時間の使い方は、修正・改善を起こしにくい、と言われます。
お金のように「今日は〇〇円使った」というように帳簿をつけないからです。
つまり、時間には貯蔵性がない、したがって時間管理の効果は検証困難、というのが理由。
結果、「もっと○○する時間がほしい」と思いながら、さなぎのように耐える毎日が続いてしまいます。
一方で、限りある人生において時間は重要な資源、だから大切にしたいということも常に頭の片隅にある…
実際、生活時間の配分の満足度と幸福度には、高い相関が見られます。
では、どうすればよいか?
時間というのは トレードオフ を強いるという特徴があります。
「しない」ことを充実させることで解決するしか方法はありません。
具体的な解決策は…
「○○をするために○○をしない」というように、時間を削って増やすための「行動修正」を行うこと。
※トレードオフ:何かを得ると、別の何かを失う、という相容れない関係のこと。
そこで本記事では、時間を生み出す…
「行動修正」を3点紹介。
あなたにとって最適な修正ポイントを見つけてください。
「気づき」と「行動修正」で自分の時間をとりもどすことができます。
最終目標は、幸福度の向上。
幸福度は時間配分の満足度で決まる
結論から申し上げると、幸福度が高い人とは…
ワーク・ライフ・ソーシャルの各活動時間のバランスに満足している人
以下は、リクルートワークス研究所『働く人の共助・公助に関する意識調査』結果。
https://www.works-i.com/research/report/kyojokojo.html
生活時間の配分に満足している人は、不満を抱えている人と比べて幸福度が高いだけでなく、生き生きと働く実感、自分のライフキャリアへの誇りや納得感も高いことがわかります。
したがって、充実したライフキャリアを実現したいと考えるならば、ワーク・ライフ・ソーシャルの時間配分を希望どおりに組み直す行動が大切になります。
動かずに耐え忍ぶだけでは、時間という貴重な資源を失うばかり。
バランスを崩す要因を見極めて修正し、幸福度を高めていきましょう。
トレードオフは痛みをともないますが…
絶大な効果を生み出します。
そのための「行動修正」について、次の章より解説します。
3つの行動修正で自分の時間をとりもどす
自分の時間を増やすには、「○○しない」の「○○」の特定と行動修正が必要です。
その要点を、以下の3点に整理して解説します…
現状に合わせて、最適な方法を選択して活用してください。
❶ 「すべて大切」を修正する
すべて大切という思い込みから脱却し、カギを握る少数に注力することにより、時間を削ることができます。
重要な少数に絞っても、成果は十分に期待できます。
むしろ、「やるべきこと」を正しく選ぶことによって成果は拡大します。
80対20の法則:成果の80%は20%の努力に起因する(パレートの法則)の活用です。
大切なことは、常に目の前の問題や仕事の、重要な20%を見極めようとする習慣。
言い換えると、「選ぶ」ことを選ぶ習慣です。
以下の記事でもふれましたが…
多忙なプレイングマネジャーの場合、ボトルネックの見極め・成功ポイントの見極めが忙しさの解消とともに、成果の拡大につながります。
関連図:ボトルネックの見極め
関連図:成功のポイントを明確にして成果を拡大する
「重要な少数」が「些末な多数」に勝る、という法則をもとに、「すべて大切」という思い込みから脱却し…
カギを握る少数に注力しましょう。
ちなみに、「すべて大切」と思い込んでいる人の多くは、段取り下手です。
以下の記事を参照し、自身の段取りの仕方をふり返りましょう。
きっと、よいヒントが得られます。
❷ 「やればできる」を修正する
努力しただけ報われるのは、特定の仕事に限ります。
多くの場合、努力の量と成果は比例しません。
パレートの法則と重なる部分がありますが…
大切なのは、何をしたら報われるかを見極めて努力することです。
『リクルートのすごい構“創”力』(杉田浩章著)のなかで紹介されていますが…
リクルートは…
どんなに労力をつぎ込んだとしても、勝ち筋が見つかりそうな兆しがなければスパッと見切ることで、成長を維持しています。
フリーペーパー「R25」、「カースマイル」の休刊がその例です。
ただし、撤退事例は、撤退後もそのプロセスを詳細に記録・分析し、教材として使われています。
つまり、「何をしたら報われるか」見極める努力を続けているのです。
やればできる、の価値観に固執することによって、私たちは多くの時間を失っています。
やる前に「見切る」時間、数値などを明確にし、その時が来ればスパッとあきらめる
そして、企業で言えば新規事業、ライフキャリアで言えば次のフェーズに向けて、失敗を糧にして前に進む、という行動を選択する。
このような行動修正をすることによって、時間の浪費を回避できます。
成果を生まない努力はしない、という行動修正で時間の浪費を回避
❸ 「仕方がない」を修正する
新たなポストに就いたとき、多くの人は前任者の仕事を踏襲することから始めます。
前任者が毎日・毎週・毎月していた業務を引き継ぐわけです。
もし、前任者が業務過多により毎日残業を続けていたとしたら、その錯綜状況も当然引き継ぐことになります。
この場合、多くの人は「仕方がない」と思い、多忙な状況を受け入れてしまいます。
現状維持バイアスが働くからです。
※ 現状維持バイアス:これまでもやっているからという理由だけでやめられない傾向
その深層には…
変化によって、失敗のリスクがある・現状が悪化する・批判を受ける・後悔する、などの恐れがあります。
「仕方がない」を言い換えると「あきらめる」こと。以下は前記事で紹介したデータです。
キャリアの挑戦や備えに関する項目のいずれか1つ以上「あきらめている人」の割合は、実に約4割(37%)に上ります。
要は、「仕方がない」が現状維持一択を招き、時間という資源を失う要因になっている、ということです。
あきらめずに行動修正をするしか、「時間」をとり戻す方法はありません。
このことについて、代表的なテクニックを3つ紹介します。
1 逆プロトタイプ
逆プロトタイプとは…
現在していることを試験的にやめてみて、何か不都合があるか確かめること。
例えば、定例の報告書やレポート、複雑な業務フローなどです。
- 一定期間、試験的にやめる。
- どんな支障があるか、業務上のムダはないか、他の方法はないか、検討する。
- 具体的な改善策を策定し、承認を得る。
表向きは「業務改善」、内心は…
“しない”を探し、ムダな業務を削除
行動しなければ、時間はとりもどせません。
トライする価値は十分あります。
2 ゼロベース思考を具現化する
ゼロベース思考とは…
既存の考えや経験、規則などから一旦離れ、全くのゼロベースで物事を考える思考方法のこと。
業務過多の問題をゼロベースで思考し、改善策を導き出します。
例えば「そもそも何の目的があってすることなのか」など、物事の本質を問いながら業務を組み直していくなどです。
着眼点は「もったいないところ」。
会議の精選・書類の削減・自動化・業務委託の導入など、業務効率の観点から改善策を進言します。
ただし、上司に「ゼロベースで改善が必要」と唐突に進言したところで、採用されません。
そこで、表向きは「業務の効率化」、内心は…
ゼロベース思考で、ムダな時間を短縮
3 プレイング業務を焦点化する
前任者のプレイング業務をそのまま引き継いでいるのであれば、成果に結びつく業務に絞ることをおすすめします。
具体的には…
- 職務遂行上ボトルネックになる業務
- 成果の分岐点となる場面での介入
- 知識と経験、ネットワークを活かすことによって高い成果が期待できる業務
- 顧客との直接対話
- コンディション把握を目的とした部下との協働業務
など付加価値が高まる業務や場面です。
詳細は、『成果を出すプレイングマネジャー』へ…
これまでのプレイング業務を見直す際は、時期を見て「成果の拡大」を主旨とした変更について、メンバーに理解を求める必要があります。
表向きは「成果の拡大」、内心は…
業務を焦点化し、必要な仕事を選択
というように進めるとよいと思います。
大切なのは、「しない」ことを充実させること
他人の言いなりになるのを避けるためには、自分で優先順位を決めるしかありません。
しかし、現実は厳しく、様々な障壁があります。
人の時間を無意味に奪う「悪しき慣習」、前任者の「負の遺産」については、以下の3つの「思い込み」を修正してください。
- すべて大切
- やればできる
- 仕方がない
時には、「表向き」という仮面をつけて時間を生み出すことも必要です。
記事のなかでは、3つの「表向き」を提示しました。
上図のように、「常に時間に合わせて行動する」ではなく、「自分に合わせて時間を使えるようにする」という思い切った発想・行動も時には必要です。
時間がほしければ 自分でつくるしかない、という覚悟をもって行動しましょう。
時間というのは「トレードオフ」を強いるという認識をもとに、まずは…
「しない」ことを充実させることから始めましょう。
おすすめの関連書籍を紹介しておきます…
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