初めて会った人でも、その人がどんな言葉を使っているかを聞けば、その人の有能さをうかがい知ることができます。
もし、言葉選びが適切で表現力が豊かであれば、あなたは有能だと好印象をもたれる。
そうでない場合、知らず知らずのうちに恥をかいているかもしれません。
人は見た目が9割と言われますが…
優劣の印象は、言葉のセンスが9割
そこで今回は…
語彙力・敬語力を取り上げて解説!
なかでも、
- 好印象を与える表現
- 敬語の誤用
…にスポットを当てます。
語彙力、敬語力を磨いて、言葉のセンスをアップデートしましょう。
好印象は言葉選びから
好印象は言葉を疑う習慣から
語彙力を高めるのに効果的な習慣は、
次のとおり…
■ 話したい、書きたい意図に合うまで類義語検索
■ 気になる言葉、未知の言葉は、その場で検索
■ 時間が許せば、例文や使い方も検索
■ 「知る、そして使う」の繰り返し
■ 専門用語の置き換えとかみ砕き
■ 人が使っている言葉の正誤を確認
なかでも大切なのは…
人が使っている言葉の正誤の確認。
多くの人が使っていても…
疑念があれば「そもそも」まで掘り下げて確かめましょう。
たとえば、以下の記事で取りあげた
「させていただく」の使用がそうです。
好印象をもたらす言いかえ10選
好印象をもたらす言葉遣いを…
クイズ形式で紹介します。
知識のブラッシュアップに、お役立てください。
次の表現を、別の丁寧な表現に変えましょう。
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お心遣いに感謝します。
「お心遣いに感謝します」は、相手の思いやりや配慮に対する感謝をより深く表現するフレーズ。
使うシーンは、相手が特別な配慮をしてくれたときや、心を込めた行動をしてくれた場面。
相手への敬意をより強く伝えることができます。
ただし、感謝の気持ちを伝えるときはスピード重視。
言葉選びよりも…
機を逃さず、すぐに伝えることが、何より大切です。
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心より詫び申し上げます。
「心より詫び申し上げます」は、深刻な過ちや大きな失敗に対して使われ、謝罪の気持ちをより強く、かつ心からのものであることを示します。
ただし、「申し訳ありませんでした。心より詫び申し上げます」など、謝罪の表現を重ねると、かえって謝罪の意が薄れます。
謝罪の際は、
- ミスの原因を究明し正確に伝えること
- 再発防止策を伝えること
…が基本マナー。
謝罪の言葉のくり返しでは、誠実さは伝わりません。
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お変わりありませんか?
「お変わりありませんか?」は目上の人やビジネスの場などで、過去から現在に至るまでの変化を気遣う際に使います。
「長い間ご無沙汰しておりますが、お変わりありませんか?」と使います。
相手に対する配慮や関心を伝えることができ、
あたたかい雰囲気でコミュニケーションを始めることができます。
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差し支えございません。
「問題ありません」は、自分だけではなく相手にとっても問題がないことを伝える表現。
それに対して、「差し支えございません」は、自分たちにとって特に不都合がないことを丁寧に伝える表現です。
「明日の午前中であれば、差し支えございません。」
…と使います。
相手からの変更や訂正、誤りなどの連絡を受けたときに、よく使われます。
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ご贔屓にしていただき
「ご支援いただき」は、具体的な支援や援助を受けたことに対する感謝を表します。
これに対して、「ご贔屓にしていただき」は、長期にわたる支持や好意に対する感謝を表します。
「ご贔屓にしていただき、心より感謝申し上げます。皆様の温かいご支援のおかげで、私たちは10周年を迎えることができました。」
…と使います。
別の表現として「ご愛顧いただき…」「お引き立ていただき…」があります。
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…していただければ幸いです。
「…していただければ幸いです」は、希望や要望を伝えたいときに便利な言い回しです。
「お願いします」よりも相手にプレッシャーを与えすぎず、穏やかに、かつ丁寧に伝えることができます。
メールの文末などに、
なお、〇〇についてご不明な点等ございましたら、担当〇〇(電話:xx/Mail:xx)までお問い合わせいただければ幸いです。
…と使います。
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お目にかかれて光栄です。
「お目にかかる」は、「会う」の謙譲語。
丁寧な表現で、目上の人に対してや社交的な場面で使います。
「光栄です」は…
- ■ 自分の仕事や成果が認められたとき
- ■ 褒められたとき
- ■ 尊敬する人物や高名な人に会ったとき
…に使うことが多い。
相手に対する尊敬の念をより強く伝える表現として、手持ちのカードに加えておきましょう。
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益々のご活躍をお祈り申し上げます。
「頑張って」という言葉がカジュアルすぎると思ったら、「益々のご活躍をお祈り申し上げます」を使いましょう。
異動・退職や昇進などで、新しい場所で働く人へのエールとして使えます。
これまでお世話になった上司や一緒に働いてきた同僚など、今までのお礼とともに、変わらず頑張ってくださいという気持ちを伝える言い回しです。
相手が企業などの団体の場合は、「活躍」を「発展」に変えて使います。
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お力添えいただき…
「ご協力くださり」は、一般的な協力や参加に対する感謝を表します。
一方で、「お力添えいただき」は、より具体的な支援や援助に対する感謝を表します。
「この度はお力添えいただき、誠にありがとうございました。」と感謝の意を伝えるほか、
「次回のセミナーの際は、〇〇様のお力添えを賜りたく…」など、援助を受けたいときに使います。
その際は、「ご多忙の折恐縮ですが」など、
クッション言葉とセットで使うと、より丁寧な気持ちが伝わります。
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その案件は、ご対応いたしかねます。
「お受けできません」と「ご対応いたしかねます」の主な違いは、言い回しの丁寧さと、断りのニュアンスにあります。
「お受けできません」 は、「できない」という事実を明確に直接伝えるときに使います。
「ご対応いたしかねます」は、相手に対する敬意を示しつつ、できない理由があることを暗に伝えたいときに使います。
よりフォーマルな状況や、上司や顧客など、敬意を払うべき相手には「ご対応いたしかねます」のほうが適しています。
「ご注文のキャンセルは発送後にはご対応いたしかねますので、予めご了承ください。」
…と使います。
うかがう形、クッション言葉が好印象をもたらす
目上の人と話すときには、丁寧さとともに「へりくだりすぎない」ことも大切。
業務上必要なことは、目上の人でも、伝えるべきことは、はっきりと伝えるべきです。
とはいえ、
わきまえた態度を示しながら、意見を伝えることはなかなか難しい。
そこでおススメするのは、
うかがう形でお願いする方法。
たとえば…
- 都合のよい日に、お越しいただけますか?
- 会議の日程を調整していただけますか?
- 提案についてのご意見をいただけますか?
- 企画書についてアドバイスをいただけますか?
- 契約書の最終確認をしていただけますか?
「〇〇していただけますか?」の表現は…
相手の立場や感情を尊重しながら、自分の要望や意見を伝えることができるため、ビジネスシーンにおいて、とても有用。
「〇〇をお願いします」のような直接的な表現よりも、依頼を柔軟に伝えることができます。
言いにくいことを意見する際は、
クッション言葉を使うのも効果的。
以下の記事でも紹介していますが…
クッション言葉とは、やさしく伝えたいときに使う枕詞(前置きになる言葉)のこと。
具体的には、以下のような言葉です。
- お手数をおかけしますが…
- もし可能であれば…
- お忙しいところ恐縮ですが…
- 差し支えなければ…
- たいへん失礼ですが…
- 申し上げにくいのですが…
- あいにくですが…
- ご期待に添えず申し訳ありませんが…
- ご足労をおかけいたしますが…
これらの言葉を前に置き、依頼・断り・申し出・反論など、場面によって使い分けていきます。
敬語で魅せる、あなたのプロフェッショナル
最近多いのが、二重敬語の間違いです。
二重敬語とは、一つの表現に二つの敬語を重ねる誤りのこと。
誤用を招く原因は次の2点…
■ より丁寧に伝えたいという、過剰な意識
■ 周りが使っているから正しいという思い込み
そこで、二重敬語を含め、敬語の誤用を紹介。
使用上の正誤を確かめ、
敬語力をブラッシュアップしましょう。
次の表現を、正しい敬語表現に変えましょう。
※右端の「v」をクリックしてください…
社長はお帰りになりました。
当社の新商品を、ご覧になりますか?
もうお会いになりましたか?
次回の会議について、ご連絡します。
以上の例は…
尊敬語の「お(ご)〇〇になる」の表現と「れる/られる」「せる/させる」を重ねた誤用です。
※右端の「v」をクリックしてください…
ご不明な点はありませんか?
ご都合はいかがですか?
以上は…
丁寧語が二重になっているので、回りくどい印象を与えます。
※右端の「v」をクリックしてください…
ご説明いたします。
メールを拝見します。
○日に、御社に伺います。
ご案内いたします。
以上は…
最近多い「させていただく」の乱用。
謙譲語を二重に使っているので、不自然で過剰な印象を与えます。
丁寧さを求めるあまり回りくどくなり、
内容も伝わりにくい。
丁寧さを強調したい気持ちは
わかりますが 誤用です!
ちなみに…
「お伺いします」は、厳密には二重敬語。
「伺う」という謙譲語に「お…する」という尊敬語の接頭辞をつけることで、敬語が重複しています。
しかし、実際のビジネスシーンや日常会話では、「お伺いします」は一般的であり、多くの人が自然に使用しています。
そのため、誤用とされることは少なく、問題視されることはありません。
文化審議会答申「敬語の指針」によると…
二重敬語は一般に適切ではないとされているものの、語によっては習慣として定着しているものもある。
とあり、その例として…
- お召し上がりになる
- お見えになる
- お伺いする
などの言い回しが挙げられています。
正確で簡潔な謙譲語を使いたい場合は、「伺います」という表現が適切。
これは「伺う」という謙譲語に丁寧語の「ます」をつけただけの形で、敬語の重複を避けることができます。
本記事の関連書籍を紹介しておきます…
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