。
- …かなと思います。
- …という感じです。
- …のような気がします。
- …のではないでしょうか。
- …といったところでしょうか。
- …と考えられますが、どうでしょう?
- …ということもありますね。
- …という可能性も否定できません。
- …とも言えるかもしれません。
- …というわけではありませんが…
- …ということになるのかもしれません。
- …ということも考えられます。
…などの表現を用いたりする。
つづけて…
- どうですか?
- いかがですか?
- どう思われます?
- どう感じます? …など
相手との会話の間に、「橋」をかけることも大切。
会話が一方的になりません。
注意点として、相談者の多くは…
どうすればいいかを聞きたいわけではなく、
どれだけ大変だったかを聞いてほしいだけ
…というケースが多いこと。
この場合は、共感と理解が中心となり、
- それは本当に大変でしたね。
- それは辛かったですね。
- 大変な経験でしたね。
…といった
相手の感情を認める会話が大切になります。
ロジカルな人は、解決策が見えるので、つい提案型の会話になりがち。
相談を受けたとき…
…すれば、どう?
といったアドバイスの仕方は、相手の感情を無視していると受け取られることがあります。
実は、事後の声かけで印象が決まる
人間関係において、事後の声かけはとても重要な役割を果たします。
事後の声かけとは、イベントや会議後に行うフォローアップのことを指します。
相手に対する敬意と感謝を示すと同時に、今後の関係を築くための基盤となります。
好かれる人の必須の習慣。
たとえば、会議後のメンバーに対して、
- プロジェクトに新しい視点をもたらしましたね
- 今度、詳しく聞かせてください
- チームにとって大きなヒントになりました
- Aさんの洞察、今後のプロジェクトに活きます
…などのフィードバックが好印象をもたらします。
ビジネスミーティング後の感謝のメールも大切。
相手に好印象を与え…
次の機会への道を開くことができます。
ポイントは次の5つです。
❶ 時を置かずに伝える
時を逸することなく、イベントや会議の直後にフォローアップを行う。
❷ 私(たち)を主語にして伝える
形式的なメッセージではなく、個人的な感謝を伝える。
❸ 具体的に伝える
特定の発言や行動など、具体的な内容をとり上げて感謝を伝える。
❹ 簡潔に伝える
長いメッセージは逆効果。
簡潔に要点をまとめる。
❺ 次のステップを添える
次につながるアクションや提案を含める。
とくに重要なのは、上記の➋。
I or WEメッセージを入れることによって、感情的なつながりが生まれ、良好な関係を築くことができます。
この点の詳細は、以下の記事で解説しています。
詳しく知りたい方は、ご活用ください。
関係者に送るメールの文例としては…
昨日のミーティングにおける貴重なご意見、誠にありがとうございました。
特に、次世代技術の統合による製品の差別化についての洞察は、私たちにとって大きな刺激となりました。
私たちのチームは、既にご提案いただいたアイデアをもとに、初期の概念設計を開始しております。
今後の進捗については、定期的にご報告させていただきます。
何かご不明点や追加でご相談いただきたいことがございましたら、お気軽にご連絡ください。次回のミーティングでのご対面を楽しみにしております。
このようなフォローアップは、相手に対する敬意を示すだけでなく、相手との関係を育むための戦略的な手段でもあります。
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