パーソナル・ブランディングとは、自分のよさを伸ばし、周りからも認められるようになることです。
「あの人に頼みたい」「あの人から買いたい」の「あの人」になる戦略です。
「自己アピール力」の必要性が強調されるため、内向型に自己ブランディングは困難と思われがちですが、そういうわけではありません。
内向型でありながら超外向型社会アメリカで成功を収めた人も多い。
「新人社員を腐らせない」で紹介した「『静かな人』の戦略書」の著者ジル・チャンもその一人です。
彼女は、インタビュのなかで以下のように語っています…
内向的な人は「深く考える」という特徴があります。
そのため、全体を俯瞰して緻密な戦略を立てることが得意ですし、計画を立て、目標を達成するまで粘り強くそのプロジェクトに取り組むこともできます。リスクマネジメントに秀でているとも言える。引用:DIAMOND online 2022.8.5 https://diamond.jp/articles/-/307119
理想タイプを追い求めて真似たり背伸びしたりするよりも、自分の中にある「よさ」を伸ばす戦略で臨むほうがブランディングを成功に導きます。
では、だれでも無理なく自分のブランド力を高めるにはどんなアクションが必要でしょうか。
結論は…
ブランディングを
日常に落とし込む習慣
具体的には以下のとおりです。
簡単に内容を知りたい方は Instagramへどうぞ…
https://www.instagram.com/mitsuya_biz
チャンキングの思考習慣で「自論」形成力を磨く
- たとえば、プロジェクト憲章の作成にたずさわり、ミーティングで意見を求められる。
- たとえば、管理層を対象としたリスクマネジメント研修で、プレゼンをまかされる。
このような場面や任務において、あなたのブランド力が試されます。
客観的な分析とあわせて、説得力のある「自論」を展開できれば、“あなたブランド”が際立つ。
大切なことは、日ごろから「自論」形成力を高めておくことです。
おススメは、チャンキングの思考習慣。
チャンキングとは…
目標や全体の位置づけを明確にし、具体的な計画を立てるための手法
これを思考習慣にすることで、あなたのブランド力は高まります。
チャンキングにはチャンクアップ(chunk up)とチャンクダウン(chunk down)があります。
高い評価を得ている社員は、チャンクアップ&ダウンの思考を往還しています。
❶ チャンクアップ
チャンクアップとは…
個別の課題をその上位のテーマ・カテゴリーの中で位置づけること
平たくいえば、個別の事案を俯瞰し、意味づけたり意義づけたり、目的化したり方向づけたりするなど、大きくとらえ直すことです。
たとえると、一本一本の木から全体としてどんな「森」なのか、とらえること。
事例をあげると…
- 店舗の売り上げが伸びており、40-50代が売り上げに貢献している。
- ECサイトの売り上げが落ちており、20代の客層が薄い。
以上の個別の状況から自社の顧客層が高齢化しているととらえ、詳細な調査を実施して解決策を導き出すことにした。
自分なりの見方・考え方を加えて「自論」をもてるようになると、あなたの「強み」になります。つまり、ブランディングの資源になる。
「自論」に根拠があり、周りから高い考察力をもっていると認められると、質の高いブランディングにつながります。
「あいつの意見を聞きたい」と頼りにされる人は、チャンクアップの能力が高い人です。
チャンキングは習慣によって磨かれます。
質問をして、認識の正誤や適否を確かめる習慣も大切。
つまり…
- こういうことですか?
- こうなることが目的ですか?
…などのチャンクアップの質問をする習慣です。
外向きの行動が苦手な人は、リサーチして「自論」の質を高めて蓄積します。
先ほどの事例でいえば…
- 自社の顧客層の高齢化を問題ととらえ、根拠となるデータを蓄積して解決案をもっておく。
- 自分らしいアウトプットの仕方で発信する。
…という戦略で臨みます。
「アウトプットが苦手、自信がない」とお悩みの方は、以下の記事を参考にされてください…
❷ チャンクダウン
チャンクダウンとは…
問題点をより具体化するために、ある課題から下位の複数の課題を導き出すこと
たとえると、森を構成する「木」に焦点を当て一つ一つを明らかにすることです。
課題をタスクに落とし、その優先順位や手順、タスク相互のつながりや自身の役割を先回りして考えて行動すれば、貢献度が高まります。
これも一つのブランディング。
「あいつはのみ込みが早い」と言われる人は、チャンクダウンの「先回り」ができている人です。
チャンクダウンも周囲に質問をして、認識の正誤や適否を確かめることが大切です。
「具体的にはこういうことですか?」「例えば、こうなることですか?」などのチャンクダウンの質問をする習慣です。
外向きの行動が苦手な人は…
- 客観的な情報やデータを収集して根拠を言語化しておく。
- さらに自分なりの視座をもつ。
こうした蓄積力が意見を求められたときに役立ちます。
質の高い応答=ブランディング、という考え方でチャンクダウンの能力に磨きをかけます。
チャンキングは、雑談やコミュニケーション、会話術など、広く活用できます。
応用として、以下の記事でも取りあげています。
必要に応じて、ご参照ください。
独学+αの習慣で差別化を図る
独学とは、「何」を「どのように」を自分で選んで学ぶことです。
この「どのように」にブランディングの視点を加えるだけで、無理なく他者と差別化できます。
学習の功利性を横軸にとり、職務との関係性を縦軸に取った図でポイントを説明します。
❶ Aの領域
「創意を求められる仕事において、自分の満足感を高めるように工夫&試行錯誤しながら」があなたのブランドになる
功利性も職務との関係性も高い「A」は仕事における独学です。
自分の満足感を高めるように試行錯誤しながら仕事を工夫して進めることが独学の内容。
工夫があなたの財産となり、人はあなたの工夫を頼りに集まってきます。
試行錯誤を経て獲得した再現力があなたのブランドになります。
❷ Bの領域
「価値提供できるスキルやコンテンツをしぼり込み、質を高め実績を伸ばしながら」があなたのブランドになる
「B」は副業に代表されるキャリア自律にかかわる領域です。
スキルレベルを高め実績を伸ばすことが独学の内容で、それ自体があなたのブランドになります。
自身のもつ市場価値は、収益というモノサシで試されます。
❸ Cの領域
「自身のテーマを深く掘り下げ、転用・敷衍(ふえん)・適用しながら」があなたのブランドになる
「C」は、自己啓発に代表される、個人のキャリア形成にかかわる領域です。
自分自身の心が動くテーマを深く掘り下げて考え理解し、自分の引出しに入れることが独学の内容。
独学で得た知識を他の領域に転用、敷衍、適用することを習慣づけると、あなたらしいブランディンができます。
C領域のもう一つのメリットは…
ここでの独学がリベラルアーツとなり、考える引出しが増えることです。
判断力、柔軟な対応力、客観性を高めることも可能。
※ リベラルアーツ:生きるための力を身に付けるための手法であり、「こうあるべき」という概念から解放され、自由に生きるための手段を学ぶ学問
❹ Dの領域
「仕事外の接点を広げるなかで、自分なりの視座を増やしながら」があなたのブランドになる
「D」は、趣味や社会貢献活動など仕事とは距離のある領域です。
好きなことへの熱意が独学の原動力になる領域。
仕事外のヒト・モノ・コトと接することで、ライフキャリアを俯瞰的・客観的にとらえる視座を養えます。
自分なりの視座を増やしていけば、いずれは他人とは違うブランディングにつながります。
定期的な学びを続けるのは簡単ではありません。
日常の「独学」のなかに、ブランディングを+αしていくほうが効率的です。
ブランディングの+αとは、❶~❹に示した意識や習慣づけのこと。
「+α」が、自身のリソースや行動様式に変化を与え、理想とするキャリア形成につながります。独学の入り口が見つからない、という方は以下の記事が参考になります。
必要に応じて、ご活用ください。
小さな行動習慣で無理なく「つながる」
“つながり”をもつ目的は、チャンスを引き寄せる布石を打つことです。
注意すべき点は、ブランディングを目的とした“つながり”の拡大は、後々多大な負担をまねくことです。手を広げたネットワークからの発信に、いちいちリアクションを返さねばならぬ毎日が待っています。
リフレクション(内省)によって過去・現在・未来のキーパーソンを見つけ、互恵的な関係性を築くほうが有益です。
一般的に、外向性が高い人はリレーションをもちやく、低い人にはハードルが高いと考えられています。
しかし、外向性という特性が低くても、今できる「小さな行動」によって自分らしいリレーションをつくることができます。
「つながり」をもたらす4つの行動を紹介します。
今できる「小さな行動」から始めましょう。
❶ ちょっとしたお手伝い
「ちょっと」というのは「自己犠牲をともなわない」という意味です。
困っていることがないか気にかけたり、何かできることはないか考えたりして、負担にならない範囲で行動に移します。
❷ アドバイスを求める
困ったときにアドバイスを求めたり、自分より知識や経験がある人に助言を求めたりすることについて、無知に見られると不安をもつ人もいると思います。
しかし、調査研究によれば、助言を求めることはその人に能力があると思わせたり、アドバイスを求めた人への好ましい感情を引き出したりすることがわかっています。
※ Harvard Business Review:“Win Over an Opponent by Asking for Advice”Katie Liljenquist and Adam D. Galinsky
https://hbr.org/2014/06/win-over-an-opponent-by-asking-for-advice
❸ リフレクション(内省)
これから挑戦してみたいことや学びたいことを考えたり、自分の足跡をふり返ったり、今後の働き方を思い描いたりすることです。
人は内省によって自分にとって重要な情報を無意識に選択し、注意を向ける傾向があります。人生を左右する、あなたにとってのキーパーソンが見えてきます。
❹ 自分を伝える
自己開示はカタルシス効果(話すことでスッキリする)とともに、他者との関係を深める役割を果たします。
一般的に自己開示は信頼している相手に対して行います。
したがって、自己開示によって相手に「信頼しています」というメッセージを送ることができます。
「自分は方向音痴で…」など、クスッと笑える、ゆるい自己開示から始めるのがコツです。
「つながる」と聞くと人的ネットワークの構築を思い浮かべる人が多いと思います。
しかし、❶~❹のような日常のちょっとした習慣で自然とネットワークは広がります。
4つの小さな行動は、心理的な負荷を小さくする効果があります。
ブランディング=「変身せよ」ではない
内向型にパーソナル・ブランディングは困難、勇気を発揮して外向型人間に変身せよと言われる方が多いのですが…
ブランディングに向き不向きはありません。
重要なのは、他に及ぼす影響力です。
これによってブランディングの高低が決まります。
例えばソリューション営業を行う際、あなたの提案に顧客が価値を見いだせれば自身のブランドは高まり、できなければ低下します。
つながりのある他者にどんな価値をどの程度提供できるかという影響力に注力すべきであり、それは今回紹介した3つの習慣がヒントになります。
「向き不向き」を打ち破る、あなたらしいアプローチで自分をブランド化してください。
おススメの関連書籍を紹介します…
ジル・チャン著「『静かな人』の戦略書」
\ 成功をしているビジネスパーソンの多くは内向型である /
スーザン・ケイン著「内向型人間のすごい力」
\ ビル・ゲイツもイーロン・マスクも内向型人間だった! /
忙しいあなたも、耳は意外とヒマしてます。
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