2015年に経営破綻したスカイマークの再建は、「褒める力」によって実現しました。
良い結果を出したから褒めるのではなく…
褒めるから良い結果が出るのだ
…という逆転の発想が生んだ成果です。
つまり、「褒める力」には組織風土を変革するパワーがある。
上司にとっても部下を褒めるスキルは身につけたいところ。なぜなら…
- モチベ―ションの向上
- 生産性の向上
- 離職率の低下
…など、メリットが大きいからです。
いっぽうで、
あの上司、人が変わったように褒める
何か裏があるのではないか…
こう思われるのは避けたい。
褒め言葉をひねり出すのが苦手、と感じている方も多い。
そこで本記事では、
褒めてないけど…
「褒められ効果」を発揮する裏技を解説
具体的には、次の順で解説します。
❶ポジティブな面に目を向けるマインドセット
❷褒められ効果を発揮する3つの裏技
ポジティブな面に目を向けるマインドセット
部下を褒める気持ちになれない…
こう思う人は、自身の「心理的なクセ」が働いている可能性があります。
「Reason-based choice(理由にもとづく選択)」(E・シャフィール、I・シモンソン、A・トヴェルスキーの論文にて提唱された理論)によると…
誰かを選出したり、報酬を与えたりする場合はその人のポジティブな面に注目する一方で、誰かを否定したり、非難したりする場合にはネガティブな面に注目してしまう
出典:「部下を褒められない上司 問題は人間が持つ心理的クセに」フォーブスジャパンよりhttps://forbesjapan.com/articles/detail/22423
つまり、職場を見渡し…
- 業務が予定どおり進み、着々と成果をあげている理由は、社員のどんな努力によるものか、と観察している上司は、社員のポジティブな面に注目する。
- 業務上のミスやトラブルの原因をさがすなど「ダメ出し」のネタ探しをしている上司は、社員のネガティブな面に注目する。
…ということです。
褒める気持ちになれないのは、「ダメ出し」の理由探しをするクセが原因かもしれません。
多くの時間を、業務が滞っている原因追及に費やしている可能性もある。
トラブルの再発防止に費やす時間も必要。
ただし、職場にいる時間の大半をこれに使うと、ダメ出しの理由探しが起こり、「褒める気になれない」という気持ちになります。
ポジティブ面とネガティブ面、その「注目のバランス」をとる…
上司には、こういったマインドセットが必要になります。
褒められ効果を発揮する3つの裏技
今回紹介するのは、日常のコミュニケーションに変化をつけるだけ、という方法です。
褒め言葉をひねり出す必要はありません。
具体的には次の3点…
- 成果を切り取って事実を描写する
- 成果につながった理由を深掘りする
- 「おかげで」をつけて感謝する
成果を切り取って事実を描写する
「よくがんばったね」では、人の心は動きません。
とくにミドル層からは、空虚なあいさつ程度に受けとられてしまう。
「何をどのように努力したのか、この上司わかっているの?」と「?」がつき、逆効果になるケースもあります。
そこで紹介するのは、成果にかかわる事実をありのまま描写して伝える方法です。
たとえば…
先方の課長さんが○○君からの情報提供に感謝していたよ。
タイムリーな情報で、A社の次期プロジェクトのコンセプトが固まったとまで言われたよ。
このような「間接承認」はとくに効果的です。
会話のスタートにも使いやすい。
※ 間接承認:他者からの評価や感謝の言葉を伝えること
事実を伝えることが、すなわち上司である「私」が認めた、というメッセージになります。
結果、褒められた感を部下にもたらす。
ポイントは、次の3点…
- アンテナを張り、成果と認められる事実を切り取って伝える。
- どのような行動がどんな成果(事実)をもたらしたか描写する。
- 「間接承認ネタ」で効果を倍加する。
ミドル社員には、さらに事実の部分に厚みをもたせます。
若手と違い、キャリア志向の高い世代の関心事は、今回の貢献が「会社にどのような好影響をもたらすか」という点にあります。
ここをフォローすることで、貢献意欲はさらに高まります。
共感型リーダーシップを発揮するうえでも、「成果を切り取って事実を描写する」スキルは有効です。詳細は、以下の記事をご参照ください…
成果につながった理由を深掘りする
成果につながった努力を質問によって深掘りします。たとえば、新規の契約成立について…
- いろいろと苦労しただろう。
どんな苦労があった? - 何か工夫したことはあったの?
- 前回の進め方と変えた点は?
…など、報告を受ける際に理由を深掘りするだけです。
+αで称賛の言葉かけをすると効果的。
さらに聞きとったことを他の社員に伝えると、チーム全体に「好刺激」をもたらします。
ほかの社員から称賛を受けるきっかけにもなり、「褒め効果」が拡大します。
ポイントは、次の3点…
- 「詳しく知りたい」という関心を示すこと
- 苦労・工夫・個人の成長を聞き出すこと
- 聞き出したことを周囲に広げること
このような深掘りや拡散によって…
詳しく理由を聞いてくれる → 努力や工夫を認めらた
…という流れをつくります。
「おかげで」をつけて感謝する
「君のおかげで…」という言葉を先頭につけるだけで、「褒め」効果は増大します。
とくに効果を発揮するのは、対ミドル層です。
前述のとおり、キャリア志向が高まるミドル層は、自身の貢献が「会社にどのような好影響をもたらすか」という点に関心が高い。
したがって…
貢献度が高い人 → なくてはならない人 → 特別な人
…という印象づけがポイントになります。
表現としては「君のおかげで…」が効果を発揮する。
たとえば、「君のおかげで…」
- プロジェクトが一歩も二歩も前進したよ。
- 先方との信頼関係がさらに深まったよ。
- チームが一つになったよ。
…と「特別感」をかもし出します。
「褒め効果」は、「あなた」だからこそという特別感を出すことで最大化します。
とくに…
ミドル層を前にしたときは「おかげで」の4字を意識して使うことをおススメします。
結果として「褒められた感」をつくればよい
マネジャーになった…
褒めることの重要性をあちこちで聞く。
でも、自分に変化を起こすことは難しい。
そう感じているマネジャーは意外に多い。
しかし、「褒めねばならぬ」というプレッシャーを感じる必要はありません。
結果として部下に「褒められた感」をつくればよいのです。
日常のコミュニケーションのなかに溶かしこむコツをつかめば、同じ効果は得られます。
本記事では、そのコツを3つ紹介しました。
取捨選択し、
あなたらしい褒め技でアプローチしてください。
褒めたつもりが、部下はテンションダウン…
原因は、あなたの口癖かもしれません。
気になる方は、こちらの記事をご参照ください…
「褒める」を極めたい方におススメするのは次の2冊…
忙しいあなたも、耳は意外とヒマしてます。
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