前記事でも紹介しましたが、ポータブルスキルとは…
JHR(人材サービス産業協議会 https://j-hr.or.jp/ )が、年齢にとらわれない転職を実現するツール「ミドルマッチフレーム」の中で紹介された、「社外でも通用する能力」のこと。
その中で「人との関わり方」については以下の3点に整理されています。
さらに、3点の詳細は以下のとおり…
これら3点とヒューマンスキルを関係づけると、以下の図になります。
本記事は、この図をもとに、これまでの記事とリンクさせながら解説します。
また、本記事の最後にスキルを身につけるコツを紹介します。
皆さんにとって有用な情報になりましたら、幸いです。
こんな方に役立ちます…
- ポータブルスキルを高めるための努力点を知りたい
- 今からポータブルスキルを意識した働き方をしたい
- 将来に備えてポータブルスキルの知識を得たい
核となる「社会人基礎力」
社会人基礎力は…
職場や地域社会で、多くの人々と関わりながら仕事をしていくために必要な能力として、2006年に経済産業省が提唱した考え方
具体的には以下の内容になります。
上図の内容は、自身の強みと弱みを明らかにする際の「チェックリスト」として活用してみてください。
自己チェックをとおして、今の自分にとって何が必要なのかを、意識することが大切。
「社会人基礎力」の要素を基に、個人が自らの問題意識で方向を定め、学ぶことと働くことを一体化しながら、自身のキャリアを構築していけばよいのです。
ポイントは…
「社会人基礎力」を「チェックリスト」として活用し、「自分の強みを活かし、弱みを補完する」など、自身の方向性を定めてアクションを起こすこと
ポータブルスキルの獲得
❶ 全方位に共通する「ヒアリング能力」
ヒアリング能力は、社内・社外・上司・部下のすべての対象に対して、必要不可欠な能力です。対象によってさまざまなスキルが存在しますが、ここでは…
BtoB(企業間)営業で重視されているSPIN話法を例にとります。
SPIN話法は以下のプロセスを踏みます。
このようなプロセスを踏みながら成果を上げるには、体験総量をあげることと、リフレクション(ふり返り)による改善を重ねることが必要です。
例えば…
- 事前の情報収集が不足し、「状況質問」に時間をとった
- 顧客の情報収集が不足し、的を射た「示唆質問」ができなかった
- 事前に仮説を立てて営業に臨むべきであった
- 顧客のニーズに沿ったカスタマイズプランを複数準備すべきであった
- 背景の下調べが不足したため、潜在ニーズを引き出せなかった
などの経験をもとに、改善を重ねることがポータブルスキルの獲得につながります。
また、対象により…
- 社内・上司・部下に対しては、「相手の目的や意図を正しく聴き取る」ことに重点
- 社外に対しては、さらに「よい提案ができるようにベネフットをくみ取る」ことに重点
を置いたヒアリングが必要になります。
本ブログでも、販売員を例にしたヒアリング能力の記事がありますので、ご参照ください…
ポイントは…
ヒアリング能力に関わる体験総量をあげるとともに、リフレクション(ふり返り)を行い、ナレッジを蓄積すること
❷ 説得・交渉のスキル・提案のスキル(説得のスキルを例に…)
説得・交渉のスキルとは…
「なぜすべきか」について、相手が納得し、行動(決断)へと導く技術のこと
また、提案のスキルとは…
顧客に自社の商品やサービスを提案するときや、社内で自身の企画を提案するときに、提案内容の優位性について、相手に理解を得る技術のこと
ここでは、説得のスキルを例にとって解説します
説得する対象によって差異はありますが、説得に至るモデルを1例挙げます…
説得のスキルについては詳細記事がありますので、ご参照ください…
ビジネスにおいて「説得・交渉・提案のスキル」は収益に直結する重要な技術になります。
したがって、各企業においてそのナレッジの蓄積がなされ、共有・活用するなどマネジメントされているのではないでしょうか。
説得・交渉・提案に関わる社内ナレッジに注目し、ポータブルスキルの観点からその重要性を見直すことが必要です。
企業が蓄積してきたナレッジは、実践的な知恵の集積。
ポータブルスキルを獲得する近道は、体験総量の蓄積とナレッジの吸収です。
ポイントは…
説得・交渉・提案に関わる体験総量の蓄積とともに、ポータブルスキルの観点から必要な社内ナレッジを吸収すること
❸ リーダーシップ・人材育成・評価のスキル(リーダーシップを例に…)
リーダーシップ・人材育成・評価のスキルについては、主として自身が管理職の立場になって初めて必要とされる技術です。
したがって、そのステージにないビジネスパーソンにとっては、働きながら獲得することは難しい分野になります。
そこで、比較的イメージしやすい「リーダーシップ」を例にとって要点を整理します。
リーダーシップとは…
「リスクをとって新しく何かを始めようとする」「率先して現状を変えようと動く」マインドセット(思考パターン)のこと
まは、複数の人をチームとしてまとめる力量が求められます。
そのため、人によっては「向き、不向き」で消極的になる傾向があります。
しかし、自分の資質を活かしてリーダーシップを発揮することは充分に可能。
具体的には、EQの観点から職能を伸ばせば、リーダーとしての成長が期待できます。
リーダーとしての資質を高めるには、自身のEQ値を上げることが重要。
本ブログで紹介したEQの記事をもとに、要点を3つにまとめて紹介します…
1 大切にしたい2つの仕事観
❶「誰の幸せのためか」という問いから生まれる仕事観
リーダーは、部下の幸せ、チームの構成員の幸せを背負うことも仕事観に加えて業務あたる…ということです。
部下の幸せ、チームの構成員の幸せも保証できたことを、あなたが幸せと感じるステージが管理職であり、リーダーに必要なマインドセット
このことが心理的安心感を社員にもたらし、チームのパフォーマンス向上につながります。
❷ 職場は「よき経験」を共有する場、という仕事観
業績を伸ばす職場には…
職場は「よき経験」を共有する場という仕事観が定着しており、「ミス」があっても「よき経験」に転換する働きかけが社員間にあります。
社員間の共有を促進するのがリーダーの役割
併せて、リーダーはチーム内の開放性に目を配ります。
社員がミスを抱え込まないようにするためです。
2 感情のコントロール
「改正労働施策総合推進法(通称:パワハラ防止法)」の施行を念頭に置くと、感情のコントロールはリーダーにとって必須のスキルと言えます。
リーダーは…
言動が感情に支配されないように、初動の感情をどのようにコントロールし、適切にアウトプットするかを、自身の傾向を踏まえながら練習することが大切
そのための習慣づけとして、まず、自分の感情に気づく癖をつけてください。
その感情に名前(怒り、不安、イライラなど)をつけることによって、感情との距離ができます。
練習と習慣づけによって身につきます。
EQには、4つの能力に分類されます。
❶ 自己認識 ❷ 自己管理 ❸ 社会的認識 ❹ 人間関係管理 の4つです。
このうち❶❷を取りあげた記事が以下になります。
ご参照ください…
3 EQリーダーシップ
変化の激しい時代においては、リーダーシップのスタイルを意図的・弾力的に選定し、発揮する力が求められます。
EQリーダーシップには、以下の6つのスタイルがあります…
- ビジョン型リーダーシップ
- コーチ型リーダーシップ
- 関係重視型リーダーシップ
- 民主型リーダーシップ
- ペースセッター型リーダーシップ
- 強制型リーダーシップ
各リーダーシップの内容は以下の記事に詳細を解説しています…
6つのスタイルを、自分の引き出しにセットして、会社のライフサイクルや状況、条件に応じて取り出し、活用していくことが重要。
人材育成のスキルとして、コーチングをテーマとした記事を紹介します。
ご参照ください…
以上、リーダーシップを例に解説しましたが、その他、人材育成・評価のスキルを含め、これらをポータブルスキルとして職場で獲得していくためには、モデリングが有効な方法です。
理想とする対象者を選び、まねることから始め、自身のオリジナリティを加味していく方法が近道です。時には、質問をして対人スキルを高めていきましょう。
能力・目的に応じて、対象者を複数設定し、観察や質問をとおして、仕事の進め方や人材育成、社内・社外での人との接し方等について、モデリングすること
「人との関わり方」は、習慣の改善によって職場で修得・獲得できる
本記事は、ポータブルスキルの構成要素「人との関わり方」とヒューマンスキルを関連づけながら、獲得するためのポイントを解説してきました。
ポータブルスキルに関しては、40代前半までには、一定の力量を蓄えておくべきだと思います。
「人との関わり方」については、基本的に職場での学びによって修得・獲得できます。
そのためのコツは…
人との関わりにおける自分の弱点を、習慣を変えることによって、行動を変えていくこと
人との関わりにおいて、よい行いを習慣化し、それを自動化していくことで、ポータブルスキル「人との関わり方」は身につきます。
「何かを意識決定する」というのは、脳にとってエネルギーを消費する行為です。
脳は無駄なエネルギー消費は回避し、節約しようとする性質があるため、繰り返し行われる行動はパターン化し、無意識に行う(自動化する)ようになります。
成功者に共通する特徴にも「習慣化が上手である」が一番に挙げられれています。
習慣化のポイントは…
- 「無理なく続けられる」という観点で、適切な目標設定をする
- モチベーションを維持するための、モノ・コトをもつ
- 続けられない場合の、プランBを準備しておく
- パーソナルブランディングの観点から「行動習慣」を設定する
という4つのポイントがありますので、紹介しておきます。
※「パーソナルブランディング」についての詳細は、以下の記事を参照されてください…
https://mitsuya-blog.com/active-employees/
働き方やキャリアの多様化が進む中、自分らしく働き、身につけた能力やスキルを発揮するための基盤が、これまで解説した「仕事のし方」「人との関わり方」です。
いわば人材としての「OS」を強化する…というイメージでアクションを起こしていきましょう。
本記事でふれた「体験総量」をあげるために、副業を始める人が増えています。
副収入を得る…というメリットも大きいので、ライフプランも好転します。
新たな働き方を模索している方のために、以下の記事も掲載しました…